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約束を破って

「今後絶対に俺に告白なんてすんな、バカ!約束だからな!それが出来なきゃ死ね!」
高二のころだった。何をトチ狂ったか、幼馴染の幸生は俺に告白をしてきた。
今も今までもこれからも、ずっとずっとみっちゃんが好きだよ、と帰り道でコンビニの肉まんを食いながら、あいつは言った。
男の幼馴染にまさかそんなことを言われると思っていなかった俺は、そんなことを幸生に言ってしまった。
幸生は見たこともないような悲しそうな表情を浮かべたあと、変な顔で「ごめんね、みっちゃん」と言った。
本当は、好きだと言われて嫌だったわけではない。いや、本当はすごく嬉しかった。俺は素直になれなかった。
俺だって幸生が好きだった。幸生以外と過ごすのなんて退屈で仕方なかった。
でもあの時の俺は、幸生の思いを受け入れられるほど大人じゃなかったし、好きの意味がわからないほど子供でもなかった。
あの出来事があってからも、俺と幸生は仲良くやってきた。
幸生は二度と俺に告白なんてしてこなかったし、俺もその出来事には触れなかった。触れられなかった。
あんなことを言ったくせに、やっぱり好きだなんて、俺にはとても言えなかった。
高校、大学と卒業し、就職もした。いつの間にかお互い三十路手前まで来ても俺たちはまだ、コンビニの肉まんを一緒に食う中だった。
暗い道を歩きながら、告白されたあのことを思い出していた。
「なあ幸生」
俺はいい加減、けじめをつけるべきだ。ごめんな、俺もお前がずっと好きだよ、そういうべきだ。言わねばならない。
「なあ、・・・高校の頃の約束、破っていいんだぜ」
そう思ったのに、口から出てきたのは高校のころと変わらない可愛げのない言葉だった。
俺の言葉を聞いた幸生は食べかけの肉まんを道路に落として、あのころと同じような変な顔で笑いながら、俺を抱きしめた。