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まるで妖精のような君
――――君と初めて出会った日のことを今でもはっきりと覚えている
母親に無理やり連れて行かれた、あの春の日の体操教室
同い年なのに俺よりずっと小柄で華奢な君を女の子と間違えて怒らせたよな
でも、動き出すと小さな体が俺よりずっと大きく見えた
マットの上を軽やかに飛び跳ねる君は、まるでアニメで見た妖精のようだった
君みたいに飛んでみたくて、俺も体操教室に通い始めた

だけど、君みたいに飛ぶのは簡単じゃなかった
6歳にしてすでに体操歴2年半の君との差はそう簡単に縮まらなくて
何度もくじけそうになって、それでもあきらめきれなくて
いつも必死に君の背中を追いかけてた


あれから、15年
俺はもうすぐ世界選手権に出場する
でも、君はここにはいない
高校生の時まではいつもいっしょだったのに
何度もいっしょにジュニアの日本代表に選ばれたよな
だけど、君は、ある日突然体操をやめた

難しい病気だったんだって後で聞いた
すぐに治療をしないと、競技を続けるどころか命すら危なかったって
それから2年半、君の入院生活は続いた

退院した後、リハビリを続けていたと聞いた
ようやく競技に復帰したらしいことも
俺は見に行けなかったけど、君らしい演技だったって


オリンピックまでは、まだ少し時間がある
君ならきっとやれるよ
俺はその2年半を埋めるのに倍以上かかったけど
君ならもっと早くたどりつけるだろ?

俺も頑張るから
誰かにこの位置を奪われたりしないように

本当は君が立っていたかもしれないこの場所で
まるで妖精のように飛び跳ねる君とまた逢える日をずっと待ってる