940 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 13:51:19 ID:xm8fnRFX

康太「兄ちゃん、悪いね、わざわざ東京まで…」

藤岡「何言ってるんだ。俺はお前の晴れ舞台を傍で見たいんだよ。
  カプチーノは強い。きっといい結果が出るはずだ。
  俺は一着枠のところで待ってるからな」

藤岡「そりゃ…お前に先にダG1勝たれた時は…複雑な気分だったよ。
  白百合ステークスの後だって『弟に弟子入りしろ』とか
  『残念な兄ワロス』とか『藤岡兄弟の馬に似てる方』とか
  出来のいいお前と比べられて散々ヤジられたし。
  でもやっぱり嬉しいんだよ」

康太「……」

藤岡「俺はお前が頑張ってきたのを、一番傍で見てきたからわかる。お前なら大丈夫。
  明日から『俺の弟はダービージョッキーだ』と俺に言わせてくれ。
  それができるのは世界でお前だけなんだから」

康太「…兄ちゃん、俺…」

藤岡「はは…何かしんみりしちゃったな。さあ、もう寝よう」

康太「うん」

藤岡「じゃあ、おやすみ、康太」

康太「うん」

康太「………………おやすみ、兄くん」

藤岡「うん、おやすみ」

藤岡「………………」

藤岡「………………」

藤岡「………………」

藤岡「………………兄くん?」

942 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 13:52:52 ID:xm8fnRFX

藤岡「ちょっと待て。なんだ兄くんって?
  お前そんな気持ち悪い呼び方してたか?」

康太「………」

藤岡「お前まさか…まだ神楽とか生き別れの兄とか変なこと言ってんのか?」

康太「……」

藤岡「…怒らないから言ってみろ」

康太「…本当に怒らない?」

藤岡「ああ」

康太「……実はわたし…」

影華「…2番目の妹の影華なんです」

藤岡「はあ?」


943 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 13:55:48 ID:xm8fnRFX

藤岡「それは例の神楽とかいうのとは違うのか?
  つかお前バカか?変なゲームとかやりすぎじゃないのか」

影華「ひどい…兄くん…」

藤岡「え?」

影華「わたし…ずっと長い間言えなかったけど…
  でもわたしも神楽も確かに居るの。
  わたし…康太は多重人格なの」

藤岡「いや、お前、多重人格て…一体どうしてそんな…」

影華「……全ての経緯を話します」

影華「…藤岡康太は生まれつき邪気耐性の弱い子でした。
  そして環境は…最悪でした。父親の仕事関係者、
  そしてなにより…兄の存在が…」

藤岡「…俺?」


944 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 13:58:11 ID:xm8fnRFX

影華「兄の常軌を遥かに逸した邪気…
  耐性の無い康太には地獄の日々でした」

藤岡「……」

影華「邪気酔い、邪気嘔吐、邪気絶…
  しかし、その地獄のような邪被曝-チェルノブイリ-の日々の中でも、
  決して康太は兄の傍を離れようとはしませんでした」

影華「…兄を…愛していたから」

藤岡「……!」

影華「兄の傍に居たい気持ちと、心身を蝕む苦痛…
  そのトラウマと葛藤から逃避するために
  康太が生み出した人格…それが…」

藤岡「…神楽と…影華?」

影華「そうです」


946 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 14:00:19 ID:xm8fnRFX

影華「兄と同等の邪気使いとなって地獄から抜け出したい、
  そしていつまでも兄の傍に居たい、
  そんな気持ちが生み出した人格…それが魔人・神楽…」

影華「そして純粋に兄に愛されたいという気持ちが
  生み出した幻影の少女…それが…」

藤岡「…影華?」

影華「そう、わたし」

影華「わたしと神楽は邪被曝-チェルノブイリ-が生み出した
  闇の落とし子-チェルノブイリ・チルドレン-なんです」

藤岡「…………」

影華「…信じてくれますか?」

藤岡「…………」

藤岡「…………」

藤岡「…………信じるさ」

947 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 14:03:07 ID:xm8fnRFX

影華「本当?」

藤岡「ああ、俺はお前のたったひとりの兄じゃないか」

影華「うれしいっ!兄くんっ!」

影華「わたし…ずっと悩んでたの。ずっとひとりで苦しかった。
  今だって…打ち明けたら『出ていけ』とか
  『表出ろ』って言われてぶん殴られるかと思ってた…」

藤岡「ダービー前にそんなひどいことするわけないだろ?
  それに、もしお前がふざけてそんなことを言ってるんなら
  お兄ちゃんは木刀制裁も辞さないけど、真剣なんだろ?
  お前が真剣なら、お兄ちゃんは、お前のことを信じる。
  だって、お前は俺の大切なおと…妹なんだから」

影華「うれしいっ!兄くんっ!」

藤岡「ははは。泣く奴があるか。ははは…は」

影華「…でね、兄くん」

藤岡「なんだい影華?」

影華「話してないことがもうひとつあるの」


948 名前:こんな名無しでは、どうしようもないよ。[sage] 投稿日:2009/05/31(日) 14:04:27 ID:xm8fnRFX

藤岡「何だよ。もう何を言われても驚かないぞ。
  何でもお兄ちゃんに話してみろ」

影華「…うん、あのね…」

藤岡「うん」

影華「実は兄くんにはね…」

藤岡「うん」

影華「全部で12人の妹が…」

藤岡「よし、表出ろ」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年11月26日 09:03