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お次の方ー!

「お次の方ー! こちらのレジへどうぞ!」
 並んでいた客に営業スマイルで声をかけて二番目で待っていた男性がこちらに来る。
 ファーストフードで働きだして半年。すっかり接客と笑顔が板についた。現在通っている高校では「無口でクールで真面目な生徒会長」で通っている俺だが、ここでは「笑顔が素敵な爽やか『美少年』」でちょっとした評判になっている。さすが俺。どこに行っても完璧だ。
 バイトをするにあたり自分の学校でのイメージ崩壊阻止の為にわざわざ遠くの市を選んだ甲斐あって未だにバレていないし、このままいけば目当ての物を買える額が貯まるのはあっという間だろう。
 そんな事を考えながら注文を受けていると、ふいに客の声が途切れたのに気づいた。
「……お前」
 そういえば聞き覚えのある声だ。しかし常連客にこんな中年男はいなかった……。
「谷沢か……?」
 『ような』という言葉は顔を見た瞬間吹っ飛んだ。
 帰宅途中に寄ったのか見慣れた紺のスーツ姿、白髪が少々混じり始めた頭に大学生の頃から使っているというボロボロの鞄。見間違いではない。

 よりにもよって担任兼生徒会顧問が何故ここに!!!!

 笑顔のまま凍りつく俺と、今まで絶対に見たこともないであろう俺(谷沢)の表情に呆然とする海野先生(何故かほんのり頬染付き)。

 確かにこの時、時は止まっていたのである。