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嘘つき×嘘つき

「きけ、マコト。いいか?俺がこれから言うことはウソだからな」

強張った表情の幼なじみの口から、そんな言葉が告げられた。
「…なにそれ、駆け引きのつもり?やめなよユイ、似合わない。君、不器用なんだからさ」
僕は読んでいた本で口元を隠した。ひどくいやな顔をしているに違いない、今の僕。
言われたユイは追い詰められたような表情で、ぐっと言葉を飲み込んだ。
昔からだ、すぐに黙り込む。そうして沈黙に耐えられない僕が、言葉で捲くし立てて君を傷つけて。
目の前に17年鎮座まします思いの丈には、二人とも気付かないふりで。

「ねぇ、ユイ。なんて言いたかったの?僕にさ。本音をぐちゃぐちゃにして、何を隠して、何を伝えたかったの?ユイ」
普段の底抜けに明るい姿とは似ても似つかない目の前のユイ。
「何を言いたかったの?僕に」
「………」
忌々しい。
性別、世間体、下らない恥ずかしさと、これまで大切にしてきたお互い以外のもの。君以外の全てが僕の足を引っ張る。
僕たちに嘘を吐かせるもの全てが、忌々しい。
「ユイ」
我ながら、ひどく優しい声をしている。
大切な幼なじみを追い詰めるには充分なほど。
「ユイ、何が怖いの。嘘をつかないでよ、ホントのことを言って、そしたら僕は…」

「…お前が、嫌いだ」
「………うそつき」
瞳が揺らいだ。

嘘吐きが泣いた。