Aが他の人を好きなのを知ってるけど諦めきれないB。他の人に恋をして世界が輝いて見えてるA。
「で、竹内がわざわざ俺のために担当代わってくれたんだ!」
お前は気づいてる?
「へえ、じゃあ念願叶って」
「そう!教室入る前緊張しすぎて冷や汗ダラダラ!ははっ、ありえねーな。」
俺の横顔に差す濃い影を。
「良かったな。これから北川さんと学際終わるまで・・・2人で担当するんだろ?」
彼女はクラスのマドンナ。
可愛くて運動神経抜群、勉強も出来て、おまけに性格まで良い。
まさに理想的な女の子。
あんな子に一度でも優しくされたら、こいつじゃなくても好きになる。
分かっているのに。
なんでなんだろうな。
「そんで帰り際にさ、北川さんとメアド交換したんだ!」
横顔が強張ったのが、自分でも分かった。
「・・・あ、ほら!その方が色々連絡取れるだろ!」
今更何も隠す事なんて無いのに、焦ってんなよ。
「へぇ、良かったじゃん。一歩前進、だな。」
余計傷つくんだよ、そういうの。
“なぁ、北川さんってバスケ部の先輩に浮気された挙げ句、振られたらしいよ。
原因は、なかなか北川さんがヤラせてくんないからだって”
お前はこういう下世話な噂話を好まない。
だからこそ、教えてやりたい。
そしてお前は先輩でも北川さんでもなく、俺を軽蔑するのだろう。
「じゃあ俺、今日はここまでな・・・寄るとこあんだわ。」
なあ、どうしたら俺を好きになってくれる?
今までずっと、一番傍でお前だけを好きでいたのは、俺なんだよ。
「そっか。じゃあまた明日な!・・・・・稜太!」
振り返る瞬間、喉の奥がひゅっと鳴る。
名前を呼ばれただけなのに、こんなに苦しい。
「いつもサンキューな!・・俺の話、聞いてくれて。」
さっきまでのバカ面からは想像出来ないほど、柔らかく優しい笑顔。
優しすぎて儚げで、何もかも口にしてしまいそうになる。
だけど俺達は「友達」だろ?
お前の幸せを、俺は何よりも望んでるんだ。
だからそんな顔するなよ。
また今日も、俺はこの気持ちにさよならできなかった。
最終更新:2011年04月17日 04:42