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女々しい自分に自己嫌悪

女々しい自分に自己嫌悪する。
太腿の銃創をとりあえず止血しながら、男は自嘲した。
戦局は絶望的だった。敵の待ち伏せに遭って彼の小隊はほぼ全滅しており、助けがくる当てはない。
そもそも捨て駒だ。自国の軍人を守るために、金で買われた外人部隊。全てから逃げ出したくてここに来た。死と隣り合わせなら、あの人の事を考えずに済むと思ったから。

退官後の予定を訊かれて、某国の外人部隊に志願すると告げると、隊長は冗談だと受け取ったようだった。
「お前が辞めるのは残念だよ」
そう言ったあの人の顔を直視出来なかった。彼の家庭を壊したのは自分なのに。
最初に誘ったのは確かに彼女だったが、応じたのは自分だった。彼女が他の隊員にも手を出していたとか、そんな事はどうでもいい。お決まりの修羅場の後、憔悴しきった彼の顔を見てやっと気付いた。
彼女に重ねて、本当は誰を抱いていたのか。
本当は誰に抱かれたかったのか。

さっきの銃弾は動脈を傷付けたらしい。大量出血のせいで、視界がぼやける。
震える手で胸ポケットから取り出すのは、あの人の写真。
死の間際にさえ、結局は忘れられる筈もなく、恋する乙女のように夢想する。
生まれ変わって、あなたと出会えたらいいのに。

ああ、どこまでも女々しいな、俺は。