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もう一人でかがやけない

「近づくなよ……。もう放っておいてくれ」
「泣きながらそんな台詞言っても説得力ねえよ」
 なんでお前はいつも俺につきまとうんだよ。へらへら笑って散々俺を
振りまわして、だけど最後は「付き合ってくれてサンキュ」なんて、屈託
のない笑顔を浮かべるから、俺は疲労もなにもかも忘れてしまう。
 そんで、俺がボロボロになった今も、お前は相変わらず俺につきま
とっててさ。マンションまで押しかけてきたかと思うと、なんか食うか、なん
てほざいた。勝手に冷蔵庫を物色したかと思うと、具のやたら大きなカレー
を用意してきた。
「泣きたいなら、泣け」
「……優しくするな、気持ち悪い」
 テーブルの上に乗った、空になったカレー皿。まだスパイスの香りが残る
部屋の中で、お前は俺を抱きしめる。

 「……」

 「ひとりで生きていける」
 小さい頃、――いや、ついこないだまで抱いていた幻想。だけど、今は。
 「お前がいるから、……お前のせいで」


 俺はもう、一人でかがやけない。もう、ひとりでなんか立ち上がれない。