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気持ちいい?

せっかくの晴れた日曜だというのに、僕たちはワンルームの部屋の陽だまりで、ごろごろ
寝転がっている。
結局はこういう時間が一番幸せなんだと気づいたのは、高校生だった僕らがすっかりオトナに
なってからだった。
特にすることもないし、話なんかしなくても気まずくなったりしない。
ぼーっと寝転がっていた彼の頭の白髪なんかを探して、それだけで時間はのんびりと流れていく。
「あ、見っけ」
「また? そんなある?」
「あるある。これで、えーと……十四本?」
「数えんなよ、そんなの」
「えい」
「あだっ! ……だから抜くなよ、増えるじゃん」
抜いた白い毛をこたつの上に乗せるのを見て、彼は口をぷうと膨らませた。そこには既に十三本の
毛が待機している。
「おしゃれ染めすれば良いじゃん」
「まだ若いっつの」
白髪染めどころかブリーチもしたことの無い髪の毛は、さらさらと指の間を流れていく。それが
気持ちよくて、僕はもう一度、たわむれるように手櫛を通した。
「あー、こそばいなぁ」
「何、目なんか細めてさ。猫みたい」
「それ猫に失礼だってー」
「あー、そうかも」
「うなずくなよ、否定しろよ」
「うひゃひゃ」
「別にいいけどさぁ」
「だいじょーぶ、お前が一番かわいいってー」
「気持ち悪いなぁ」
「まー良いじゃん。……気持ちいい?」
「ん」
――結局は二人でいることが一番幸せなんだ。何が無くても、二人でいられれば。
目を細めて笑う彼を見て、僕はあらためて、強く、強くそう思った。