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お互いに恋愛感情のない友達とキス

和室だか洋室だか判らないような変な部屋で
俺は割り箸を握らされて
王様だと名乗る山ちゃんと呼ばれている奴が、
「3番と5番がチュー」とか言って、
俺の割り箸には3と書かれていて、
「あ、俺5番。僕が5番でーす。」と嬉しそうに斉藤が宣言した。
最悪だ。
俺の『初めてのキス』という、人が言うには
なかなか素晴らしい思い出になるらしいイベントは
よく知らない観衆の前で、酔っぱらった斉藤相手に行われるらしい。
「私は4番」「え~、私は7番」と
眼の周りをキラキラさせた女達が3番を探す。
5秒後には確実に騒がれて笑われて変な期待の眼差しを向けられるだろう。
それは何となく嫌だ。
仕方ない。
勢いよく立ち上がり、力任せに斉藤の肩を引いて、
驚く斉藤の顔を見なかったことにして目を瞑り、唇に当たりにいった。
これは当たっただけでキスじゃない。
そう考えよう。


離れて瞼を開けると、戸惑った斉藤がいた。
「ばっ…おまえ……。」
斉藤は一生懸命袖で口を拭う。
周りがようやく騒ぎ出す。
笑い声と、驚いた斉藤をひやかす声が聞こえる。
「お前…覚えてろよ。よし、次だ次!」
そう言いながら必死に割り箸を集める斉藤を直視できないのは気のせい。
ドキドキしているのはちょっと飲み過ぎたビールのせい。