対アンデッド布陣への対処
前節で概説したが、アンデッド陣営(以下UD陣営)のユニットは、不死系と非不死系という分類をすれば、それぞれ異なる弱点を持つ。逆に言うと、我々の相手は、我々の布陣によって2種類の異なる対応が必要となるということを意味する。これを逆手に取ることができれば、相手に弱点を突かせず戦いを有利に運ぶことができよう。具体的にはたとえば、暗黒僧を倒すために安価汎用歩兵(槍兵など)を出しすぎると骨を倒せなくなるし、重歩兵ばかりであれば暗黒僧の徒党で一掃することはたやすい。
ただし、相手の力量が確かであればあるほど、このような都合の良い展開にはなりにくい。従って、そうした展開にするための努力・工夫をこちらも行う必要がある。以下で紹介する方法は、上級者であれば自然と行っている方法や戦術であろうし、いくらかの経験を積めば自然に身に付くことがあろうと思う。しかし前節や本節で議論したようなUD陣営の特徴や弱点を明示的に把握・意識することで、より隙の無いユニットの運用や状況判断、さらにはより明確な意図を持った新たな戦術の創出につながるのではないかと思う。
1.アライメントを利用する
これは対アンデッド陣営への対処に限った話ではないが、彼我のアライメントの違いによる時刻の利用は、有利な展開へ持ち込むには必須である(詳しくはアライメント理論、1v1理論も参照のこと)。たとえば代表的な打撃系対UD兵器である重歩兵やウーズは秩序かつ鈍足である。彼らに日中殴られないためにも骨は確実な撤退が必須であるのはいうまでもないし、さらに重歩兵やウーズが鈍足であることを逆手にとって捕縛(退路を塞いで撤退できなくする)を狙ったり、捕縛の構えを見せることで前進を躊躇わせたりするという戦術も可能になる。
2.対UD兵器が高価であることを利用する
前節でも述べたように、対UD兵器は高価であることが多い。この弱点を突いた戦術をいくつか紹介する。
・コウモリの利用
ヴァンパイアバット(コウモリ)は、性能としては脆弱であるが、斥候としては全陣営中最も安価である(詳しくはコウモリ運用理論も参照のこと)。そのためUD陣営は、偵察による情報収集を安価に行うことが可能である。相手陣営が対UD兵器と安価汎用歩兵をどの程度の比率で出しているのか、あるいはどの方面にどの程度の兵を集めているかを常に把握し、こちらの雇用をそれに対応させることが可能である。また村の強奪が狙えるマップでは、強奪の素振りを見せて相手に対応を強要することも可能である。たとえばWeldynやバジリスクで相手水辺村を狙う素振りを見せ(無理に村を取って、相手ボスに簡単に殺されたりしてはいけない)、相手が魚ユニット(14~15G)を出して村の防衛をするようであれば、1~2Gと毎ターン維持費1G分が有利になる。このように、斥候としては破格のコウモリを有効活用することで資金面で少しでも優位に立ち、対UD兵器のための資金を工面しづらくすることは効果的である。
・兵力の分断
フリーランドやWeldynのように二方面以上に分断された地形において両側から進軍することで、両側の防御を相手に要求する戦法である。たとえばフリーランドにおいて1p(UD)が右側に主兵力を集めている場合を想定する。このとき左側からもグール1匹とコウモリを向かわせる。相手の布陣が甘くてグールで村を取れてしまえば、その除去はかなり困難(昼に魔術師1匹以上を派遣する必要)である。また前述「コウモリの利用」との複合になるが、コウモリで村3つ分を射程に入れつつ、コウモリを排除しようとすれば別の村をグールで取るという構えも、相手布陣によっては可能となる。これを防ぐには複数の村を安価汎用歩兵であらかじめ守らせておくか、魔術師などを後詰めにしておいて村を取りに来るなら殺す構えなどが必要となるが、いずれにしろ対応には相応の費用が必要となる。
・ゾンビの利用
ゾンビは疫病という特殊な能力を有するユニットである(ゾンビ無双戦術も参照のこと)。ゾンビでとどめをさすことで、費用無しでユニット数を増やすことができ、また前線に即座に増援が加わることになる。これを回避するための方策は、死なないようにするか、ゾンビを全滅させるかしかない。敵軍は、暗黒僧を殺すべき槍兵や、骨を焼くための魔術師をわざわざ割いてゾンビを倒さなければならない。このことでゾンビは、暗黒僧および骨を守る役割を果たすことになる。また瀕死ユニットで暗黒僧を殴ることを躊躇わせるという効果もある。このようにゾンビは、資金面のみならずアンデッドが不安を抱える攻守において重要な役割を果たす。