公園で


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 午後の公園には誰もいない。赤錆びたゴミ入れは、ひしゃげてベンチの横に立っている。半袖からむき出した腕を太陽光が焼く。砂場もブランコも滑り台も白い光を照り返す。
 どこか近くの家から、布団をはたく音、イヌの小喧しく吠える声がする。正午を過ぎて、住宅街は明るい静けさに沈んでみえる。僕はベンチの木陰にしばらく休むことにした。
 コンビニで買った甘いコーヒー缶を開ける。アルミと苦味の混じった匂い。とろりとした口触り。冷たい流れが喉と胸を浸した。体が急に冷えたせいか、肌がじっとり汗ばむ。ふうと溜息を一つ。
 リラックスしたら、どうも眠くなってきた。缶コーヒーのミルクが少しばかり重かったらしい。頭の芯が鈍くなる。そういえば随分歩いたような気もする。
 深緑の葉のあいだを縫って渡ってくる風が心地良い。一時眠るしかなさそうだ。靴をぬいでゴロリとベンチに横たわる。空には雲一つない。眠気は速やかに意識の奥までやってきた。目を閉じると僕は浅い眠りに身をゆだねる。
 やがて夢のやって来る気配がした。
 水の清らかな谷間にあるという白い塔。塔には一人の騎士と姫君が住んでいる。ロマンスの額縁にはめられた物語の中で、僕はどうしたわけか太陽になって塔を照らしている。
 「お天道様、今日もありがとう御座います」白い騎士が丁寧にお辞儀をして、姫君は明るい目の赤ん坊をあやしている。「どうぞお構いなくご主人様」そう言ったところでいきなり目が覚めた。
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