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会場まで行ったのにキャンセルかよ!

今日はA男の誕生日パーティー。
誕生日プレゼントは、以前好きだといっていたブランドの物をプレゼントしようかとも思ったが
バイトだけで身を立てている俺には高すぎたために花束。
わさわさと楽しそうにゆれる俺と花束を、町行く人々はほほえましげに見送った。

到着したのは、人気者のA男に似合いのオシャレなバー。
とは行ってもチープさを売りにしているバーなのでご大層な高級感はない。
さて。どう入っていこうか。こういうのは印象が大事なのだ。
すでに盛り上がっていると、コッソリ入ったのでは気づかれなくて主役に最後まで触れないことがある。
俺はニヤリと笑い、扉に激突していった。

「イィヤッホゥオォォォォォォォォ!!! 盛り上がってるかてめえら!!!」

それは文字通り、激突する結果となった。
したたかに打ち付けた体の前半分が痛い。
なんとなく悲しくなって冷静に扉を見てみると
「本日休業」の看板が。

漫画なら今頃俺の頭の上にはてながとびかっているだろう。
あ、あれ。
慌ててポケットから携帯を取り出して電話をかける。
電話の先は今日の幹事でもある主役だ。
1コール、2コール…
『もしも』
「きょ、今日のアレは!?」
『今日のアレ? ああ、誕生日の? あれ、連絡行ってねえ?
 俺、夜バイト抜けらんなくてキャンセルになったんだけど』
「きゃ、キャンセル!?」
今ならコーラスでも歌えそうな気がするほど声がひっくり返る。
『わざわざ予定あけてもらってわりぃな。また今度のみにでも行こ』
一気に体の力が抜けた。
何だかほっとしすぎて泣きそうな気さえする。
「う、うん…あ、誕生日…オメデト」
『おお、サンキュー。進路別れてから滅多だし、久々にオマエにも会いたかったんだけどな』
「俺もだよ。…すっ…好きな奴に…中々会えないのは…辛いんだからな!」
『はあ? オマエ時々面白い事いうよな。じゃ。バイトいってくらー』

精一杯の告白を華麗に蹴られ、会いたかったA男にも会えず、
なけなしの金で買ったプレゼントも突撃した衝撃でズタぼろになったけど
何だか心は来る時以上に弾んでいた。