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「誕生日おめでとう」という言葉からあなたの連想する話を

「誕生日、おめでとう」

毎年、耳元で囁くように唱えられていた言葉。
それは まるで魔法をかけたように
私の心を癒してくれた。


今年も いつもと同じ様に誕生日の用意をして彼を待つ。
花屋から買ってきた綺麗な花を花瓶に移して
普段より少し贅沢な料理を二人分作って
小さなケーキと共にテーブルの真ん中へと並べる。
ロウソクは年齢の分だけ刺すと形が崩れちゃうね
と彼が言っていたから1本だけ中心へ。

準備は、出来た。

後は彼が来るのを待つだけ。
二人で笑い合ってロウソクを吹き消すだけ。


たった、それだけ。

温かな湯気を立てていた料理は段々と冷たくなって
時だけが刻々と過ぎてゆく。
時計の音がやけに響いた。
「貴方が食べてくれていたから…‥こんなケーキを買ったのに」
ジッ、とライターを使ってケーキに立っているロウソクに火をともすと
しばらくして火はゆっくりと安定した光を放ち始めた。
それを見つめて、
「私だけじゃ食べきれませんよ…甘いモノは苦手だと…」
言ったでしょう、と続けられずに唇を噛む。

捨てるしか無いと、
もうあの声を聞けないと解っているのに用意せずにはいられずに。


そんな、いつもの誕生日。