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4.シナリオ1の台本
Danse Macabre(以下DM)の制作段階において用意したシナリオ台本を公開したい。今回公開するのはシナリオ1のものである。実際のゲーム画面と見比べていただければ分かると思うが、台本の細かい所までは再現に至っていない場合が多い。このことはキャンペーン制作がいかに技術的に難しいかということを表しているかと思う。また、構想時点での設定の細かさからも、執筆者の熱意が伺える。
※黄色文字は本記事筆者注
※赤色文字はシナリオ作者注
シナリオ1 悲劇の始まり(エピローグを暗示)
・イベント
山間の小さな村々。夜。帰路につく農民(A)と木こり(B)が会話をしている。
A「あー疲れただ」
B「んだ」
A「ところでおめぇゾンビって知ってるか」
B「唐突すぎねぇか」
A「そげなことどうでもよかんべ」
B「あれだろ、死体が生き返って悪さすんだべ」
A「悪さどころなもんか、食うだ」
B「何を」
A「人間だ」
B「どうせ作り話だべ」
A「うんにゃ、ゾンビは本当にいるだよ。おら村長から聞いただ」
B「だっておめぇ、死体がいちいち蘇ってたら、この世は死体だらけでねぇか」
A「もちろん何にもなけりゃ蘇らんべ。悪い奴がいるだ」
B「なんだそりゃ」
A「悪い魔術師がいてな、死体を蘇らせてるだ」
B「そげなことしたら、そいつが食われるべ」
A「おめぇ馬鹿だな」
B「うるさいだ」
A「奴らは死体を操れるだ。そんでおめぇ、死体を仰山率いて、いろんな国を襲ってるだよ」
B「まあうちは大丈夫だな。こんな村襲ってもなんもええことない」
A「・・・そうだべな。ちょっとおらしょんべんするだ」
B「じゃあおら先に帰るだ」
A「またな」
※当時の台詞は訛っている。おそらく英語版を作成する際に挫折し、現在のものになったと思われる。
※そもそも普通の英語が(有志に修正を申し出られるほど)既に訛り倒していた。
木こりは先に家へ帰る。農民Aは道を少し外れ、用を足そうとする。そこにゾンビ登場。「うがー」 「で、で、出ただ!」 一目散に逃げ出す農民A。ところが、反対側にもゾンビが現れる。左右を見回す農民A。「!」 気付いた時には四方八方をゾンビにとりかこまれていた。「うがー」
一匹のゾンビが歩いて行く。一件の家につく。家の中から声が聞こえる。「あんた今日はえらく遅かったわね」 「おっとう!」 「何してるのよ、夕飯できてるわよ、早く入って」 ドアを開ける。ゾンビ家に入る。「え?」 「うがー」
・・・しばらく後、家から3人のゾンビが出てくる。
ここで悪漢登場(サボり癖のある若者の設定)。※サボり癖があるという設定は何のためのものかは不明のままであった
「な、なんてこった」 一部始終を見ていた彼は、忍び足で村長(白魔術師)宅へ急ぐ。※この時点では神父ではなく村長
「た、大変だ、村長!」 「ん、お前がわしを尋ねてくるとは珍しいな」 「あんた、前にゾンビの話してたよな」 「ふん、どうせお前は信じちゃおらんのだろう。まあ信じた奴のほうが少ないがな」 「で、出たんだよ」 「なに?」 「農民Aの一家が、ぜ、全員、死体になっちまった」 「なんだと!?一家そろって死んだ?熊にでも襲われたのか?」 「ち、ちがう!死んだわけじゃない!」 「お前、さっき死体になったと」 「動いてるんだよそれで!!」
※「サボり癖のある若者」という設定は、普通の村に悪漢を混ぜるためのエクスキューズである(Lv0の数少ない人間ユニットなので登場させたかった)。従って、悪漢といっても、ただの不良青年に過ぎない。ここから村長の「お前がわしを尋ねてくるとは珍しいな」「ふん、どうせお前は信じちゃおらんのだろう。」といった台詞へとつながる。公開版の登場シーンで彼は木のヘックスに登場しゾンビ襲撃の瞬間を目撃したが、この時彼は仕事をサボって木の上で昼寝をしていたということになっている。
※ただの村長が白魔というのは理解しがたいため、神父が村長の役割を果たしているということにした。
広場に村人(農民、木こり、悪漢)を集める村長。少し遅れて、一人の農民が叫び声を上げながら逃げてくる。「ぎゃああ助けてくれー」 「落ち着かんか!おい何があった」 「木こり(名前)が、木こりが腐った人間に襲われて、それでそれで」「それでどうなった」「あいつも、く、腐って」 静まりかえる村人たち。「うがー」 広場を目指してゾンビの群れが近付いてくる。「きゃー」 「あ、あいつらだ!」 「ど、どうするんだ村長!」 村長「静まれ!わしは聞いた、奴らは日光を嫌うらしい。朝まで皆が生き延びれば、戦うこともできよう。・・・そうじゃな。北の裏道から村を脱出しよう。お前達の話を聞く限り、奴らは南からこの村を襲っとる。北は安全じゃ」
村人全員で北を目指す。村長(気がかりはネクロマンサーだが・・・こんな村に何か目的があるとも思えん。奴らはネクロマンサーが死んだか何かして支配力が弱まり、はぐれた連中に違いない。だとすれば、知恵は無いに等しい。朝を迎えれば、私の魔法でどうにかできよう)
「やった裏道が見えたぞ!」 「助かった!早く逃げよう!」 村長「待て!皆で固まって逃げるのだ!」 「そんなこと言ってる場合じゃない!後ろから奴らが来てるんだぞ!おれはいく!」 一人で裏道へ突き進む村人。当然ゾンビが現れて速攻でゾンビ化される。村長「な・・・なぜここに」 そして裏道にぱらぱらと現れるゾンビ。完全に挟まれた村人たち。「そ、そんな」 「そ、村長!」 前に進み出る村長。
村長「ネクロマンサー殿!!おられよう!姿をみせい!この死体どもは貴殿が操っておるに相違ない!一体何の目的があって何もないこの村を襲う!欲しいものがあるのならなんでもくれてやる!その代わり村人の命は守って貰いたい!」
急にゾンビの動きが止まる。村長(やはりおったか・・・堕落した魔術師めが!)しかし、村長の予想は裏切られ、一匹のゾンビ(トーマス(仮名))が現れる(北から)。他のゾンビとはどこか雰囲気が違う。村長「・・・?」
※それにしても仮名とはいえひどくダサい。誰がこんな名前にしたのか。
トーマス「わ、我々は、操られては、いない。己の、い、意志で動いている」
村長「ば・・・馬鹿な。ぞ、ゾンビが喋る・・・いや知能があるだと」
トーマス「お、終わりだ、そ、村長。お前達は、皆、我々の仲間になる」
村長「わ、分からぬ・・・しかし、もはやこれまでだ!皆のもの、案ずるな、奴らはアンデッドでも最も低級なゾンビにすぎん!死力を尽くして戦えば活路は開けよう。わしに続け!」