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先輩わんこ×後輩クーデレ

「カワムラー!」
背後から、のしっ、と覆いかぶさる重さに、俺はため息をついた。
「先輩、邪魔。」
「お前あいかわらずいい匂いだな~」
髪の毛に顔を埋めたまま、ふんふんと鼻をならしている。
俺の抗議に耳を貸す気はないらしい。
しかたなく読書の続きを諦め、読みかけの小説を机に伏せた。
「汗臭いでしょう。今日、ラスト体育の授業でしたから。」
「そんなことないぞ?スゲーいい匂い。」
あー落ち着く、などと言いながら、人の頭に顎をのせて深呼吸を繰り返す。
重い。
「…先輩って、昔飼ってた犬に似てます」
「え?お前犬飼ってたの?」
「ええ、拾ってきた雑種の大型犬を。」
「へぇ。何々?どんなとこが似てる??」
やたら嬉しそうに頭上で跳ねる声。
「すぐテンションがMAXになって周りが見えなくなるところとか」
「うん」
「すぐ俺の頭に顎のっけて寛ぐところとか、真夏に暑いのにわざわざくっついてくるところとか」
「うん」
「すぐ人の匂いを嗅ぐところとか、叱られても叱られてもめげないところとか」
「…うん」
するり、と腕が解かれる。
「えと…俺、ウザい?暑苦しかったか?」
振りかえると、しょんぼりとうなだれている大男。
垂れ下がった耳や尻尾すら見えそうだ。
「…俺は全部好きですけどね、先輩」
引き寄せて、首筋に顔を埋める。
すぅっと息を吸うと、土埃と、汗と、太陽の匂いがした。
「あなたの匂いも」
目と目が合った刹那、強い力で押し倒された。
今度は正面から覆いかぶさってくる男を見ながら俺は、そういえば犬の祖先は肉食獣か、などと考えていた。