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新人研修

4月14日、今日は、惜しかった。

「遊びじゃないってことがわかってないみてえだな。」
先輩は僕の肩にそっと手を置くと、地獄の底から響くような声で
抑揚もなくこう言い放った。

多分一瞬心臓が凍り付いたのではないだろうか。僕はよろけた。
それから、先輩に腕を掴まれて、なされるままに椅子に座らされた。
次の瞬間先輩の固い革靴がすばやく動いて、椅子が暴力的な音をたてる。
「…いいか」
僕の上に覆いかぶさるように、先輩が椅子の肘置きに体重をかける。
「…ここには学生気分のやつに吸わせる酸素はねえんだよ。」
「……はい」
僕は、蚊の鳴くような声でそう答えるのが精一杯だった。

今日は、本当に惜しかった。今日の先輩は、あれは、かなりキていた。
おそらくあと一歩だったに違いない…僕に手をあげるまで。
来週こそあの黒い革靴が蹴るのは椅子ではなくて、僕かもしれない…
そう考えると、体の芯から震えが止まらないのだった。