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マイナーの哀しみ

「やっぱりマイナーなんですよ。」

そう言ってマスターはレコードに針を落とした。薄暗い店内にコーヒーの香りと
少ししゃがれたボーカルの声が満ちる。

「CDよりもレコードの方が断然音がいいのに。」
「私もそう思いますよ、だからこんな店やってるんですけど。」

そういって愛しそうにスピーカーを見る横顔がいい。

「もう少し若い方にも来ていただけるといいんですが。」
「それでここが騒がしくなるのも嫌ですよ俺は。」
「うーん、確かにそういうのはありますが…でもやっぱり
この音を好きになってくれる人は増えて欲しいですね。」

自分は音を聞きに来ているのかそれとも彼に会いに来ているのか、
最近はどちらなのかよくわからない。どちらにせよ居心地のいい空間が
壊れることのないよう、ここは少しマイナーであって欲しいと思った。