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すっげーオンチな鼻歌をあこがれてる人に聞かれてあせる!

放課後になると、音楽室から聞こえてくるピアノの音。
俺の憧れの、広瀬先輩の弾くピアノの音。
先輩のピアノを聞くために、ひとり教室に残ることが気づけば日課になっていた。
沈む夕日を眺めながら、今日も待っている訳だがいっこうに聞こえてこない。いつもの時間を、20分も過ぎていた。
今日は弾かずに帰ってしまったのだろうか。それとも、教師に捕まっているとか?もう帰ってしまおうかとも思ったけど、後少ししたら聞こえてくるかもしれない、と思うと帰れなかった。

先輩がいつも弾いている曲はなんていう曲なんだろう。
綺麗な顔立ちの先輩に似合った綺麗な曲だ。
「ふんふんふん~ふふふ~」
こんなんだっけ?違う気がする。
「ふふ~んふんふふ~ふ?」
「ブフッ」
ん?俺の鼻歌に混じって誰かの吹き出した声が聞こえた気がした。
何かと思いドアの方を振り返ると、そこには笑いを堪えている広瀬先輩が立っていた。
「うわっ!!え!?先輩っっ!?今の聞いて……?」
「ごめん。邪魔しちゃ悪いと思ったんだけど、あまりにも……フフッ」
笑いで先が続かない様で、先輩は顔を伏せて小刻みに肩を揺らしている。
ヤバイ。今なら羞恥心で死ねる。音の外れたへったくそな鼻歌、しかもいつも先輩が弾いている曲を聞かれてしまった。
申し訳なくて先輩の顔が見れず、情けなくうなだれる。
「いつもピアノ聞いてくれてたの?」
「……はい」
「ねぇ、今日は横で聞いててくれないかな?」
思わず顔をあげたら、窓から差し込む夕日以外の赤で頬を染めた先輩と目が合った。