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通な客×ラーメン屋店主

 その客はいつも食事時を外してくる。こりゃ通だねぇ、と思ったさ。
 何せ昼や夕時はこぢんまりとした店だが、それなりに人が並ぶ訳で。味には自身もあるからよ。
 盛況はいいが手間は掛けられねぇ。いつだって迅速丁寧を心がけてはいるものの、一人ひとりに相手
なんざしてらんねぇ。バイトも総動員して上へ下への大騒ぎさ。そんな時間も楽しいっちゃ楽しいん
だがね。
 で、その兄さんはぶらっと現れては麺やスープを丁寧に掻き込んで行く。ツユまでちゃんと味わって
くれてるのが分かると嬉しいもんでね。ついつい笑顔も出ちまうってもんさ。
 ガラガラッと引き戸を開けて暖簾を潜る背高のっぽの影を見て、俺はまた微笑んだわけさ。
「おうっ! 兄さんいつものやつかい? ネギおまけしてやるよっ!」
「いや……いつものままでいい。満足しているから」

 畜生、全く分かってくれてるねぇ。また張り切ってあんたのドンブリ用意さしてもらうよ。