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接触過多な変態×常識人なツンデレ

爽やかな朝なのに、俺の気分はどんよりと重い。
校門を目前に、嫌な予感は的中する。
「おはよう」
声が聞こえると同時に、頬に生暖かい吐息がかかり背後から伸びてきた腕が体を
拘束する。
「朝からやめんか気色悪い!」
振り払おうと身を捩るも、べったりとまとわりついた体はびくともしない。
首筋に顔を埋めるな、ブレザーのボタンを外すな、息がかかるんだよ、あぁもう
だから気色悪いんだっつってんだろ。
「朝から幸せだなぁ」
俺の平穏を犠牲にして幸せを感じるな。
心底嬉しそうなのが、また腹が立つ。

大体この男には、節操というものがない。
ところ構わず絡み付いてくる。
不幸なことに同じクラスなおかげで、休み時間のたびにニヤけた面をしたこいつから逃げなければいけない。

「いい加減離せ。歩けんだろーが」
「無理」
即答するな。首元で喋るな。
一番人通りの多い時間に、校門前で何で俺は男と抱き合わなきゃいけないんだ。
そこの女子、怯えた目を俺に向けるな。
前から歩いてきたクラスメイトにさえ、露骨に視線を逸らされた。
勘違いするな、俺は被害者だ。

「離せっつってんだろーがっ」
窒息させる気じゃなかろうかと思うくらいに強く締めてくる腕の中で、無理やり体をひねってみた。
「ヤだよ。離れたら寒いし」
今の季節、そこまで寒くないだろ。
今日初めて、こいつと目が合う。
何がそんなに嬉しいのか知らんが、案の定ニヤけた面をして俺を見ている。
こんなことしなけりゃ、俺より背はでかいし顔も無駄に整ってんだから相手に困ることはないだろうに。
「だったらさっさと教室入ればいいだろ」
爽やかぶった笑顔から目を背け、強引に一歩踏み出す。
「教室よりここでやった方が、お前イヤがるじゃん」
わざわざ朝から俺の血圧を上げるためか。
「っざけんな」
ずるずると背中の荷物を引きずりながら、昇降口まで足を運ぶ。
「つーか、シャツの中に手突っ込もうとすんな!」
やけに口が大人しいと思ったら、手は全然大人しくない。
「最近冷たいよねー」
お前に優しくした覚えはない。
「二人きりだと可愛いのにさぁ」
気色悪いことを言うな。

靴を履き替える時になって、ようやく奴は背中から離れた。
これ幸いと逃げようと思ったのに、手首を捕まれた。
「なんだよ」
振り向いた瞬間、目が合った。
「今日、遊びにいっていい?」
何で真顔なんだ。何で声が真剣なんだ。
気色悪いんだよほんとに……あぁ、もう。
「…………好きにしろ」

何で俺はこいつが好きなんだ。