※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

恥ずかしいけど手を繋ぐ

自宅のアパートまであと100メートルというところで、突然彼は俺の手を掴んだ。
なんの前触れも無かったから、それが初めて彼からの積極的な行動だったことに気づくのは
家に帰って二人で冷たい布団に潜ってからだった。
ただ今は、氷のように冷えきった彼の手に驚きながら、俺は数歩先を歩く彼の様子をうかがっていた。
まるでこれじゃ、スーパーで駄々をこねた子供とそのお母さんみたいだ。
「…いや、でも俺の方が身長高いからな。やっぱり、子供というわけにもいかないなぁ」
「はぁ? お前、何一人でブツブツつぶやいてんの?」
「ん、俺のことはあまり気にするな。……っていうかさぁ」
「……何だよ」
夜の10時を過ぎると、一日の仕事を終えて点滅を繰り返す信号の交差点。
車が走っている気配などまったくしないのに、赤信号の点滅に、彼は足を止めた。
その交差点を渡れば、アパートは目の前である。
「どうして手を繋いでるのに、いきなり急ぎ足で歩くわけ?」
「ちょ、バカか? 俺は手なんて繋いでいない!」
「じゃあ、これは一体何なんだよ」
「こ、これは…だからその…違うんだってば!」
そう言うと、また彼はずんずんと歩き出した。
それに引っ張られるように歩く俺。

俺は、このときはまだ思い出していなかった。
二人で見た朝のニュースの、最後の5分でやる血液型占いの結果の
B型のあなたは、恋人と手を繋いだりすると恋愛運がアップ!という女子アナのナレーションを。