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攻めが浮気

あれはいつもの事だ。だから気にしても仕方がない。

「友美ちゃんってかわいいよね、一緒にいると楽しいから好きだな」
「この間早紀ちゃんとラブホ行ってさ、俺はダメだって言ったんだけど」
「悪い、明日佳那子がどうしても付き合ってくれって言うから」

それでも、心が折れてしまうということはあるもので。
俺は何百回も書いては消していたメールをとうとう送信して、
知久の前から姿を消した。


と言う事が2ヶ月前のあらましな訳だが、
朝アパートの扉を開けると、足下に土下座して背中を見せている知久がいた。
「……なにやってんのお前」
「俺が悪かった、もう一度やり直したい」
なにを今更、お前に反省なんて言葉があるわけない。
「一哉がいなくなって考えたんだ。友美や早紀も大切だけど、
やっぱり一哉がいないと、俺…」
当時もよくそう言われた。しかし彼女らと比べられる事自体
俺のプライドを傷つける事だと、こいつはどうして分からないんだろう。
溜息を付いて見下ろすと、知久の尻ポケットに入っていた財布に
以前はあれだけ存在を主張していたものがサッパリ消えてなくなっていた。
ふと、最後に送ったメールを思い出す。
……もしかして分かったのだろうか、俺の気持ちが…。

明るくて面倒見がよくて、いつも笑っていた。
そうだ、俺はそんなこいつが大好きだったんだ。

「……お前、財布の…どうしたんだよ」
「え?…ああ、お前に言われて、俺も考えてさ…」
「…それじゃ…」
視線を合わせると、知久が照れたように笑う。
「いくらちいさいぬいぐるみったって財布に付けとくと汚れるだろ?
友美も早紀も佳那子もあんまり洗いすぎると大事なふかふか感がなくなるしさ。
だからこれからは家だけでかわいがろうと思ってるんだ、あいつらの事は」

「キモイ、死ね」
メールで送った文章をそのまま本人に投げかけて、俺は部屋の扉を思い切り閉めた。