夜の帳が六軒島を包む頃、彷徨う幼子がひとり。

「うー……うぅー……」
唸る少女、右代宮真里亞。
ひとりぼっちで薔薇庭園をうろつく彼女を見咎める者は、いなかった。

――先程までは。

「真里亞様……お身体を冷やしますよ」
「うー?おばーちゃん?」
「ほっほっほ。はい、熊沢にございます」
掛けられた優しい声に、真里亞は飛びついた。
頭をぐりぐりと押し付け、ひとりぼっちの訳をもらす。

「ママのおっぱい、取られちゃった……」

真里亞は今年、9歳になる。
当然母乳は必要ないし、母の身体からそれは分泌されない。
だが、本能が求めていた。
母乳ではなく、無条件に優しかった頃の母を、とは自覚していなかったけれど。

だから、時折母の寝室に潜り込んだ。
母、楼座は一度寝付くと、そう簡単には起きないから。
知らない人を連れて来た夜以外は、ほぼ毎晩進入を繰り返した。

そして、今日。
親族会議のあるここ六軒島に、真里亞の知らない人はいない。
だから、今晩もささやかな幸せを味わえると思っていた。

だけど。知っているはずの人が、知らない人の顔を持つことを知らなかった。
無知は罪だ。だから、悪いのは自分。

ならば、と。他におっぱいを分けてくれそうな人を探してみた。

紗音のおっぱいは譲治お兄ちゃんが独り占めしていた。
お姉ちゃんは嘉音のミルクを飲むのに忙しくって気付いてくれなかった。

「さようでございますか。それはそれは、おいたわしや……」
背を撫でてくれる皺だらけの手が気持ち良い。

「真里亞様、どうぞこの熊沢めにまかせてはくださいませんか?」
「うー?でも……」
言葉は嬉しかったが、目前のそれは明らかにしぼんでいた。
視線に気付いたのか、熊沢は不適に笑い、真里亞を下がらせた。

さぁ、世界の色を塗り替えよう?

「ふふ、鯖よ、カモォオン!!」
「う、うー!?」
熊沢の咆哮に、周囲がざわめく。
そして、鯖が舞う。生の鯖。煮付けた鯖。鯖味噌。鯖クッキー。鯖の目玉。煌くスパンコールのような……鱗たち。
森羅万象あらゆる鯖が、舞踊り、熊沢の元に集う……ッ!
次の瞬間!
鯖が弾け、消え、そこに立っていたのは老婆に有らず。

「ふふふ……鯖の魔女、ワルギリア。推して参るッ!」
死にたての鯖がびちびちと、魔女の登場を祝福していた。

「まじょ……うー!魔女!?」
「ええ、私は魔女。貴方のマダム・バタフライことワルギリア。こちらでは初めましてですね、小さなエンチャンター」
「うー!ワルー!」
先程と同じく抱きつく。……ちょっとだけ生臭さが増していたが、冷えた真里亞の身体には代え難い温もりがそこにあった。

「さぁさ、愛しい子。私のお胸でよければ存分にどうぞ?」
ワルギリアは腰を下ろし、胸元を晒して真里亞を引き寄せる。

そこにはふっくらとした2つのふくらみ。
真っ白でパンのよう。
真里亞は顔を輝かせると、その先端に吸い付いた。

「ちゅっ……ちゅう、うにゅ……」
開いた片方に手を預ける。やはりふかふかでパンに似ていた。

「ふふ。技巧に劣りますが、やはり幼子の一途さは年を取ると出せない魅力がありますね……」
そんな呟きを空に溶かしながら、ワルギリアは目の前の小さな頭を優しく撫で続けた。

「うちゅ……ちゅ、っぷ、うー……」
どれほど時間が過ぎたのか。真里亞は満足げに唇を離す。
そこは唾液が滴っていたが、ワルギリアが小さく指を鳴らすと、乱れたドレスごと元通りに整えられた。
笑顔の少女に向き直る。
「それでは、参りましょうか」
「?どこに?」
「あなたの黄金郷へ」
「……うー!行くー!!」

二人は歩き出す。
求めるのは母の愛。
あるいはその代替品。

うみねこのなく頃に、おっぱいハンター誕生。
生き残れた巨乳はなし。

「うう、頭が痛いです」
「ひ、秀吉さん以外に、こ、こんな……」
「郷田、こんなの初めてですぅ……」
「ひっくり返す気力も沸かないわ」
「う、ぜー……ぜぇ……」
「私は……家具だから。我慢しなきゃ……」
「げ、下克上、されるとはのぉ」

残ったのは貧乳だけ。
「……うぉおおおおお!うお、う、うわぁああん真里亞のバカぁああ!!」

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