日陰の存在
「じゃあーこの問題は・・・っと、今日は12月20日だから、
出席番号20番の奴に答えてもらおうかな!」
20番・・・小山くんだ。
目の前の愛しい背中を、じっと見つめる。
「えー、20番は小山だな!小山、立てよー」
面倒くさそうに、少し照れながら立ち上がった小山くん。
居眠りしてたのか、右側の髪が、少しハネてる。
「えっと・・・」
急いで教科書をめくるけど、間に合わない。
「お、どうしたどうした?居眠りでもしてたのかー?」
笑顔で追い詰めるタナケン。
(タナケンは人気の先生だけど、ちょっとSなんだ。)
ザワつく教室、囃し立てるクラスメイト。
小山くんは科学が大の苦手だもんね、きっと答えられないよ。
「───えっと、XXXの定理、XXの原理、です」
本当に答えられると思ってなかったみたいで、タナケンはめちゃくちゃ驚いてた。
何事も無かったように、また動き始めた四角い教室。
そっと振り向いた小山くんは僕が渡した切れ端見せて、笑顔をくれたんだ。
最終更新:2012年02月09日 18:35