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ランドセル持ち

学生服に包まれた高い背中の後ろから、ヒョコタン、ヒョコタンと妙なリズムの足音。

重く頭を垂れた稲穂は、夕日を受けて綺麗な黄金色に染まっている。

ヒョコタン、ヒョコタン。

ひざ小僧をすりむいて、半袖の袖口から伸びている細い両腕も、あちこちに引っかき傷。
暴れているうちに脱げて、田んぼ脇の川に落ちた片方の靴を握って、涙をこらえている。

喧嘩に負けた小さな彼は、両目にいっぱい涙を溜めて。
それでも決して零すまいと、精一杯歯を食いしばっている。

『一対一なら負けなかった! 』

喧嘩相手を睨むような鋭い目で助けてくれた人を睨んで、
小さな拳を悔しさで握り締めてそう叫んだ。
それは未熟ながらも、既に一人の『男』の姿だった。

靴下の足をかばうようにして、田んぼに囲まれた田舎の道を歩いている。
川に投げ込まれてびしょ濡れになったランドセルを持っている、
隣のお兄ちゃんの高い背中を、助けてもらった悔しさとその強さに憧れる心で睨みつけるように。
秋空の夕焼けに染まって、まっすぐに、まっすぐに、見つめながら。