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震える肩

ソファの隅っこで小さくなったまま動かない背中。
背もたれを掴んだ指先が白くなっている。
「なぁ……無理しなくていいんだぞ」
「うるさい!だ、大丈夫だって言ってるだろっ」
声も全く説得力がない。
「そう言うセリフはせめてこっちを向いてからにしろ」
「今向くよ!だから、待ってろ」
待って向いてくれるならいくらでも待つ。
だけどそれはいつになる事か。
……まいったな。
こんな風に困らせるつもりなんてなかったのに。
隣にゆっくりと座ると、ビクリと反応する。
震えている背中。
そこに感じるのは怯え。
そんなにも、怖いのだろうか。

……怖がらせるつもりなんてなかった。
自分の浅はかな行動に情けなくなる。
コイツより大切なものなんてないってわかっていたはずなのに。
それでも、聞いてしまった。

「……ごめん。諦めるから、無理すんなよ」
「無理じゃない!」
「無理だろ?今だって、触れたら逃げだしそうなくせに」
「それでも……お前、欲しかったんだろ」
震える肩を静めようと必至に深呼吸をする。
その姿が余りに愛しくて抱きしめたい。
けれど今は出来ない。「オレはお前に無理させたくない」
「無理じゃないっ!」
声と共に勢い良く振り向いて…………固まった。

オレの腕の中には小さな白いカタマリ。
コイツの大嫌いな、猫。


ピクリと耳が動いた瞬間ものすごい速さで逃げ出した後ろ姿も愛しくて、
一人と一匹で苦笑するしかなかった。