本スレ967の576です。
ネタで軽く書いたつもりの雛ベアト×姉ベアトが思った以上に楽しかったので、ざっと書いてみることにしました。
時間軸は適当です。



 貴賓室でくつろぐ姉の元を妹が訪れたのは、とてもとても静かな夜更けのことだった。
 嵐の来ない六軒島の夜は、音一つせず厳粛な雰囲気を漂わせる。そっくりな姿をした二人の「ベアトリーチェ」にはそれもまた相応しく、かつ好ましい闇を生み出していよう。
「どうした、妹よ?」
 姉は今晩の『悪戯』を一通り終え、折りしも退屈が過ぎて欠伸をしていた所。
 ドアを後ろ手に閉めるなり俯いたままの妹に、姉としても話し相手としても優しく声を掛けてやるのは当然のことだ。
 よってベッドに腰掛け、妹の言葉を待つ。

「……お姉様、あの」
 妹はしばらくの間その場でまごついていたが、やがて顔を上げるとベッドまで歩み寄った。
 優雅な動きで揺れる、黒いドレスが美しい。
 けれども今なお彼女の手は、何故か背中へと回っている。
「また戦人絡みの相談か? 妾には話を聴くことしか出来ないが、それでも良いのか?」
「違うんです、ええと……」
 目の前に来てもなお、せわしなく宙を行き来する妹の視線。珍しく目を合わせようとしないので、さすがの姉もどうしたものかと困惑する。
 やはり、戦人と喧嘩でもしたのだろうか。
 それから間もなく、ついに覚悟が決まったのか妹はおずおずと隠していた手を前に差し出す。
「実は、戦人さんの部屋からこんなものが……」
 差し出されたのは、ビデオケースだった。
「! こ……これは……!?」
 受け取ったそのビデオケースに、姉の開いた口は塞がらない。
 それは男女があられも無い格好で絡み合っている、あからさまに過激とわかるパッケージ。見るまでも無く、肝心の内容も相当にハードな代物だろう。
「偶然だったんです。戦人さんが外出されたので、その間に部屋の掃除でもしようかと思ったら……ベッドの下に……」
「あったのか?」
「はい」
「もしや、他にも色々と?」
「……はい」
「……」
 徐々に妹の頬は赤くなっていき、パッケージの数々を自ずと思い出してしまったのだと伝わってくる。
「戦人め、我が妹の手の届く所に何てものを……!」
 姉は絶句した後にビデオケースを傍らへ投げ捨て、赤面し項垂れている妹を自身の隣に導く。生まれたばかりの純粋な彼女には、これは少々毒が強すぎるだろう。
 あとで戦人を、徹底的に叱りつけてやらねば気がすまない。
「ああ落ち着け、そなたは何も悪くないぞ。悪いのはあの男だ、少し休め」
「……私、びっくりしてしまって、その……」
 一方の妹は背中をさすられると、膝の上で両手をぎゅっと握り締める。
 そうか、混乱しているのか。
「そなたは詳しいことなど何も知らずとも良いぞ、忘れてしまえ」
 婉曲にでもアダルトビデオの詳細など伝えられるはずも無く、姉は慰めの言葉を捜しながら妹を引き寄せた。
「これはあれだ、ええと……そう! 魔女としても情操教育上、明らかに好ましくな……」

 しかし言いかけた姉の唇を、妹は自身の唇で塞ぐ。
「ん……ッ!?」
「はぁ、ん……ちゅ、お姉様ぁ……」
 ぎょっとしている隙に妹の舌は咥内をぐるりと舐め上げ、ゆっくりと柔らかな舌を絡め取っていく。熱くなったその器官はぴちゃりぴちゃりと濡れた音を立て、ただでさえそっくりな二人をより近しいものに見せる。
 とは言えキスをしたままでは呼吸の上手く出来ない妹は、何度か唇を離しては切なげに姉を呼んだ。
 悩ましい声だ。
「お姉様、おねえ、さま……は、……ふ、ぅ」
 一瞬だけ妹の吐息が洩れる度、そのあまりの淫靡さに動揺する姉。
 口と口とを繋ぐ唾液は、照明によって銀色に光る。
 冗談だろうとすぐに彼女を引き剥がせなかったのは、貪るようなそれがこれまで自分の知らない快感であったから。ぎゅっと抱き付いてくる身体は、服越しにも燃えるように熱かった。
「……やめ、よ……んぅ、苦し……」
 丁寧に歯列をなぞられ、好き勝手に舌を動かされる。接近し過ぎたせいで互いの豊かな胸がぶつかり合い、それで姉の気恥ずかしさは尚更増す。
 しかし、もう止めようが無い。
「すみません……お姉様」
 そして姉が意識を飛ばしそうになるぎりぎりの所で、妹はようやく顔を離し舌足らずな謝罪をした。
「……な、……にが、だ……?」
「私、……もう、見てしまったんです」
 揃って息も絶え絶えになりながら、二人はじっと見つめ合う。
 同じ顔。
 同じ声。
 同じ姿。
 ――にもかかわらず身体は分かたれ、一つに成るまでは別の存在。
 見れば妹の手は、姉の纏うブレザーのネクタイをしゅるりと解いている。まろやかな頬の火照りと潤んだ瞳は妖しくも艶やかだが、今は自分も全く同じ表情をしているのかもしれない。
 姉はぼやけた意識の中、胸元が晒されたとて微動だに出来なかった。
「いけないとわかっていたのに、このビデオを見てしまったら……何だか身体が、ひどく熱くなってきて……」
 中身を知りたくなったのは、彼女が無垢な雛だからなのか。

「助けて下さい、お姉様……」
 それとも、彼女が既に淫蕩な魔女の本質を理解しているからなのか。
 姉には、到底判別がつかない。



 ネクタイを外し、ベストのボタンを外し、ブラウスのボタンを外していく指先。シーツの波に沈んだ姉はそれが妹の可憐な指先なのだと思うにつけ、背徳の感を隠せなくなる。
 けれども恥ずかしくて耐えられないのに、抵抗は出来なかった。
「お姉様、痛くありませんか……?」
「わ、妾のことは良いのだ! ……そなたの好きなように、すれば……っ」
 肯定の言葉を聴き終える前に、妹の掌が裸の胸に触れてくる。
 姉にはブラジャーを身に付ける習慣が無いので、ブラウスが肌蹴られれば大きな白い膨らみが直接なぞられてしまった。
 妹はほうとため息をつき、呟く。
「とても綺麗です、お姉様は。……ああ、何て綺麗な身体なんでしょう」
 そのまま乳房を軽く撫でると、姉はびくりと肩を震わせる。汗ばんだ長い髪は既にぐしゃぐしゃになっているし、みっともないだけではないのか。
 次に妹は胸を辿り腹を撫で、臍にキスを一つ落とす。
「……あッ、じれったいでは、無いか」
「でも、ビデオの中の女の人は男の人にこうしていましたよ? ……お姉様と比べると、随分とがっしりしていましたけど」
「男、が……?」
 霞がかった脳を叱咤して、姉は妹の返事を反芻した。
 なるほど、深くを知らない妹は女性による男性への愛撫の手順をなぞっているのか。戦人はいずれ「ベアトリーチェ」にこうされたかったのだろうか――考えると腹が立ってきて、妹の思い人と言えど許せない気持ちになる。
 だが、となるとこの先はどうなる?
「ま、待て……! 妾はそなたと同じ、女の性を持つ魔女であるぞ……!?」
 姉はスカートに手を掛けた指を制し、早口でまくし立てる。
 余計な抵抗を諦めたのは、いやらしい行為に初めて興味を示した妹をなだめるためだった。
 火照る肉体を一人ではどうしようも無いというのなら、女同士で慰め合うのも手段ではある。ゆえにしばらく妹の好きなようにさせ、それで人肌に触れるうち落ち着けば構うまいと考えていたのだ。
 しかし妹が、もし自分を「男性」に見立てて最後まで性行為を望んだとしたらそれは叶わない。
 ビデオで繰り広げられていたのと同じ快楽を、「女性」である姉は与えられない。

「……え?」
 動きを封じられた妹は、姉の発言に不思議そうな顔をしてみせた。
「お姉様は『お姉様』なのですから、女性であることは当然のことでは無いのですか?」
「いや、だからそういうことでは……ぁ、ん」
 ところが姉が油断した瞬間にスカートを捲り、黒の下着に隠された秘所を撫で上げる。右の人差し指が不意に触れてきた箇所は、的確に姉の弱い場所だ。
 甘い声を上げた姉に、彼女は微笑む。
 こんな淫靡な行為をする最中では場違いにも程がある、さながら慈愛の聖母のように。
「でも……私、お姉様に気持ちよくなって頂きたいんです。ビデオの説明にも書かれていましたよ、『男も女も気持ち良くなりたいのは一緒だ』って」
「はァん、や……ぁッ」
「それなら大丈夫です、きっと」
「……い、もうと……よ、……あぁ、っ!」
 言いながらも妹の指は、薄い布地の上から一点のしこり――クリトリスを何度も擦り上げる。最初は一本の指で、そのうち数本の指で包み込むようにして。
 そこが充血し勃起していくのを、姉は快感の内に自覚する。
「や、め……駄目だ、そ、こは……う、うぅ」
 直に触って欲しい。
 出来ることなら奥に指を差し入れて掻き回しながら、性感帯を摘み上げられても構わない。
 千年のうちに知識ばかり積もらせて浅はかなものと笑っていたその行為を、今の自分は望んでいる。かつてゼパルとフルフルが「愛あればこそ肉の味は素晴らしい」などと言っていた意味が、今更になって理解出来る。
 多くを知らない妹に無邪気に残酷にまさぐられて、この身体は悦んでいるのだ。
 脚が自ずと開きつつあるのが、その何よりの証拠。

 涙の滲んできた顔を妹に見られたくなくて首を捻ると、ちょうど視界にはあの投げ捨てたビデオケースが飛び込んでくる。
 忌々しい原因に姉は舌打ちするも、すぐさまその悪態は色気のある吐息に変わる。
「確か女の人にも、男の人のものの代わりがあるんですよね……?」
 かたや妹は恍惚とした表情で、なお姉のクリトリスをなぞり続けている。ぷっくりと膨れた突起はじわじわと溢れてくる愛液の助けを借り、少しずつ布の下にあるそれの形を浮かび上がらせる。
 そういえば陰核自体、発生学においては男性のペニスに近しいという。
 ならば妹にまじまじと見られてしまっているであろうこの勃起は、見ようによってはごく小さな男根にも思えるのかもしれない。
「……嫌……だぁッ、見る……で、ない……」
 水音のする脚の付け根に注目され、思考の溶かされた姉はもはや口先でしかその侵食を拒めない。
 妹はくすりと笑い、微かに衣擦れの音をさせてから返す。
「それなら……お姉様もほら、私を見て下さい……さぁ、……んぅッ」
 くちゅ――と。
 そこで静かな部屋に響いてきたのは、たっぷりと露を孕んだ淫らな水音。けれども今度のそれは姉から発せられたものでは無く、別の場所から聴こえる。
「な、……?」
「気持ちいい、です……私もッ、ここ……気持ち良くて、あぁ……」
 見るまでも無く状況を解しながらも、姉は反射的に音のするほうを見て後悔する。
 姉のクリトリスを弄る右手とは反対の手で、妹が上品なドレスの裾を大胆にたくし上げている。しかもその指先が引っ掻いているのは脚の付け根、いや彼女自身の陰核だった。
 姉にしているのと同じことを、彼女は己にも試している。
 違うのは妹の場合は既に下着をずり下げているため、直接秘所をまさぐっていることくらいか。
「……は、ぁッ、もっと……知りたい……!」
 初めて知る夢中になっているのか、妹は華奢な手を必死に動かしては性器のあちこちを指で探る。
 過激な映像を見てしまったことで感度も極限まで高まっており、押したり抓ったり揉んだりとその動作は初めてにしては加減を知らない。加えて左手の激しい愛撫につられておざなりになりかけた右手も動くため、姉も未知の快楽をぶつけられる。
「待ッ、あァ……ひ……ぁん!!」
「可愛い、です……お姉さ……ま……ッん、ふ……!!」
 嵐は来ていないにもかかわらず、二人の耳を荒れ狂う暴風雨と勘違いしそうになるほどの水音が犯していく。



 ベッドの上で身をくねらせる男女のパッケージ。
 いかにも年若い男が好みそうな、安っぽく下品な絡み合い。
 そこには、女が指を巧みに使って下着の上から男のペニスを刺激している様子が窺える。そして女自身もまたしどけなく脚を開き、空いた手で自分の性器をまさぐっている。
 他者への愛撫だけでは到底足りぬ、とでも言いたげに。

 淫行に耽る姉妹の光景と、偶然にも一致するビデオケースの写真。
 ただし「ベアトリーチェ」達のそれは千年を生きる魔女に相応しく、ニンゲンには筆舌尽くしがたいほどの妖艶さを秘めていた。


  • ありそうで無かった姉妹百合ktkr! ご馳走様でした、続編とかあったら読みたいです>< -- (通りすがり) 2010-12-28 02:34:25
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