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下克上だけどラブラブ

「先生俺の事愛してる?」

放課後の小論文指導中に、目の前の受験生はペンをくるくる回しながら、この時間に飽きたらしく俺に問い掛ける。
小論文のテーマは「愛について」
高校生に愛を問うなんてナンセンスだと思ったが、少年犯罪等の絶えない世の中でこうやって愛だのなんだのを再確認させるのが目的らしいので、仕方なく付き合っている。
「下らない質問してないでちゃんと書けよ」
「先生の答えを聞くことによって、俺は愛を理解できる気がする」
「尤もらしい事言いやがって」
にんまり笑って俺の答えを待つその顔はまるで犬みたいだ。教室に差し込んだ西日が当たって、目の前の彼の髪がキラキラと金糸の様に光っていた。
そんな状況下で微笑みなんて見せられたらまるで、…あぁ、なにを見とれてるんだ俺は。今は教師と生徒なのに。
自分が不甲斐なく成って、浅く溜息をつく。
「答えてくんないの?」
今は生徒である彼は少し悲しそうな響きで呟やくと、ペンを動かした。
「愛は儚く、裏切られ易いものだと思います」
…コイツは…
「…思いますとか使っちゃ駄目。小論文だから」
「だって答えてくんないからー」
「関係ないでしょう」
少し語気を強めて言ってやると、彼はしゅんとした。
ああ、もう。仕様のないヤツ。
俺はまた溜息をつくと、仕方なく口を開いた。
「…愛してる」
すると目の前の彼は大きな目を更に大きくして、次に細めてはニヤニヤと笑った。ペンを机にカタリと置くと、少し身を乗り出して俺の耳元で囁く。
俺が目を見開くと、ひらりと身を翻して席を立ち、作文用紙とペンを鞄に放り込んで帰り支度を始めた。
「…お前ねぇ…」
「早く帰ろうぜ、先生v」

西日が強くて本当に良かった。今の俺はとてつもなく赤い顔をしているに違いないから。

『愛について、先生んちのベッドで語ったげる』

俺は顔色を誤魔化そうと窓の方を見て、目を細めた。