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その瞳に映るもの

あいつはよく哀しそうな顔をして俺に言う。
今の世の中が辛い、と。

欲望、混沌、狂気。
そんなものに染められた現代社会が、耐え難いほど辛いと。


――人は人としての生き方を、なくしちゃったのかもしれないね。―

あいつの何気ない一言が、いまだに俺の胸に突き刺さっている。

『人としての生き方をなくす』というのは、俺の事も指しているのだろうか。
人が恋心を抱く相手は、普通は異性と決まっている。
そうでなければ、人は子孫を遺す事ができないから。
同姓であるこいつを愛した俺は、こいつがいう所の『人としての生き方をなくした』人なのかもしれない。

こいつの瞳は、同姓を愛した俺をどう映すのか。
そんな事はこいつに聞いて見なければ分からないが、聞く勇気は俺にはない。


俺と同じく同姓を愛した自分に対する自嘲の言葉だったなんて、そのときの俺には分かるはずもなかった。