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Wesnothと認知バイアス

 

Wesnothは確率現象が深く関与するゲームである。本稿ではWesnothを、確率現象とそれをとらえる人間の認知過程という観点から議論したい。なお本稿の内容は筆者が以前行っていた麻雀研究を通じて培った経験が元になっている。

 

 

 麻雀に限らず全ての確率現象は、必然的に結果の偏りを有する。それを以って人々は「ついていない」あるいは「流れが○○である」といった言説を行うことがある。酷い場合は「あのオンライン麻雀ゲームは牌や流れが人為的に操作されている」といった説が流布される場合もある。その根拠として「とても起こりにくいことが、ありえない頻度で起こる」といった体験談がなされているのを見かける。しかしながらこうした人間の直感や認知には、しばしば誤りが含まれていることがある。熟練したプレイヤーでなければそうした誤った直感を排するのは困難であることから、筆者は認知バイアスの一種ではないかと考えている。

 

※脚注 ここでは認知バイアスを「人間が犯しやすい過ち」という意味で用いている (参考)

 

 Wesnothにおいてもそうした認知バイアスと思われる現象が起こることがある。たとえばあなたは瀕死の相手を前に、ゾンビ化を試みようとしているところである。ゾンビの攻撃回数は2回である。この例では相手回避率は50%で、1撃で倒せるとしよう。攻撃ヒット確率表に従えば、1回以上攻撃がヒットする確率は75%で、全て外れる確率が25%である。

 

 今、あなたのゾンビが2回の攻撃を空振りしてしまったとしよう。しかしあなたは念入りなプレイヤーであり、第二のゾンビを用意していた。しかしそのゾンビの攻撃も全て空を切った。これが起こる確率は0.25^2=0.0625で、約6%である。確かにこの数字は小さいのだが、それを以って「おれはついてないなあ」という結論を下すのを少しだけ待っていただきたい。

 

 2匹のゾンビの空振りが連続して起こる確率は0.25^2=0.0625で間違いない。しかしその前までにあなたは他のゾンビ化に試みていなかっただろうか。すなわち、1匹目のゾンビが全ての攻撃を失敗するのは25%の確率であるが、残りの75%が起こった時我々はそれを「よしよし」と当然のことのように思い、忘れてしまわないだろうか。(うまくいった場合の事は忘れ、失敗した場合のことをよく覚えているという認知バイアスが存在するかどうかは筆者は心理学の門外漢であるためわからないのだが、ありそうな話である。)  1匹目のゾンビの攻撃が失敗であったという結果が既に与えられているという場合に、2匹目のゾンビが攻撃を外すという条件付確率は当然だが25%である。この一段目の条件が認知バイアスによって無視(または軽視)され、本当は25%に上る確率を6%だと見積もってしまうと、世の中はあなたが思っているよりも不幸な事象が多いと感じるだろう。また1匹目を外して2匹目が攻撃を成功した場合我々は「ああよかった」あるいは「まあ2匹居れば成功するわな」と思い、そのまま忘れてしまうことで、よりいっそう2回失敗の印象が強調される。

 

 さらにこうした結果の分散は、より上位階層に目を移しても存在する。たとえば数試合のゲームを行った時に、こうした4回回避がある頻度で起こったとする。数試合単位で平均をとればその頻度はまあ妥当な場合でも、それがたまたま1試合に集中して起こる、というような偏りは存在しうる。しかしそれが起こらなかった幸運な場合は忘却し、不幸な試合に遭遇した場合に「まじかあ。俺ついてなさすぎ萎え」だとか「なんだこのくそゲーは」だとか、酷い場合には「お前ハッカーだろう」(大層間抜けなのだが、実際言われたことがある。外人に。)などとわめくのは、確率現象に関する理解の不足と、人間の認知過程に関する理解の不足にほかならない。

 

 熟練プレイヤーでない限りはこうした認知バイアスに引っかかってしまうのは人間の性質だと前述したが、その理由はゲーム数を多くこなせばこなすほど、実際の生起確率と直感的な見積もりの乖離が緩和されていく、すなわち経験を積むことで直感的な見積もりが修正されることが理由であると思われる。たまにはまあゾンビ2匹がことごとく空振ることもあるわなあと達観できるようになるわけだ。

 

 筆者はこうした認知バイアスの存在を認識しており、また麻雀研究を通じて体感もした。こうした精神的な鍛錬は、一見wesnothの対戦戦術には無関係であるかのように思える。しかしながら、いくら戦術論に通じ知識もあるプレイヤーであっても、頭に血が上ってしまって正常な判断ができなくなることは起こりうる。たとえば期待値的には損であるのに、頭にきて強引に攻めすぎたり、雇用バランスを狂わせてしまうといった具合である。ぎゃあぎゃあわめいたりすぐ退室するガイジンなどは論外である。従ってwesnoth対戦の研鑽には精神的な鍛錬が必須であると筆者は考えている。

 このように自負している筆者であっても、現実世界で嫌なことがあった日や体調が悪い日などには、よほど注意しないと冷静さを失ってしまうことがしばしばある。我らが所長すらしばしばぷっつんして「もう暗黒僧しか呼ばんモード」に没入することがあるのだ。当研究所の読者におかれましては、上記のことを是非心に留め、日々精神の鍛錬に努め、常に冷静な心が保てるようなプレイヤーに是非なっていただきたい。

 

 

 

 






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