March 26, 2004 / 53(RR03);1-36
Guidelines for Preventing Health-Care--Associated Pneumonia, 2003

''Recommendations of CDC and the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee''


勧告と報告

2004年3月26日/53 (RR03):1-36

医療に関係する肺炎の予防のためのガイドライン、2003年版

CDCおよび病院感染対策実施諮問委員会(HICPAC)の勧告
以下の人たちによって準備されました

オフェリア C. タブラン (医学博士) 1
ラリーJ.アンダーソン(医学博士) 2
リチャード・ベッサー (医学博士) 3
カロリン・ブリッジズ(医学博士) 2
ラナ・ハジー (医学博士) 3

1 国立感染症センター医療の質推進部門
2 国立感染症センターウイルス・リケッチア症部門
3 国立感染症センター細菌・真菌症部門

この報告の資料は国立感染症センターのジェームズM.ヒューズ医学博士、医療の質推進部門のデニスM. カルド医学博士、部長、そして細菌・真菌症部門のミッチェルL.コーエン医学博士、部長からもたらされました。

要約

この報告は、以前CDCより発行された「院内肺炎の防止のためのガイドライン」に取って代わる更新であり、拡張である。
新しいガイドラインは、急性期病院および他の医療施設(例えば、外来や長期治療施設)、や医療が施されるほかの施設での、肺炎や他の重症の急性の下気道の感染の発生を減らすよう計画されている。


細菌性肺炎予防の勧告の変更-特に人工呼吸器関連肺炎-の中には、機械的補助呼吸の必要な患者での経鼻挿管より経口挿管の使用が好ましく、気管挿管の必要性と期間を減
らすために非侵襲的な換気の利用、調子がわるかったり目で見て汚れているときに呼吸器の回路を交換すること、(可能なら)気道分泌を除去できるチャンネルのついた気管チューブの使用などが含まれているが、ストレスによる出血予防のためのスクラルフェート、H2受容体阻害薬または制酸剤の使用についての勧告はなされていない。
(注:スクラルフェートとは日本での製品名はアルサルミンなどで、成分はショ糖硫酸エステルアルミニウム塩)

医療に関係するレジオネラ症の予防のための変更には、飲用温湯をレジオネラ種が増えるのに適しない温度に維持すること、医療に関係するレジオネラ症を予防し管理するための総合的な計画の一部として組織移植施設の飲用水設備から水を採取し定期的に培養することを考慮する、そして入院造血幹細胞移植(HSCT)患者もしくは発症前すべての期間か2~10日間外来造血幹細胞移植ユニットを訪問したことのある二人以上の造血幹細胞移植患者において、一例の確定診断もしくは一例の可能性例が医療に関係するレジオネラ症と確認された時には、レジオネラ種の発生源のために調査を開始することが含まれている。


アスペルギルスの節で、改定された勧告には、同種造血幹細胞移植患者のための防護環境として層流よりもHEPAフィルターの付いた部屋の使用や、埃をたてる作業が施設内で行われている時に、重症の免疫不全患者が病室を出る時には高効率呼吸防護用具(例えばN95レスピレーター)を使用することが含まれている。

RSウイルスの節での、新しい勧告は、ケースバイケースの原則で、未熟児で生まれRSウイルス感染のリスクの高い24ヶ月未満の乳児や小児にモノクローナル抗体(palivizumab)を投与するかどうかを決定することである。

インフルエンザの節での、新しい勧告は、インフルエンザにかかっていないすべての患者に予防的にオセルタミビルを(アマンタジンとリマンタジンに)、そしてインフルエンザのアウトブレイクが認められている部署で実際にインフルエンザに罹っている患者に治療として(アマンタジンとリマンタジンに)オセルタミビルとザナミビルを追加することを含んでいる。

修正された勧告に加えて、ガイドラインには百日咳、そしてアデノウイルスおよびヒトパラインフルエンザウイルスによる下気道感染の新しい節を含んでおり、読者にSARSの予防と管理についての最新の情報に言及しています。


はじめに


医療に関係する肺炎は高い罹患率と死亡率を伴うため、その予防と管理のためのいくつかのガイドランが発行されてきた。

院内肺炎の防止のための最初のCDCガイドラインは、1981年に出版され、その時院内で罹った肺炎と関係がある主な感染対策問題に対処しました:人工呼吸器に付けられた高容量のネブライザーの使用と呼吸療法用具の不適切な再処理(すなわち、洗浄、消毒、滅菌)。
文書は、同様に院内で罹ったインフルエンザとRSウイルス(RSV)感染の予防と管理を網羅しています。

1994年に、医療管理感染対策実施諮問委員会(HICPAC)(当時病院感染対策実施諮問委員会として知られていた)は、レジオネラ症と肺アスペルギルス症を含めるため、院内肺炎予防のCDCガイドラインを修正し拡張しました(1)。

HICPACは、厚生省長官およびCDCの管理長官に医療に関連する感染症と有害事象の予防と管理について助言します。

1994年のガイドラインでは、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防することに関係のある懸案事項を扱いました。
(例えば肺炎と因果関係のあるストレス潰瘍予防の役割や議論の多い選択的消化管浄化の役割、感染を予防するための呼吸器回路の定期的交換など)

報告では、レジオネラ種やアスペルギルスによって引き起こされる院内感染肺炎を予防し管理するための勧告における主な変更点をも示しています。

おそらくアメリカ合衆国では、急性期病院での入院患者ケアから他の医療施設での外来患者や長期ケアへという、医療の担い手や焦点においての発展的な変化の結果、最近の数年で、急性期病院以外の医療施設における肺炎や他の下気道感染の予防と管理についての案内の要望が増えています。
この要望に答えて、HICPACはこれらの他の状況をカバーするためにガイドラインを修正しました。

急性期治療の病院設定についての感染対策のデータはより豊富にあり、よく分析されていますが;相対的に、長期ケア、外来、そして精神科施設や他の医療施設でのデータは限られています。

この報告は3部構成の文書の第II及びIII部であり(2)、以下の感染の予防についてのHICPAC勧告の合意を含んでいます:細菌性肺炎、レジオネラ症、百日咳、侵襲性肺アスペルギルス症 (IPA)、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスによる下気道感染、そしてインフルエンザ。


第III部では、感染対策職員がそれぞれの施設でガイドラインの勧告を実施するのに役に立つ、推奨された達成度指標が提供されています。

ガイドラインの第I部では、勧告の背景が説明され、疫学、診断、病因、伝播形態と、感染の予防と管理についての論議が含まれています。(3).

第I部は医療従事者の教育のための重要な資源になりえます。

医療従事者への教育は、効果的な感染対策プログラムの根本となるものであるので、医療機関は職員のための感染対策教育プログラムを継続することに高い優先度を与えるべきです。


HICPACの勧告は、医療に関係した肺炎や他の下気道感染の予防と管理、サーベイランス、感染と診断のついた症例報告、これらの疾患のヒト-ヒト感染の予防、宿主の感染リスクの低減について、医療従事者への教育として扱う問題としています。

結核菌によって引き起こされた下気道感染はこの文書で扱われません;しかし、別の刊行物でカバーされます(3)。

文書はCDCによって用意され、;感染対策、集中治療、呼吸器科学、呼吸療法、麻酔科学、内科学、および小児科学の専門家によって検討され、;そしてHICPACによって承認されました。

勧告は、米国胸部内科医学会(the American College of Chest Physicians)、米国医療協会(American Healthcare Association)、感染対策と疫学の専門家協会(Association for Professionals of Infection Control and Epidemiology)、米国感染症学会(Infectious Diseases Society of America)、米国健康管理疫学協会(Society for Healthcare Epidemiology of America)、そして集中治療医学会(Society of Critical Care Medicine)によって支持されています。


このガイドラインで使用されている主要な用語

防護環境(PE)とは、通常病院内で廊下に比して陽圧の空気の流れを持つ、特別な患者管理区域です。(すなわち、空気は、部屋から隣接している外部スペースに流れ出る)

高効率微粒子空気(HEPA)ろ過、時間当たり高頻度(毎時12回以上)の空気交換(ACH)、および部屋からの空気漏れを最小にすることの組み合わせで、同種造血幹細胞移植を受けた患者に安全な環境を提供できる。


免疫不全患者とは、免疫学的障害のために、免疫機構に欠陥のある患者たちです(例えば、ヒト免疫不全ウイルス[HIV]感染、先天的免疫不全症候群)、そして 慢性の病気(糖尿病、癌、肺気腫、あるいは心不全)、もしくは免疫抑制療法 (例えば放射線治療、細胞毒性の化学療法、拒絶反応防止薬、及びステロイド)。

高リスクの患者と認められる免疫不全の患者は、感染の危険が非常に高く、長期間重度の白血球減少(すなわち好中球の絶対数[ANC]が500細胞数/mL以下)の人、同種造血幹細胞移植患者、最も集中的な化学療法を受ける患者(例えば、小児急性骨髄性白血病患者)も含まれます。


このガイドラインで使用される略語


ACIP :Advisory Committee on Immunization Practices 予防接種実施諮問委員会
ANC :absolute neutrophil count 絶対好中球数
COPD :chronic obstructive pulmonary disease 慢性閉塞性肺疾患
CSF :cerebrospinal fluid 脳脊髄液
DTAP :diphtheria, tetanus, and acellular pertussis ジフテリア、破傷風、無細胞百日咳
DTP :diphtheria, tetanus, and pertussis ジフテリア、破傷風、百日咳
FDA :Food and Drug Administration 米国食品医薬品局
GCSF :granulocyte colony stimulating factor 顆粒球コロニー刺激因子
HEPA :high-efficiency particulate air 高効率微粒子空気
(訳者注:HEPAとだけ使う時はhigh-efficiency particle arrestor・高性能粒子捕捉器という略語が一般的らしい、high efficiency particulate airとして使う時はたいてい後にfilterが付き、高性能微粒子空気フィルターとなる)
HICPAC :Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee 医療感染対策実施諮問委員会
(訳者注:以前はHealthcareの代わりにHospitalとなっていて、病院感染対策実施諮問委員会と言っていた)
HIV :human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス
HME :heat-moisture exchanger 熱・湿気交換器
(訳者注:麻酔科的には人工鼻ともいう。最近はこれに細菌フィルターの効果が付いたものが多く使われているようだ)
HSCT :hemopoietic stem-cell transplant 造血幹細胞移植
ICU :intensive-care unit 集中治療室
IPA :invasive pulmonary aspergillosis 侵襲性肺アスペルギルス症
LAF :laminar airflow 層流空気流
NIV :noninvasive ventilation 非侵襲的換気
NNIS :National Nosocomial Infection Surveillance 米国国家院内感染サーベイランス、ニース
PE :protective environment 防護環境
RSV :respiratory syncytial virus RSウイルス
SARS :severe acute respiratory syndrome 重症急性呼吸器症候群
SDD :selective decontamination of the digestive tract 選択的消化管浄化
SOP :standing orders program 服務規程プログラム
VAP :ventilator-associated pneumonia 人工呼吸器関連肺炎

勧告のカテゴリー分類

この文書で、それぞれの勧告は、存在している科学的根拠、理論的な根拠、適応性、及び潜在的な経済的影響を基に分類されます。
さらに、新しいカテゴリーは現在ある国あるいは州の保険条例を基に作られた勧告に適合します。
以下のカテゴリー分類方式がこのガイドラインで用いられます:

カテゴリー IA.
強く実施が勧告され、適切に計画された実験的、臨床的、あるいは疫学的研究によって強く支持されている。

カテゴリー IB.
強く実施が勧告され、ある臨床的あるいは疫学的研究と強力な理論的根拠によって支持されている。

カテゴリー IC.
連邦あるいは州の規則か基準で命令され、実行する必要がある。

カテゴリー II.
実施が提案され、示唆に富む臨床的もしくは疫学的研究により、あるいは強い理論的根拠によって支持されている。

勧告しない(No recommendation); 未解決の問題(unresolved issue).
十分な証拠がなかったりもしくは効果について合意がない慣行


医療に関係する細菌性肺炎の予防


I. 感染防止を職員に教育し関与させること

医療施設での職員の責任レベルに応じて、能力を確実なものとするため、医療に関係する細菌性肺炎の予防の疫学についておよび感染管理方法を医療従事者に教育しなさい、そして、性能向上ツールと技術を使って、医療に関係する細菌性肺炎を予防するための介入行動に職員を関与させなさい (IA) (4--11)。


II. 感染および微生物学的サーベイランス

A. 医療に関係する細菌性肺炎に高リスクである集中治療室 (ICU) の患者(例えば、器械的補助換気を受けている患者もしくは選ばれた術後の患者)において、傾向を決定し、アウトブレイクや他の潜在的な感染管理の問題の認識を支援するため、細菌性肺炎のためのサーベイランスを行いなさい (12,13)。

新しい米国国家院内感染サーベイランス(NNIS)システムの肺炎のサーベイランス定義を使用する(14)。

原因となる微生物とそれらの抗菌薬感受性パターンに関するデータを含んでいること(15)。

病院間の比較と傾向の決定ができるように、比率(例えば、感染した患者数もしくは100集中治療室滞在日数あたりあるいは1000人工呼吸器日数あたりの感染数)としてデータを表しなさい (12,16,17)。

監視された比率と防止努力をリンクさせ、適切な医療従事者にデータを還元しなさい (IB)。

B. 明確な臨床的な、疫学的なもしくは感染管理の対象が存在しない場合は、患者や、呼吸療法、肺機能検査あるいは吸入麻酔供給のために使用された器材や用具を日常的に監視培養することはしない (II) (19--22) 。


III. 微生物の伝播の予防

A. 器材や用具の滅菌、消毒と保守

1. 一般的な処置

a. 滅菌もしくは消毒される器材と用具を徹底的に洗浄しなさい (IA) (23,24)。

b. 可能ならいつでも、熱や湿気に耐性のあるセミクリティカルな器具や用具(例えば、下気道の粘膜に直接あるいは間接に接触する道具)には、30分、華氏158度(摂氏70度)以上で蒸気滅菌(オートクレーブによって)もしくは湿性温熱パスツール式低温消毒法による高レベル消毒を使用しなさい。(ボックス)

熱や湿気に耐性がない用具もしくは器具には、(装置評価局、医療機器・放射線保健センター、食品医薬品局[FDA]によって認可された)低温滅菌法を使用しなさい (24--28)。

消毒の後に、作業中に汚染しないよう注意して、適切にすすぎ、乾燥し、包装しなさい (IA) (23,24)。

c. 化学的消毒を受けたあとにすすぎが必要な時、再使用できるセミクリティカルな呼吸用具をすすぐためには滅菌水を優先的に使用しなさい。

もしこれが可能でなければ、ろ過された水(すなわち0.2ミクロンのフィルターを通した水)か水道水ですすぎ、そして次にイソプロピルアルコールですすぎ、強制換気もしくは乾燥キャビネットで乾燥させなさい (IB) (24)。

d. 第三者によって再処理される単回使用器具のためのFDAの施行文書の規定に忠実に従いなさい(IC) (24,29)。

2. 人工呼吸器

人工呼吸器の内部の機構を日常的に滅菌あるいは消毒しないこと (II)。

3. 呼吸回路、加湿器、および熱・湿気交換器(HMEs)

a. 加湿器付きの呼吸回路

1) 個々の患者に使用中の呼吸回路(すなわち、呼吸器蛇管、呼気弁、そして取り付けられている加湿器)を使用時間を基にして、日常的に交換することはしない。

目で見て汚染していたり、機械的に作動不良となったら回路を交換しなさい(IA) (30--35)。

2) 呼吸回路・蛇管内凝結水

a) 人工呼吸器の蛇管内に集まったすべての凝結水を、患者の方に流れることを防止して、定期的に抜き捨てなさい(IB) (36)。

b) 前述の処置を行うために、そして/または液体を扱う時は、手袋を着用しなさい(IB) (37,38)。

c) 処置を行ったり液体を扱った後は(もし手が目で見て汚れていれば)石けんと流水で、またはアルコール基剤の手指擦式剤で手を浄化しなさい(IA) (38,39)。

3) 凝結水を集めるために呼吸器回路の呼気側蛇管の遠方の端にフィルターやトラップを設置することについて勧告はありません。(未解決の問題)

4) 加湿器の液体

a) 泡立て式加湿器を満たすには滅菌の(蒸留で滅菌されたのではない)水を使用しなさい(II) (36,40--43).

b) 閉鎖式の持続的水供給加湿装置の優先的使用について勧告はありません。(未解決の問題)

b. 熱・湿気交換器(HMEs)のついた人工呼吸器回路

1) 機械的補助換気を受けている患者に肺炎を予防するためにHMEsや加温加湿器を優先的に使用することについて勧告はありません(未解決の問題)(IB) (44--49).

2) HMEの交換

a) 機械的に作動不良になるか目で見て汚れたら患者に使用されているHMEを交換しなさい(II)

b) 患者に使用中のHMEを、48時間毎よりも頻回に定期的に交換することはしない(II) (50--52)。

3) 患者に使用中のHMEに接続された呼吸回路を(ひどく汚れたり作動不良でないかぎり)交換することはしない(II) (53).

4. 酸素加湿器

a. 酸素加湿器の使用においては、メーカーの指示に従いなさい(II,C) (29;54--56).

b. 個々の患者で使用されている加湿器の管(すべてのネーザル・カヌラやマスクを含む)は、作動不良となったり、目で見て汚れたら、交換しなさい(II)。

5. 少量薬物用ネブライザー:インラインおよび携帯型ネブライザー

a. 同一の患者の治療の間でも、少量薬物用、インラインもしくは携帯型ネブライザーを洗浄し、消毒し、(もしすすぎが必要なら)滅菌水ですすぎ、乾燥させなさい (IB) (57--59)。

b. ネブライザーのためには滅菌された液体のみを使用し、無菌的にネブライザーに分注しなさい (IA) (40--42,58,60--62)。

c. 可能な時はいつでも、単回投与バイアルに入ったエアロゾル化した薬剤を使用しなさい。

もし複数回投与用バイアルが使用されるのであれば、扱い方、保存法、薬剤の分注法についてメーカーの指示に従いなさい (IB) (60,62--67)。

6. 蒸気テント・ミストテント

a. 異なる患者に使用する場合、ミストテントおよびそのネブライザー、リザーバー、そして管類は滅菌もしくは高レベル消毒を受けたものと交換しなさい (II) (68)。

b. 一人の患者で使用されている場合、日常的なミストテントのネブライザー、リザーバーそして管類の交換頻度について勧告はありません(未解決の問題)。

c. 同じ患者に使用されているミストテントのネブライザー、リザーバー、そして管類は毎日低レベル消毒(例えば2%酢酸)もしくはパスツール式低温消毒し空気乾燥を行いなさい (II) (69)。

7. 呼吸療法に使用される他の器具

a. レスピロメーター及び呼吸器温度計: 異なる患者で使用する場合、携帯用レスピロメーターや呼吸器温度計は滅菌するか高レベル消毒を行いなさい (IB) (70--74)。

b. 蘇生用バッグ

1) 異なる患者で使用する場合、再使用できる手動蘇生バッグは滅菌するか高レベル消毒を行いなさい (IB) (75--79)。

2) 蘇生バッグに接続されている疎水性フィルターの交換頻度に関しては勧告はありません (未解決の問題)

8. 麻酔器および呼吸システム、つまり患者回路

a. 麻酔設備の内部の機構を日常的に滅菌もしくは消毒はしない (IB) (80)。

b. 異なる患者で使用する場合、再使用できる呼吸システムつまり患者回路(例えば、気管内チューブもしくはフェイス・マスク)、吸気・呼気蛇管、Yピース、リザーバー・バッグ、加湿器、管類を洗浄し、滅菌するか、製品メーカーの再処理指示に従って高レベル液体化学消毒もしくはパスツール式低温消毒を行いなさい (IB) (24,26).

c. 一方弁と炭酸ガス吸収装置チェンバーの日常的な洗浄と消毒の頻度についての勧告はありません (未解決の問題)(81).

d. 麻酔設備の呼吸システムつまり患者回路に付属している他の備品の使用中の保守、洗浄、消毒もしくは滅菌については公表されたガイドラインかメーカーの指示に従いなさい (IB) (82,83).

e. 麻酔設備の呼吸システムつまり患者回路に細菌フィルターを設置することに勧告はありません(未解決の問題)(4,84--89)。

9. 肺機能検査設備

a. 異なる患者で使用する場合、肺機能検査機器の内部機構を日常的に滅菌もしくは消毒しない (II) (90,91).

b. 異なる患者で使用する場合、ピークフロー・メーターのマウスピースまたは肺活量計のマウスピースやフィルターを交換しなさい (II) (24,92)。

10. 室内空気「加湿器」と蛇口の通風装置

a. 少なくとも毎日滅菌または高レベル消毒され、滅菌水のみを使用するのでなければ、エアロゾルを発生する大きな室内空気加湿器 (例えば、ベンチュリー原理、超音波、あるいは回転円盤、そして実際ネブライザーであるもの) を使用しない (II) (40, 93, 94)。

b. 蛇口の通風装置

1) 免疫応答性のある患者の区域から蛇口の通風装置を取り除くことに関する勧告はない(同様にレジオネラ症の節、第II部、I-C-1-d 節を参照) (未解決の問題)。

2) もし移植ユニットの水にレジオネラ種が検出されたなら、培養ではもはや検出されなくなるまで、ユニット内の蛇口の通風装置を取り外しなさい  (同様にレジオネラ症の節、第II部、セクションI-C-1-d を参照) (II) (95)。

B. 細菌のヒト-ヒト伝播の防止

1. 標準予防策

a. 手指衛生:

(もし、手が目で見て汚れていたり、タンパク性の物質で汚れていたり、もしくは血液や体液で汚染しているなら)抗菌薬スクラブと流水もしくは石けんと流水のどちらで洗うことにより、手をきれいにしなさい、または、手袋を着用していようがいまいが、手が粘膜や気道分泌物、もしくは気道分泌物で汚染した物体に触れた後、目で見て汚れていなければ、アルコール基剤の水が不要の消毒剤(例えば擦式手指消毒剤)を使用して手をきれいにしなさい 

手袋を着用していようがいまいが、気管内もしくは気管切開チューブを挿入されている患者に接触する「前後」で、そしてまた患者に使用されたいかなる呼吸器具に接触する「前後」において、前に述べたように手をきれいにしなさい (IA) (37,39)。

b. 手袋

1) いかなる患者の呼吸分泌物や呼吸分泌物が付着した物を扱う時でも手袋を着用しなさい (IB) (37)。

2) ある患者からの呼吸分泌物もしくは分泌物で汚染された物体を扱った後;他の患者、物体、もしくは環境表面に接触する前;そして同じ患者においても汚染した身体や気道、もしくは呼吸器具に接触したりする合間には、前に述べたように手袋を交換して、手もきれいにしなさい (IA) (37,39,96--98)。

c. 患者からの呼吸分泌物で汚染されることが予想される時、ガウンを着用しなさい、また汚染が生じた後、そして他のもう1人の患者にケアを提供する前にガウンを交換しなさい (IB) (37,97).

2. 気管切開を受けている患者のケア

a. 無菌状態で気管切開を行う (II)

b. 気管切開チューブを交換するときは、ガウンを着用し、無菌操作で滅菌もしくは高レベル消毒を行ったチューブと交換する (IB) (23,24,37)。

c. 気管切開口に毎日局所抗菌薬を塗布することに勧告はありません (未解決の問題) (99)。

3. 気道分泌物の吸引 ( Section IV-B-1-d を同様に参照)

a. 肺炎の予防に複数回使用の閉鎖システムの吸引カテーテルと単回使用の開放システムの吸引カテーテルのどちらが好ましいかについての勧告はありません (未解決の問題)(44,100-102)。

b. 気管内吸引を行う時に未滅菌の手袋より滅菌の手袋を着用することについての勧告はありません (未解決の問題)

c. 一人の患者で使用されている閉鎖吸引システムの内部カテーテルの日常的交換頻度に関する勧告はありません (未解決の問題)(103)。

d. もし、開放式吸引システムが行なわれるのであれば、滅菌の単回使用のカテーテルを使用しなさい (II)。

e. もし吸引カテーテルが患者の下気道に再挿入されて使用されるのであれば、吸引カテーテルから分泌物を取り除くためには滅菌の液体のみ使用しなさい (II)。


IV. 宿主の感染リスクを変更する

A. 感染に対する宿主の防御能を増す:免疫修飾の実行

1. 肺炎双球菌のワクチン注射

重症肺炎双球菌感染に高リスクの患者にワクチン接種を行いなさい

a. 以下の人に、23価の肺炎双球菌の多糖ワクチンを接種しなさい:65歳以上の人;5~64歳では慢性心血管疾患(例えば、うっ血性心不全もしくは心筋症)、慢性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、もしくは喘息ではない肺気腫)、糖尿病、アルコール中毒、慢性肝疾患(例えば、肝硬変)、もしくは脳脊髄液(CSF)漏;解剖学的に脾臓がないか脾臓が機能していない5~64歳の人:特別な環境もしくは社会的状況にいる5~64歳の人;5歳以上でHIV感染、白血病、リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、全身の悪性疾患、慢性腎不全、ネフローゼ症候群か他の免疫抑制を伴っている状態(例えば、造血幹細胞移植、固形臓器移植、もしくは長期全身コルチコステロイド投与を含む免疫抑制化学療法を受けた人)により免疫不全状態の人;そして長期療養所入所者 (IA) (104--109).

b. 2歳以下の全ての子供たちと、肺炎双球菌による病気にかかる危険のある24~59ヶ月の子供たち(例えば、鎌状赤血球症あるいは他の異常ヘモグロビン症の子供たち、あるいは機能的または解剖学的に脾臓のない子供たち;HIV感染症の子供たち;慢性の心臓、もしくは肺疾患[喘息を除く]、糖尿病、あるいは脳脊髄液漏をもった子供たち;そして悪性疾患、慢性腎不全あるいはネフローゼ症候群、長期コルチコステロイド投与を含む免疫抑制化学療法を受けたり固形臓器移植を受けたことを含む免疫不全の状態の子供たち)に、7価の肺炎双球菌の多糖蛋白結合ワクチンを投与しなさい。

24~59ヶ月の子供たちへのワクチン接種では、24~35ヶ月の子供たち、アメリカインディアン/アラスカ出身もしくは黒人の子供たち、そして育児センターに参加する子供たちを優先させることを考慮しなさい (IB) (104)。

c. ナーシング・ホームや他の長期療養所において、肺炎双球菌肺炎を含む重症肺炎双球菌感染を受けるリスクの高い人に、23価のワクチンを投与するという服務規程プログラム(SOP)を作りなさい (IA) (105,110,111)。

2. 医療に関係する肺炎の予防に、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)製剤やガンマグロブリン静注の日常的投与についての勧告はありません (未解決の問題) (112--117).

3. 医療に関係する肺炎の予防にグルタミンを日常的に経腸投与することについての勧告はありません (未解決の問題)(118,119)。

B. 誤嚥防止策

使用のための臨床的徴候が解決したなら直ちに、気管内、気管切開、そして/あるいは経腸の(すなわち、経口もしくは経鼻胃あるいは空腸の)チューブのような器具を患者から取り除きなさい (IB) (120--125).

1. 気管挿管に関係している誤嚥の防止

a. 気管挿管の必要性と期間を減らすために非侵襲的な換気法(NIV)を使用しなさい

1) 実行可能で、医学的に禁忌でない場合、呼吸不全であるが直ちに挿管が必要でない患者(例えば、COPDもしくは心源性肺水腫の悪化に続発する高炭酸ガス性呼吸不全状態の患者)には、気管挿管する代わりにフェイスあるいは鼻マスクで持続的に非侵襲的陽圧換気を行いなさい (II) (126--9).

2) 実行可能で、医学的に禁忌でない場合、気管挿管の期間を短くするため、(器械的補助換気からの)離脱の過程の一部に非侵襲的な換気法(NIV)を使用しなさい (II) (130)。

b. 可能な限り、器械的補助換気を受けた患者を再挿管することはさけなさい (II) (131)。

c. 患者の状態によって禁忌でない限り、経鼻挿管より経口挿管を行いなさい (IB) (44,132,133)。

d. もし実行可能ならば、(持続的あるいは頻回の間歇的な吸引によって)患者の声門下部に集まった気管分泌物を排出させることのできる気管内カフの上部に背側に内腔チャンネルのある気管内チューブを使用しなさい (II) (44,134--137)。

e. 抜管の準備で気管内チューブのカフを脱気する前または抜管の前に、カフの上から分泌物が除去されていることを確認しなさい 

2. 経腸栄養に関係する誤嚥の予防

a. 医学的禁忌がなければ、誤嚥のリスクの高い患者のベッドの頭部は30~45度挙上しておきなさい (例えば、器械的補助換気を受けていて/あるいは経腸栄養チューブが入っている患者) (II) (138--140)。

b. 日常的に栄養チューブの適切な位置を確認しなさい (IB) (141--143)。

c. 経腸栄養のために細い口径のチューブの使用が好ましいかについての勧告はありません (未解決の問題)(144)。

d. 経腸的栄養を持続的にするか間歇的にするほうがいいかについての勧告はありません (未解決の問題)(145--148)。

e. 栄養チューブ(例えば、空腸チューブ)を幽門より遠位に置いたほうがいいかについての勧告はありません (未解決の問題)(149--155).

3. (細菌の)口腔咽頭定着の予防または変調

a. 消毒剤による口腔咽頭の洗浄と浄化:医療に関係する肺炎のリスクの高い急性期治療の施設の患者もしくは長期療養型施設の居住者に対し、(消毒剤の使用もおそらく含まれる)包括的な口腔衛生プログラムを開発し実行しなさい (II) (156,157) 。

b. クロルヘキシジン口腔すすぎ

1) 肺炎のリスクの高いすべての術後または重篤な患者で、医療に関係する肺炎の予防に口腔クロルヘキシジンすすぎを日常的に行うことの勧告はありません (未解決の問題)(II) (158)。

2) 心臓手術を受ける成人患者では、周術期間中(0.12%)のグルコン酸クロルヘキシジン液で口すすぎを行いなさい (II) (158)

c. 局所抗菌薬による口腔内浄化

1) 人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防するための口腔内浄化のために日常的に局所抗菌剤を使用することに関する勧告はありません (未解決の問題) (159).

4. (細菌の)胃内定着予防

a. 機械的補助換気を受ける患者にストレス性出血予防のためにスクラルフェート、H2拮抗薬、および/または制酸剤を使用した方がよいかについての勧告はありません (未解決の問題)(160--167)。

b. すべての重篤な器械呼吸を受けているもしくは集中治療室の患者に日常的に消化管の選択的浄化(SDD) を行うかについての勧告はありません (未解決の問題)(168--200).

c. 日常的に経胃栄養を酸性にするかについて勧告はありません (未解決の問題)(201,202)。

C. 術後肺炎の予防

1. 特に肺炎にかかりやすいリスクの高い患者に、術後に医学的に適応となったらすぐに、深呼吸をすることと歩き回ることについて、術前に指導を行いなさい

高リスクの患者とは以下のものを含む;腹部大動脈修復、胸部手術、または緊急手術を受ける患者;全身麻酔を受ける患者;60歳以上の患者;完全に機能的に依存状態の患者;10%以上の体重減少のあった患者;慢性の状態のためにステロイドを使用している患者;アルコール中毒の最近の既往、慢性閉塞性肺疾患の既往、もしくは前年度中の喫煙歴のある患者;感覚中枢障害、神経学的欠損が残っている脳血管障害の既往、もしくは血中尿素窒素濃度が低い(8mg/dL以下)か高い(22mg/dL以上)患者;そして手術前に輸血を4単位以上受ける患者 (IB) (203--206).

2. すべての術後の患者に医学的に禁忌でなければ、深呼吸をすること、ベッドの周りを動くこと、そして歩き回ることを奨励しなさい (IB) (205--207)

3. 肺炎の危険の高い術後患者にインセンティブ・スパイロメトリー(呼吸機能訓練用肺活量計)を使用させなさい (IB) (205--207).

4. 肺炎の危険の高いすべての術後患者に日常的に胸部理学療法を行うかについての勧告はありません (未解決の問題)(205--207).

D. 他の肺炎予防策

1. 選択的消化管浄化(SDD)以外の抗菌薬投与

a. 全身的抗菌薬予防投与

重篤な患者もしくは器械的補助換気を受けている患者に肺炎を予防するために、全身的に抗菌薬を日常的に投与することに関して勧告はありません (未解決の問題)(200, 208)。

b. 経験的治療のために使われる抗菌薬の種類の計画的な変更

特別な患者群に疑われている感染症の経験的治療のため日常的に使われる抗菌薬の種類を計画的に変更することに関して勧告はありません (未解決の問題)(209,210)。

2. 回転つまりローテイション治療

重篤なそして動けない患者における医療に関係する肺炎を予防するために、「動的」治療や持続的側臥位回転治療(すなわち、縦方向に間歇的ないし持続的に回転するベッドに患者を固定する)による回転治療つまりローテイション治療の日常的使用についての勧告はありません (未解決の問題)(44,211--216)。



医療に関係するレジオネラ症の予防と管理

I.一次的予防策

(一例の症例も証明されていないときの医療に関するレジオネラ症の予防)

A. 職員教育

1. 内科医が医療に関係するレジオネラ症の症例と気づくことを高め、診断に適切な方法を使えるよう、教育しなさい (II)。

2.医療に関係するレジオネラ症を予防し管理する方法について患者ケア職員、感染管理職員、そして技術者を教育しなさい (II)。

B. 感染と環境のサーベイランス

1. 医療に関係するレジオネラ症の診断のためには、まずいつでもレジオネラ症の可能性を考え、疑いのある症例、特にこの疾患にかかりやすい患者(例えば、造血幹細胞移植もしくは固形臓器移植を受けた患者;全身的ステロイド投与を受けた患者;65歳以上の患者;または糖尿病、うっ血性心不全や慢性閉塞性呼吸器疾患のような慢性基礎疾患をもった患者)で、レジオネラ症の診断検査(適切な呼吸系標本の培養と尿抗原試験の両方)を行いなさい (IA) (217--226)。

2. 施設内でレジオネラ症のための検査室診断検査が使える状態にあり、臨床医が利用できることを定期的に検討しなさい、そして、もし臨床医が肺炎と診断されるか疑われている患者に日常的に検査を使用しないのであれば、臨床医が検査をもっと使用するような処置を講ずること(例えば、継続的な教育プログラム)(II) (227,228)。

3. レジオネラ種のための給水システムの日常的な培養検査

a. レジオネラ感染に高リスクの人のための患者ケア区域(例えば、移植ユニット)を持たない医療施設において、日常的にレジオネラ種のために給水システムを培養することについては勧告はありません (未解決の問題)(95,229--238)。

b. 造血幹細胞および/あるいは固形臓器移植プログラムを持っている施設で、移植患者でのレジオネラ症を予防するという包括的な戦略のひとつとして、移植ユニットからの水を採取し、レジオネラを定期的に培養する方法がある (II) (95,239--241)。

c. もし(bに書かれているような)培養を行ったら;

1) 移植ユニットにおける環境サーベイランス培養のための最善の方法(すなわち、頻度や測定場所数)については、勧告はありません

2) ユニットの給水システムにおいては、レジオネラ種が測定限界以下に維持されることを目的に是正措置を行ないなさい (II)。

3) たとえ環境的なサーベイランス培養がレジオネラを検出しないとしても、医療に関係する肺炎をもつ移植患者ではレジオネラ症を常に疑いなさい (IB) (224,227)。

C. 医療器具、設備、環境の利用と処置

1. ネブライザーとその他の器具

a. ネブライザー用の器具と他のセミクリティカルな呼吸ケア設備が洗浄されもしくは消毒された後、すすぐためには滅菌水を優先的に使用しなさい (58,242)。

もしこれが可能でなければ、ろ過された水(すなわち0.2ミクロンのフィルターを通した水)もしくは水道水ですすぎ、次にイソプロピルアルコールですすぎ、強制換気もしくは乾燥キャビネットにいれて乾燥させなさい (IB) (24)。

b. ネブライザーに使う器具のリザーバーを満たすためには滅菌水(蒸留して滅菌したものでない)のみを使用しなさい (IA) (40,58,229,242,243)。

c. 少なくとも毎日滅菌または高レベル消毒され、滅菌水のみを使用するのでなければ、エアロゾルを発生する大きな室内空気加湿器 (例えば、ベンチュリー原理、超音波、あるいは回転円盤、そして実際ネブライザーであるもの) を使用しない (II) (242,243)

d. 蛇口の通風装置

1) 免疫応答が正常な患者の区域で、蛇口の通風装置を取り除くことについては、勧告はありません(同様に 第Ⅱ部、細菌肺炎, section III-A-10-b を参照) (未解決の問題)

2) もし移植ユニットの水からレジオネラ種が検出されたなら、重症の免疫不全患者のための区域では、レジオネラ種が培養で検出されなくなるまで、蛇口の通風装置を取り除きなさい (II) (95)。

2. 冷却塔

a. 新しい建物を建築するときは、冷却塔からの空気の流れ出し(ドリフト)が施設の空気取り入れ口から離れるように設置し、かつエアロゾルの流れ出しが最少となるように設計しなさい (IB) (95,244--5)。

b. 冷却塔のために、空気の流れ出し除去装置(ドリフト・エリミネーター)を設置し、定期的に効果的な殺生物剤を使用し、メーカーの指示に従って冷却塔を維持し、適切な保守記録をつけなさい (IB) (95,244--5)。

3. 給水システム

a. 実行可能な場合そして州の法律で許されていれば、特に臓器移植患者もしくは他の高リスクの患者が居住している施設では、出水口での水道水温度を摂氏51度(華氏124度)以上、もしくは摂氏20度(華氏68度)以下に維持しなさい (244--248)。

もし水温が摂氏51度(華氏124度)以上に維持していれば、やけどを防ぐために温度調節混合栓を使用しなさい (II) (249).

b. 水を二酸化塩素、重金属イオン、オゾン、紫外線で処理することについての勧告はありません (250--266)。

自治体によるモノクロラミン処理した水を供給されている病院は、レジオネラをコントロールすることに成功してきました (未解決の問題)(267--8).

4. 造血幹細胞もしくは固形臓器移植プログラムを持つ医療施設 

もし移植ユニットの水道水からレジオネラが検出されたら、培養でレジオネラが検出されなくなるまで以下のことを行いなさい;

a. II-B-2-b-3)-a)-i から v のように給水を浄化しなさい (IB)。

b. 重度の免疫不全患者がシャワー浴することを制限しなさい (IB) (239,269)。

c. 造血幹細胞移植患者のスポンジ浴には、レジオネラに汚染されていない水を使用しなさい (IB) (270,271)。

d. 造血幹細胞移植患者に、歯磨き、飲用、または経鼻胃管を洗い流すためには滅菌水を提供しなさい (IB) (239,271)。

e. 感染性のエアロゾルの産生を防ぐために、病室の蛇口からのレジオネラで汚染した水を使用しない (II) (269)。


II.二次的予防策

(検査で確定された医療と関係するレジオネラ症の確認に対する対応)

A. 造血幹細胞移植または固形臓器移植患者のいる施設では:

造血幹細胞移植もしくは固形臓器移植ユニットの一人の入院患者が、検査室確認で確診例(すなわち、連続10日間以上の入院)、もしくは可能性例(入院2~9日間以内)の医療と関係するレジオネラ症となるか、あるいは、二人以上の患者が6ヶ月以内にお互いに発症前2~10日の間に外来移植ユニットを訪問した後に、検査室確認されたレジオネラ症を発症したとき;

1. もし、疾患が報告可能であり、援助が必要であるなら、地方のもしくは州の保健所、あるいはCDCに連絡しなさい (II, IC)。

2. 施設の感染対策チームと相談して、(概略はII-B-2-b-1)からII-B-2-b-5)まで書かれているように)レジオネラの発生源を決定するために疫学的および環境的な複合した検査を行いなさい (95,239)。

シャワー、水道の蛇口、冷却塔、お湯タンク、カーペット・クリーナーの洗浄水タンクのような可能性のある発生源に対する調査を含むが、それらのみに制限しないこと (226,228,272).

その同定により、レジオネラ種の発生源を浄化するか除去しなさい (II)。

3. もし医療施設の水道システムがレジオネラ種の発生源とわかったら、セクションI-C-4-b からeで概説された方法を守り、造血幹細胞移植や固形臓器移植患者に施設の水道を使わず、セクションII-B-2-b-3)-a)-i から v のように上水道を浄化しなさい (IB)。

4. 疾患の潜伏期間のほとんどの期間、入院患者の移植ユニットに接触していない患者で、医療に関係するレジオネラ症の可能性例が孤立して発生した場合、大規模な施設調査は行わないこと (II)。

B. 重症の免疫不全患者(例えば、造血幹細胞移植もしくは固形臓器移植患者)が住んでいない施設では:

検査室で確定された医療に関係するレジオネラ症の確診例が一例認識されたとき、もしくは二例以上の検査室で確認された医療に関係するレジオネラ症の可能性例が相互に6ヶ月の間に発生したとき;

1. もし、疾患が報告可能であり、援助が必要であるなら、地方のもしくは州の保健所、あるいはCDCに連絡しなさい (II, IC)。

2. 以前の症例を確認するため、後追いの微生物学的、血清学的、そして死後のデータを見直すことで疫学的な調査を行いなさい、そして、医療に関係するレジオネラ症のさらなる症例のための集中的な前向きのサーベイランスを始めなさい (II).

a. もし、持続的な院内伝播の事実が存在しなければ、サーベイランスを開始してからさらに二ヶ月以上、症例を求めて集中的なサーベイランスを継続しなさい (II)。

b. もし、持続した伝播の事実が存在すれば;

1) エアロゾル化した水の可能性のある発生源から水の標本を採取し、保存し、患者および環境から得られたレジオネラ種の分離菌の型を調べ、レジオネラ種の発生源を決定する環境調査を実施しなさい (IB) (40,58,270,273--282)。

2) もし発生源が特定されないなら、さらに2ヶ月以上新しい症例を求めてサーベイランスを続け、アウトブレイクの範囲によって、アウトブレイクに関係している特定の病院区域に特別の注意をはらいつつ、レジオネラ種の発生源を特定できるまで浄化を延期するか、病院の給水システムの浄化を行うか決定しなさい (II)。

3) もし、感染源が疫学的および環境調査によって確認されたら、直ちに感染源を浄化しなさい (IB)。

a) もし、加熱水システムが関係していたなら:

i. 過熱あるいは過塩素化によって加熱水システムを浄化しなさい

過熱するために、熱水の温度を摂氏71度~77度(華氏160度~170度)に上げなさい、そして、システム周りのそれぞれの出水口を徐々にフラッシュしている間、その温度を維持しなさい 

5分という最低限のフラッシュ時間が勧告されてきました;しかし、最適のフラッシュ時間は分かっておらず、それ以上のフラッシュ時間が必要とされるかもしれません

それぞれのフラッシュされる出水口に、患者、職員や訪問者がやけどをしないように警告を掲示しなさい 

できれば、建物に人が少ないとき(例えば、夜間や週末)にフラッシュを行いなさい 

熱によるショック療法が不可能なシステムには、選択枝として塩素によるショック処置を使いなさい

(できるなら一晩中)システムの全体にフリーの塩素残余が2mg/L(2ppm)以上になるように塩素を加えなさい

これには湯沸し器あるいはタンクの塩素化に20~50mg/L(20~50ppm)の濃度の塩素化を必要とします

水のpHは7.0~8.0を維持しなさい (IB) (230,244, 246,248,277,283--285)。

ii. 公共の建物での飲用水温度についての地方および州の規則(247)によって、レジオネラの増殖を起こさない温度で飲用水を循環させなさい;冷たい水は摂氏20度(華氏68度)以下で貯蔵し給水しなさい;そして、温湯は摂氏60度(華氏140度)以上で貯蔵し、最低限の戻り温度を摂氏51度(華氏124度)として循環させなさい (II) (95,245--248)

iii. もし3a-iと3a-iiで述べられた方法で病院の水が浄化できていなければ、浄化手順の調査と更なる努力のために専門家に相談しなさい (II)。

iv. 二酸化塩素、重金属イオン、オゾン、または紫外線で水を処理することに関する勧告はありません (250--266).

これらの方法を使って浄化に成功したと報告した幾つかの病院があります (未解決の問題)。

v. 溜まった湯あかや沈殿物を取り除くために、温湯貯蔵タンクと湯沸かし器をきれいにしなさい (IB) (95年)。

b) もし冷却塔か蒸発凝縮器が関係していれば、冷却塔システムを浄化してください IB (95,244)。

4) 二週間の間隔で三ヶ月間、培養のための標本を集めることにより、レジオネラ種を減らしたり取り除いた処置の有効性を評価しなさい (II)。

a) もし二週間の間隔で三ヶ月間の監視で培養によりレジオネラ種が検出されなければ、更にもう三ヶ月間毎月培養を行いなさい (II)。

b) もしレジオネラ種が一つあるいはそれ以上の培養で検出されたなら、行なわれた管理手順を見直し、然るべく修正し、浄化処置を繰り返しなさい 

くり返される浄化法のための選択には、最初の浄化で使われた同じ技術の集中的利用、もしくは過熱と過塩素化の組み合わせを含んでいます (II) (284).

5) 保守手順を含む総ての感染管理方法と冷却塔や飲用水システムの環境検査結果の記録を保存しておきなさい (II)。



医療に関係するインフルエンザの予防と管理

I. 職員教育

医療に関係するインフルエンザの予防での責任のレベルに応じて医療従事者に、インフルエンザの疫学、伝播の形式、診断そして広がりを予防する方法について継続的な教育を提供するか、継続的な教育を利用させなさい (II) (109,387--389)。


II. サーベイランス

A. 地域社会でインフルエンザの活動が増加したことに施設の職員が即座に注意を喚起されるような機構を立ち上げなさい (II)。

B. 施設で獲得されたインフルエンザの症例をすぐに診断するために努力を集中させるためのプロトコールを立ち上げなさい

1. 施設でのインフルエンザまたはインフルエンザ様疾患の発生もしくは流行の閾値をインフルエンザ様疾患患者の検査室検査を行って決定しておきなさい、そうすればアウトブレイク管理手段が着手されます (II) (390)。

2. 検査室検査が特に11月から4月の間、臨床医がインフルエンザの迅速診断をするために利用できるよう手配しておきなさい (II) (391--394)。


III. インフルエンザの宿主リスクを修飾する

A. 予防接種

1. 急性期治療施設(急性期病院、救急室、そして外来診療所を含む)または、継続ケア施設(内科医診療所、公衆衛生クリニック、従業員健康クリニック、血液透析センター、病院内専門ケアクリニック、外来患者リハビリテーションプログラム、および移動クリニックを含む)では、9月から初めてインフルエンザのシーズン中を通して、インフルエンザの合併症の高いリスクの入院患者と外来患者に予防接種を勧めなさい (108,395--397)。

インフルエンザに関係する合併症の高リスクのグループには以下のものがふくまれる;65歳以上、慢性的な医学的状況にあるいかなる年齢の人が住んでいるナーシング・ホームや他の慢性ケア施設の住人;喘息を含む、肺または心血管系の慢性異常のある成人と6ヶ月以上の子供;定期的な医学的継続処置や慢性代謝疾患(糖尿病を含む)、腎不全、異常ヘモグロビン症、免疫抑制(化学療法またはHIVによる免疫抑制を含む)により前年に入院した成人と子供;長期アスピリン治療を受けている子供と青春期世代(6ヶ月から18歳);インフルエンザシーズンに妊娠第2期か第3期の女性 (395,398--403)。

さらに、年一回のインフルエンザ予防接種を、50~64歳の全ての人に、24ヶ月未満の子供と密接に接触する人そして、健康な6~23ヶ月の子供たちに提案しなさい (IA) (395)。

2. ナーシング・ホームや他の長期ケア施設で、セクション III-A-1 で確認した高リスクの人に不活化インフルエンザワクチンをタイムリーに接種できるよう服務規程プログラム(SOP)を立ち上げなさい (IA) (109--111,395)。

a. (もし地域もしくは州の法律で必要とされれば)すべての居住者(もしくは彼/彼女の後見人)から居住者が施設に入院した時もしくは次のインフルエンザシーズンの前なら後でいつでも、インフルエンザワクチンのための同意をとりなさい (IB) (109,395,404).

b. インフルエンザワクチン接種が医学的に禁忌の人を除いて、(服務規程プログラム・SOPもしくは居住者のかかりつけ内科医の同意の下で)インフルエンザシーズンの前に毎年ある時に、すべての居住者に定型的に予防接種しなさい

施設の予防接種プログラムの完了後の冬の数ヶ月の間入院する居住者には、入院時に予防接種を勧めなさい (IA) (395,402,404,405)。

c. セクションII-A-1 と -2,(訳者注:セクションIII-A-1 と-2の間違いと思われる)に含まれていない医療が施される(例えば、訪問医療機関からの職員による在宅訪問)施設においては、インフルエンザシーズン前に、予防接種の適応である患者に、セクションIII-A-1のリストのように予防接種を行いなさい、そして患者の同居人やケア供給者に予防接種について問い合わせなさい (IA) (395)。

3. 職員

a. 毎年10月になったら、夜勤および週末勤務職員を含めて、不活化インフルエンザワクチン接種を行いなさい (395,406--10)。

インフルエンザシーズン中、新しく採用された職員と当初ワクチン注射を拒否した人が利用できるようにしておきなさい

もしワクチンの供給が限られていれば、セクション III-A-1 に挙げたような、インフルエンザ感染の重大な合併症のリスクの非常に高い患者をケアする職員に最も高い優先順位をつけなさい (IA) (395)。

b. 医療従事者に予防接種の恩恵と、自身と患者にとってインフルエンザにかかることが、健康上どういう結果をもたらすか教育しなさい (IB) (395)。

c. 従業員健康管理プログラムの一部として、すべての医療従事者が働く部所で無料で不活化インフルエンザワクチンを利用しやすいようにしなさい (IB) (395)。

B. 抗ウイルス薬の利用(セクションV-Cを参照)


IV. ヒト-ヒト伝播の予防

A. 飛沫予防策

1. 医学的に禁忌がなければ、インフルエンザと診断された患者は個室あるいはインフルエンザとわかっている他の患者と同じ部屋に入れなさい (IB) (37)。

2. インフルエンザにかかっている疑いのある患者は個室に入れ、患者の感染に必要な最小限まで感染管理予防策を早期に引き下げられるよう迅速診断検査を直ちに行いなさい (II) (37)。

3. 患者の病室に入るときもしくは患者から3フィート(約1m)以内で働くときはサージカルマスクを着用しなさい (IB) (37)。

4. 患者の病室からの移動や搬送は、本当に必要不可欠な場合だけに限定しなさい

もし患者の移動や搬送が必要なら、可能なら患者からの飛沫の拡散を最小限にするため、患者にサージカルマスクを着用させなさい (II) (37)。

B. 目の防護

インフルエンザの診断がついているか疑いのある患者の病室に入るときもしくは患者から3フィート(約1m)以内で働くときに、目の防護具をつけることに関する勧告はありません (未解決の問題)

C. 接触予防策

インフルエンザの確診または疑診の患者に(飛沫予防策に加えて)接触感染予防策を遵守することに関する勧告はありません (未解決の問題) (37,411)。

D.標準予防策

1. 患者へのケアおよび接触する前後、もしくは患者の呼吸分泌物に接触した後には、手袋を着用しているかいないかに関わらず手の浄化を行いなさい

もし手が目で見て汚れているかあるいはタンパク質性の物質で汚れているかもしくは目で見て血液か体液で汚れていれば、石けんと流水、もしくは消毒剤スクラブと流水で手を洗いなさい

もし手が目で見て汚れていなければ、アルコール基剤の手指擦式剤を使いなさい (IA) (39)。

2. もし患者の呼吸分泌物に手が触れる可能性があるなら、手袋を着用しなさい (II) (37,411)。

3. もし患者の呼吸分泌物に衣服が汚染される可能性があるなら、ガウンを着用しなさい (II) (37)。

E. 空気管理

インフルエンザが疑われているか診断された患者の病室の空気圧を陰圧に維持すること、もしくは独立換気の備わっている病院の区域にインフルエンザ様の疾患にかかっている患者を一緒に収容することに関しては勧告はありません (未解決の問題)(412--414)。

F. 職員の制限

急性期治療施設で、インフルエンザ様疾患にかかっている職員を評価し、直接の患者接触を含む義務から免除すべきかどうかを決定するために、施設従業員医療制度もしくはそれと同等の制度を利用しなさい 

インフルエンザ関連合併症に最もかかりやすい患者が配置されている患者ケア区域(例えば、集中治療ユニット、保育所、および臓器移植[特に造血幹細胞移植])で働く職員には、もっと厳しい基準を使用しなさい (IB) (415--417)。


V. インフルエンザ アウトブレイクの管理

A. アウトブレイク株の決定

アウトブレイクの早期から、インフルエンザを疑わせる症状が最近出ている患者から鼻咽腔ぬぐい綿棒もしくは鼻腔洗浄標本で迅速インフルエンザウイルス検査を行いなさい 

さらに、感染ウイルスタイプ及びサブタイプを決定するために患者の一部からウイルスを培養しなさい (IB) (391--394)。

B. 患者と職員への予防接種

最新の不活化インフルエンザワクチンを未接種の患者と医療従事者に接種しなさい (IA) (395,402,406,408)。

C. 抗ウイルス薬投与

1. インフルエンザの施設内アウトブレイクが疑われているか認識されたときは:

a. 関係しているユニットの抗ウイルス薬が禁忌でないインフルエンザにかかっていないすべての患者(前の秋にインフルエンザ予防接種を受けたかどうかにかかわらず)に、最低2週間あるいはアウトブレイクの終息後約1週間まで、予防的にアマンダジン、リマンタジン、もしくはオセルタミビル(タミフル)を投与しなさい

標本採取後12~24時間以内に感染株を決定する診断結果が出ない限り、予防のための抗ウイルス薬(複数の場合も)の投与を遅らせてはならない (IA) (395,405, 418,419).

b. 発症後48時間以内にインフルエンザに確実にかかっている患者にアマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルもしくはザナミビル(リレンザ)を投与しなさい

地域社会に循環しているインフルエンザウイルスの型に適切な薬剤を選択しなさい (IA) (395,405,418--421)。

c. 抗ウイルス薬が禁忌でなく、関係するユニットにいるか、高リスクの患者のケアを行う予防接種を受けていない職員に、予防的に抗ウイルス薬(時に複数)(アマンタジン、リマンタジン、もしくはオセルタミビル)を薦めなさい (IB) (395,405,418,419,422)。

d. もしアウトブレイクがワクチンに合っていないインフルエンザの変種によるものなら、予防接種の状態にかかわらず、すべての医療従事者に予防投与を考慮しなさい (IB) (395)。

e. 患者もしくは職員にザナミビル(リレンザ)の予防的投与に関しては勧告はありません (未解決の問題) (395,423--425)。

f. もし、検査結果が施設内アウトブレイクの原因がインフルエンザではないと確実あるいは強く示唆した場合には、患者もしくは職員への抗インフルエンザ薬の投与を中止しなさい (IA) (426)。

g. もし、アウトブレイクの原因がインフルエンザと確実にあるいは信じられ、感受性のある患者と職員が極最近にやっと予防接種を受けていた場合には、予防接種後2週間まで、抗ウイルス薬の予防投与を続けなさい (IB) (395,427)。

2. 薬剤耐性ウイルスの伝播の可能性を減らすために、「インフルエンザによる合併症の高リスクの人」と、「インフルエンザが確実もしくは疑いで治療のため抗ウイルス薬を投与されている患者もしくは職員」が、投与中および投与終了後2日までは、接触することを許可しないこと (IB) (428--432)。

D. 急性期施設での他の方法

特に高い発生頻度と重症度で特徴づけられたインフルエンザアウトブレイクが地域および/もしくは施設で発生した時:

1. 予定の内科および外科入院を抑えるかやめなさい (II) (416)。

2. 心血管系および呼吸器系手術は緊急例のみに制限しなさい (II) (416)。

3. 医療施設にインフルエンザもしくはインフルエンザ様疾患をもった人が訪問することを禁止しなさい (II) (416)。

4. インフルエンザもしくはインフルエンザ様疾患をもった職員が患者ケアをすることを禁止しなさい (IB) (416)。



重症呼吸器症候群(SARS)

医療施設における重症呼吸器症候群(SARS)の予防と管理について最新の情報が別の刊行物で利用することができます (433).



第III部:


達成度指標

職員の勧告への遵守を評価するための感染管理職員を補助する以下の達成度指標が提案されています:

呼吸器関連肺炎(VAP)の頻度の監視;確立された肺炎の基準と定義を利用できます(例えば、NNIS定義と率) (14)。

施設のVAP発生頻度について職員にフィードバックし、VAP発生を低下させる感染管理方法を遵守する必要性についての注意を職員に与えなさい

インフルエンザ予防接種のための服務規程プログラム(SOP)を設立し、予防接種を受ける急性期施設および長期療養施設での適任の患者もしくは居住者の割合をモニターしなさい 

予防接種諮問委員会(ACIP)の勧告に従って、インフルエンザシーズンの前と最中に、インフルエンザワクチンを受ける適任の医療職員の数を監視し記録し、望ましいユニット特異性ワクチン接種率および施設特異性ワクチン接種率を決定しなさい 

施設を含む地理学的所在により医療に関係するRSウイルス感染の症例数を監視し、勧告された感染管理予防策への遵守を改善するため直ちに適切な職員に迅速にフィードバックしなさい

特にレジオネラ症にかかる高リスクの患者(例えば、造血幹細胞移植もしくは固形臓器移植を含む免疫抑制患者、もしくは全身ステロイド投与を受けている患者;65歳以上の患者;糖尿病、うっ血性心不全や慢性閉塞性肺疾患を基礎に持っている患者)で、レジオネラの検査室診断検査(適切な呼吸分泌標本の培養と尿抗原テストの両方)の臨床医による利用について定期的に検討すること

臨床医にこれらの検査の使用についてフィードバックしなさい

施設での建築もしくは改修工事の間、患者ケア区域でのほこりの飛散を最小限とするための感染管理方法(例えば、障壁の使用、陰圧室の圧の保守)への職員の遵守を監視しなさい

改善できる環境リスクの存在を決定するため、医療に関係するアスペルギルス症のすべての症例を検討しなさい

定期的に百日咳と診断検査の頻度と、百日咳を疑われた患者での感染が疑われてから個室予防策が開始されるまでの時間間隔を監視しなさい



医療感染管理実行委員会(Healthcare Infection Control Practices Committee)

議長:

ロバートA.ウェインシュタイン医学博士、クック郡病院、シカゴ、イリノイ州

副議長:

ジェーンD.シーゲル医学博士、テキサス大学サウスウエスタン医療センター、ダラス、テキサス州

事務局長:

ミシェルL.ピアソン医学博士、CDC、アトランタ、ジョージア州

メンバー:

アルフレッド・デマリエ Jr.医学博士、マサチューセッツ公衆衛生部門、ジャマイカ平原、マサチューセッツ州;

レイモンドY.W.チン医学博士、シャープ記念病院、サンディエゴ、カリフォルニア州;

エレインL.ラーソン、正看護師、博士、コロンビア大学看護学校、ニューヨーク、ニューヨーク州;

ジェームズT.リー.医学博士、在郷軍人局医療センター、ミネソタ大学、セントポール、ミネソタ州;

ラモンE. モンカダ医学博士、コロナード内科医療センター、コロナード、カリフォルニア州;

ウィリアムA. ルターラ博士、ノースカロライナ大学医学部、チャペルヒル、ノースカロライナ州;

ウィリアムE. シェックラー医学博士、ウィスコンシン大学医学部、マディソン、ウィスコンシン州;

ベスH. ストーバー、コサール子供病院、ルイビル、ケンタッキー州;

マージョリーA.アンダーウッド、ジアブロ山医療センター、コンコード、カリフォルニア州


連携表明者:

ロレッタL. ファウエルバッハ、理学修士、CIC、APICInc.、フロリダ大学シャンド病院、ゲーンズビル、フロリダ州;

サンドラL. フィッツラー、正看護師、アメリカヘルスケア協会、ワシントンD.C.;

ドロシーM.フォッグ、正看護師.、B.S.N.、文学修士、ペリー手術室看護師協会、デンバー、コロラド州;

スティーブンF.ジェンクス医学博士、M.P.H.、高齢者向け医療保険制度と低所得者医療補助サービスのためのセンター、ボルチモア、メリーランド州;

チウS.リン博士、食品医薬品局、ロックビル、メリーランド州;

ジェームズP.スタインバーグ、アメリカ・ヘルスケア・疫学協会、クロフォード・ロング病院、アトランタ、ジョージア州;

マイケルL. タッパー医学博士、結核撲滅のための諮問委員会、レノックス・ヒル病院、ニューヨーク、ニューヨーク州


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ボックス:気道に使用されるセミクリティカルな用具の例*
麻酔用具もしくは器具:
・フェイス・マスクもしくは気管チューブ
・吸気および呼気蛇管
・Yピース
・リザーバー・バッグ
・加湿器
・人工呼吸器の呼吸回路
・生検鉗子と試料ブラシを除く、内視鏡とその付属品†
・気管内および気管支内チューブ
・喉頭鏡ブレード
・肺機能検査器具のマウスピースと管
・ネブライザーとそのリザーバー
・経口エアウェイと経鼻エアウェイ
・炭酸ガス分析器、気道内圧モニターのプローべ
・蘇生バッグ
・スタイレット
・吸引カテーテル
・温度センサー

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*気道粘膜に直接あるいは間接的に接触する器具は再使用される前に滅菌されるか高レベル消毒されるべきである。
†クリティカルな器具と考えて、再利用の前に滅菌されるべきである。
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最終更新:2006年11月16日 11:46