446 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:23:26 ID:+O08g8gs

和田「ッシャー! やるぜ、いくぜ! 俺の相棒の熱き小宇宙-コスモ-はまるで白金の如く!
   自らを王様の水だと過信する厚顔野郎は前に出な!
   高値――いや高嶺の女王の決して溶けない信念で、薄氷の自信を打ち砕いてやるぜ…!」

西田「…福永先生はいつも俺に良くしてくれる…。
   …この俺に、だ…。…東の俺に、西の先生が、だ…!
   …先生のためにも軽量と最低人気の気楽さを生かして先行有利のこの虚暗で、勝負…!
   …頼む相棒…! …俺と先生の夢を乗せて今日こそ飛んでくれ…!」

アカギ「今日は…日曜…っ! しかも虚暗祈念が開催される…スペシャルなっ…日曜っ!
    すなわち今日は…俺の超日曜-チョウサンデイ-が主役の日だ…っ!
    周りを解説してる場合じゃ…ない…っ!」

松山「いつもと周りの邪気が違う、違う? くっ、気圧されちゃ駄目だ駄目だ…!
   新人だからって馬鹿にするなよ?よ? 光の、光年的な速さで俺の馬がぶっちぎるぎる!」

子鮫「この手ごたえ、本当に違いない~! SA・GAで頑張り中のパパァ~、見てて~!
   四位be死…じゃなくてCBC賞で大発揮された天才の手腕を今日もお披露目しちゃうよ~!」

クマー「ヘッ、ケツの青いガキどもが息巻いて先行しやがって、暑苦しいったらねぇぜ。
    もうちっと余裕もって構えられんのかい。
    そんなにガツガツしてたら、すぐに脚元がガクガクくるぜぇ?
    ガクガクの脚元はおっさんが纏めてぶち抜いてやるから覚悟しろやぁ! ハッハァ!」

種(クカカ…予想通りだ、前は流れる…。いくら小回り先行有利の虚暗と言えど
  これなら中団からじっくり攻めても……ふむ?)

幸「……」

種(同じ考えか。しかも俺を荒れた内に封じるために、ピタリと外につけるとは…っふ、面白い。
  だが思惑通りにいくと思うなよ、幸…? 誰が内になど譲るものか…。
  貴様はそうして外を走り続けて無駄に邪気を放出し、三分三厘では無様に後退でも……ん?)

太宰「むむむっ、総統と昨日特別三連勝の幸さんが一緒のトコ走ってるぞ!
   てことは…絶好のポイント!? よし、我が美姫の戴冠へ続く道はここだ!
   …でもちょっと外すぎるよー、もっと内に寄ってよー、グイグイ」

幸「危…!」

種「む、いかん、接触する…!」

種(チィッ! クソ堕罪のせいで内に進路を取る羽目に…!
  荒れた内芝は邪気乗りが良くないし、18頭立ての一番人気で二頭の内に潜りたくはない…。
  仕方ない…一旦下がってから幸をやり過ごす他……ムッ、川田が不穏な動きを…!)

川田「チョリソーーーーー!!!」

種(…なんだ、前の方につけていったのか。関係なかったようだ…。
  と言うか斜め前のクソ堕罪、外めを走る俺よりも更に外に出してて邪魔なんですけど。
  展開のあやで横に壁も出来てしまったしな…カカ…我が進路を塞ぐ愚か者は誰だ…?)

まもさん「ユタカの隣ゲットー! そしてすかさず蓋! えいっ、えいっ!
     …もう一度と呼ぶ声が聞こえる限り、俺はどんな勝負も諦めないよ!」

種(………)

種(…石橋さんなら、まあ、いいか…)

447 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:25:30 ID:+O08g8gs

『さあ、ついに始まりました! 真夏のハンデ戦、虚暗祈念です!』


448 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:26:30 ID:+O08g8gs

種(しかしクソ堕罪に並ばれ、その後ろに俺と石橋さんがつけたことで、
  幸は完全に外への出所を失ったな…。カカ…俺を陥れよう等と企むからそうなる…。
  量子タンのことで弱みを握ったといい気になったかな? クカカ、甘い甘い…)

種(量子タンのことを触れ回られても困るし、良い機会だ…我が邪気で永遠に葬ってくれるわ…
  カカカカカ…! 総統への敬意と畏怖を忘れた己を呪え…!
  ――だいたいムカつくんだよ、この俺を差し置いて史上最年少三冠騎手とか!!)

太宰「え、あれ、なんか背後に凶悪な邪気…って言うか冷気が…?」

幸「……」

種(…俺の邪気を単なる脅しと取ったのか? 冷静な態度を崩さんな…。
  それに、荒れ芝に邪気を乱されている割に平然としているのが気に食わん…。
  腹を据えて最内を突く作戦か? っふ…愚かな、詰まるか止まるかの茨道だぞ…)

角田「……………幸……」

種(ふぅん…? 『あの』角田までも内を追うか…。臭うな…。
  不気味な邪気が立ち上っている…。茨道などでなく邪神の先導路だとでも?
  …どれ、保険をかけておくことにしよう…カカ、和田には悪いが――…)

種「…我が邪気よ…不可視の黒き霧となりて彼奴らを内から食い荒らせ…」

和田「んっ!? なんだ、この身体に纏わりついてくる邪気!
   うわっ、前が見えない! 息が…苦しい! 心臓が張り裂けるみたいだ…!?」

コスモプラチナ「ヒヒーン…!」

種(――俺より先に七冠とか達成しやがった報いだ)

和田「うぐっ…俺も邪気を放出して中和するしか…――グッ、駄目だ、息が…!」

『おっとぉ、コスモプラチナ下がっている!』

種(先頭が急に下がってくれば後続がアオリを受ける…反応は連鎖的に高まって…
  ククッ、勝負どころでは反応するのが遅れそうだなあ、幸?)

アカギ「荒れた内芝は…邪気乗りが悪いっ! 避けて外めに出しておいてっ…正解っ!」

クマー「両刀ナメんなァッ! 邪魔な障碍は踏み切ってジャンプじゃゴラァッッ!!」

幸「回避、簡単」

種(なんでやねん)


449 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:27:42 ID:+O08g8gs

康太「隙ありッ! 邪気のご使用は計画的に! 石橋さんは下がっても、今度は俺が壁ですよ!」

種(む…あっちに気を取られすぎたか…)

康太「ふふっ、勝負どころだって言うのにさすが7歳馬、随分と反応がズブそうですね?」

種「…クク…クカカッ…! ひよっ子がわかったふうな口を利く…」

康太「誤魔化したって駄目ですよ。完全に位置取り勝負には乗り遅れたでしょう?」

種「俺に堂々と楯突くか。さすが佑介の弟、並の胆力ではない…カカ、怖い怖い…」

康太「話を逸らそうとしてるんですか? それとも話が通じてないんですか?
   もう貴方に勝機はなさそうで残念ですねって言ってるんですけど」

種「――だから?」

康太「……え?」

種「斜め前をクソ堕罪が塞いでいて、横を貴様が塞いでいる。
  加えて俺が跨るは、三分三厘で敏速に反応できぬ高齢の馬。…それがどうした?」

康太「ど、どうした、って…元から勝つ気なんて無かったとでも言うんですか!?」

種「…っふ…貴様は所詮、『弟』に過ぎぬと言うことか…」

康太「な、何を…」

種「丁度いい…イラついていたところだ…憂さ晴らしに付き合ってもらおうか…」

康太「さ、させません!」

種「カカ、いい度胸だ…。闇に腹這う猫の足取り…舞は意外に軽やかぞ…。
  どこまでついてこられるかな……クカカ――」

太宰「あ、あれー!? 最後のカーブ、ものすごい外に膨れちゃったー!?」

康太「やった! 総統が進路とろうとしたとこ行ってる!」

種(……)

種(…………)


種(ク・ソ・堕・罪~~~~~ッッッ!!!!)



450 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:29:01 ID:+O08g8gs

種(チィッ、少々のロスは承知でクソ堕罪の内に進路を変更……ムッ!?)

幸「…虚暗名将…御名"開道"…我邪気、我呼声、請、呼応…!」

種(…内で幸の邪気が一気に膨らんだ…!
  誘導馬にしてかつての虚暗の鬼-メイショウカイドウ-を召喚し
  『カイドウ』と『開道』を言霊掛けして道を開くだと…!?
  カカッ……なかなかやるではないか、そうでなくてはな…!)

種「だがな…一つ忘れちゃあいないか、幸ィ…?」

幸「……! 召喚消去…否、手替…!?」

種「クカカッ、彼の馬は俺と貴様とで分け合いながら乗った駒だったなァ…?
  …さあカイドウよ、彼奴ではなく俺のために道を開けておくれ…」

メイショウカイドウ『合点承知!』

太宰「あれっ!? なんか今度は内側に行っちゃったぞ!?」

康太「やった! 総統の進路がまたしても邪魔されてる!」

種「……」

種「…………」


種「なんでやねん!!!」


451 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:30:37 ID:+O08g8gs

幸「…英帝長-エーティーボス-…御名指示、英明、至高、頂天…! …全速疾駆!」

種(クッ、今度は単なる冠名を言霊で無理矢理"英・帝"へ変換しやがった…!
  俊英なる帝の長、か…その名が示すは確かに至高の存在だ、素晴らしい…
  しかも"英"を自らの名である"英明"に掛けてより邪気を増幅しただと…?
  前から思っていたが、妙に言霊使いの巧い奴よ…!)

種「だが小細工はそこまでだ…芝の邪気乗りはこちらが断然有利…
  加えて今まで溜めに溜めた我が邪気は今にも爆発せんと…――!?
  な、なんだこの殺気にも似た鋭い異質な邪気は!?」

角田「………幸…後ろ………ガラ…空き…狙い目……!」

種(角田…! しまった、奴がいたか…!)

福島「ふんふ…どこを見ているのですか、私のことも忘れないでくださいよ」

種「あれお前いたの?」

福島「……ず、ずっと後ろに」

種「ふーん」

福島「ふーんて…」

種「…そんなことより、ああ…また『溜め殺しご苦労様です』ってネットで叩かれるよ…
  量子タンになんて言い訳しようかな…」

福島「そ、そんなこと……ん? おや? まさか…もう諦めているのですか?」

種「ふん……では訊くが、貴様にはアレを止められるのか?」


角田「…踊れ、踊れ、歓喜に舞え。閑雅にして瀟洒な舞は、野良猫のそれを貶める…」


福島「普段無口な角田さんが…!?」

種「ああなってはもう、俺と闇クラスの人間が二人がかりで止められるかどうかだ…」

角田「"しあわせ"を飲み込んで」

幸「……!」



角田「――踊るよろこびに、うたえ、歓喜のうたを」



452 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/08/08(土) 08:32:21 ID:+O08g8gs

『内からダンスアジョイ、抜けたぁああ!! ダンスアジョイ、ダンスアジョイです!』

種「チッ…。獲れるはずのものを、余所見が過ぎて獲り損ねたか…」

種(だがまあいい…。康太に佑介の片鱗が見られてちょっと嬉しかったし…
  和田に意趣返しができてちょっとすっきりしたし…
  何より――幸と角田。普段は目立たぬが、ここぞという時は怖い連中よ…クカカ…)

種「…いつ寝返るかもわからん手下の強腕ぶりを喜ぶなどと…俺もヤキが回ったか…」

福島「…っふ、私は逆にその言葉を聞いて安心しましたがねえ…」

種「あれお前まだいたの」

福島「……ま、まだいました」

種「ふーん」

福島「ふーんて…」

種「そんなことより敗者をからかわねば…」

福島「腐ってますね」

種「…幸! 貴様、一旦は先頭に立っておきながら三着とは無様な…!
  手は悪くないが読みどころが甘い、まだまだ青いな…クカカッ…」

幸「……否三着、我四着」

種「…何? では誰が…」

太宰「ふう…初の重賞制覇まであと一歩だったのに…惜しかったなあ…」


種「クソ堕罪逝ってよし」


太宰「な、なんでーーーー!!?」






和田「い、息、が……だ、だれがだずげ…で…」

種「あっ忘れてた、ごめんごめん、お前は逝かなくてもよし」

太宰「な、なんで俺だけーーーー!!!?」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年11月28日 22:48