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ホモソーシャル

「聞けよ、友よ、同胞よ。長きに渡る冬の時代を耐え、黄金の糞にたかる蝿を掃い、吹雪を凌ぎ、同じ羽の元に集うた精鋭達よ。迫害の日々は幕を閉じる。
我らは理想郷へと足を踏み入れるのだ。

これは機会だ。すでに、虚飾に堕落した女は廃された。
それらとの腐った卵を生み出すのみの営巣は、虚無の行為に他ならない。惑わされた日々に蓄えられた脂肪を今こそ削ぎ落とせ。来るべき日々に備えよう。
与えられた運命を、最大限に利用するのだ。

漢達よ、白波と黒き岩塊の申し子たるつわものどもよ。
ここが我らの約束された地だ。
我らはここに、確固たる絆を元に、千年の栄えある我らの王国を結実させ」

「はい、フーたん、おくちあーんして」
「んもう、ボル君てば、恥ずかしいよーう」
「あ、ピー助、ショーユ取って」
「かけ過ぎないよう気をつけろよ、ギン次」
「聞けよおまえらああ!」

この日、とある小さな町の小さな動物園に十羽のフンボルトペンギンが一般に公開された。絶滅の危機に瀕しているこの種に対して、それらが仲の良い番いとなり、恒久的な夫婦の契りを結ぶことが願われたことだろう。

ただ惜しむらくは、性別的差異の小さいペンギン類のこと、長年鳥類舎を見守ってきた飼育員らでも予想し得なかったのは、十羽全てがオスであった事実だ。それでも彼らは彼らなりに縁を結び、ささやかな閉鎖的社会を楽しんでいることが、救いなのか否か。
何かの野望に目覚めたらしい、闘争的な一羽が氷の演台の上で半泣きで喚起を訴えるなか、オスしかいないペンギンらの仲睦まじく餌をついばむ光景が見られたその日、世界は平和であった。