※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

※――――以下R18描写――――※




顔を寄せる。
熱に浮かされたような瞳は、自惚れでなく、俺を求めていた。
左手で、顎をかすかに持ち上げる。
サヤは無抵抗の証を示すかのように、瞼を閉じた。
心の箍が、弾ける音がした。

「サヤ………」

後ずさるサヤを、じりじりと追い詰めていく。
離れては触れ、離れては触れ……単純に互いの唇を重ね合わせるだけのキス。
ひんやりと冷たい布団の上で、サヤの体を確かめるように、肩、背中、腰へと愛撫していく。
帯の結び目を解くと、サヤはぴくりと身を震わせた。
啄むようなキスをやめて、舌先をわずかに伸ばす。
サヤの熱く湿った吐息がかかり、すぐに唇の輪郭をなぞるだけでは我慢できなくなる。

「んっ……む……」

舌を絡ませ、唾液を吸う。
無味であるはずのそれを、興奮した脳が仄甘く錯覚する。
サヤの反抗は、実に可愛らしいものだった。
ざらざらとした小さな舌が、弱点を探るように歯茎を撫で、つついてくる。
それを押し返し、同時に自分の唾液を流し込んだ。
荒い息遣いと、淫靡な水音が響く。
呼吸を忘れるほどに、サヤの口蓋を蹂躙する。

「はぁっ……、ぁ……、サトシ?」

弱い力が、俺の胸を押し退けようとする。

「ごめん。苦しかったか?」

サヤはふるふると首を横に振り、

「もう、キスはいい」
「じゃあ……」

唇を解放し、小ぶりな右耳を甘噛みする。
壊れ物を扱うように、息をかけ、そっと耳孔に舌先を滑り込ませた。

「やっ、どうしてそんなところ……んぅ……」

身悶えするサヤの隙をついて、
帯を取り払い、共衿をはだけさせ、上半身を露わにする。
項、鎖骨、肩へと指を沿わせていく。
素肌の吸い付くようなきめ細やかに息を呑む。
しかしそれ以上の指の南下を、サヤは拒んだ。

「ま、待って」

両腕で胸を隠そうとする仕草は、初心で、それ故に扇情的だった。

「待たない」

背中に手を回し、正面から、そっと体重を乗せていく。
体の強張りは、緊張の証か。
それでもサヤは手をつかず、身を畳の上に横たえた。
その上から覆い被さり、何度も何度も、サヤの額や頬にキスをした。

「俺は、サヤが欲しい」

サヤは震える声で懇願してきた。

「優しくするって、言って。
 わたしを大切にするって、言って」
「優しくする。サヤのことを大切にする」

直情的な遣り取りでさえ、もどかしい。
今この瞬間、俺を支配しているのは、一の理性と九の本能だった。
胸を隠す腕を払う。微弱な抵抗は、無きに等しい。
健康的な胸の膨らみは、サヤが気恥ずかしさに耐え、身動ぎする度にふるふると揺れた。
左の乳房を手で掴み、右の乳房に口をつけた。
乳腺に沿ってゆっくりと握力を込めると、その分だけ、弾力が張りのよい肌を通して押し返してくる。
口に含んだ乳頭を舌先で弾き、転がす。

「っ、はぁっ……」

優しく吸うと、サヤは堪えきれずに小さく嬌声を漏らした。
指先で、舌先で、ふたつの乳頭が徐々に充血し、尖っていく。

「あ……あぁ……ダメ、サトシ……わたし、恥ずかしくて死んじゃいそう……んっ」

喘ぐ唇を塞ぐ。
乳房の刺激を続けながら、腰紐を緩め、上前と下前をはだけさせる。
閉じようとする両足の間に片膝をつき、膝頭から内股へと手を滑らせていく。
やがて俺の指は、浴衣の生地とは明らかに感触の違う、白い薄布に行き着いた。
サヤの抵抗が僅かに強くなるが、意に介さず触れ、秘核の位置を探る。
ほんの小さな突起に指の腹が触れた瞬間、サヤの体がびくりと反応した。

「んっ……はぁっ、ぁ……」

口蓋を犯しながら、何か訴えたげな瞳を見据える。
直接刺激するよりも布越しに摩擦する方が、より快感を与えられることを、俺は知っていた。
人差し指と中指の腹で、秘核を、固く閉じられた割れ目を摩擦する。
強張っていたサヤの体が弛緩したところで、下着をおろし、直に触れた。
汗とも愛液とも知れぬ湿り気を確認する。
恐らくほとんどが前者だろう、と判断する。快感は未だ遠く、恐怖には及ばない。
ささやかな茂みを押し分けて、割れ目に中指の爪先を、そっと埋没させていく。

「痛くないか?」

こくり、と頷くサヤ。
羞恥のせいか、目を逸らそうとしている。
その仕草が男をさらに昂ぶらせるとも知らずに。
乱暴に犯したい衝動を抑えながら、指を押し込んでいく。
中程にまで達したあたりで、指を引き抜く。そしてまた、ゆっくりと慎重に、一連の流れを繰り返し……。
準備の出来加減によっては、挿入の際の痛みはかなり軽減される。
サヤの中をほぐすのに、俺はかなりの時間をかけた。
やがて、サヤは俺を見上げて言った。

「サトシ、さっきからずっと我慢してる」
「サヤが、俺のことは気にする必要はないんだ」
「いいの。わたしは大丈夫だから……でもね、浴衣が……」

言わんとすることを理解し、サヤの腰を持ち上げて、浴衣の裾を脇にどかす。
俺はそのままの流れで、着ていた自分の簡単な浴衣を脱いだ。
するとサヤはさっきまでの余裕はどこへやら、
不安を隠そうともせずに、俺の股間をまじまじと見つめ、

「本当に、こんな大きなものが入るのかしら」
「サヤのペースに合わせるから、心配するな。
 優しくするって、言っただろう?」
「それはそうだけど……不公平だわ。
 わたしだけが痛くて、サトシは逆に、気持ちいいんでしょう?」

会話に付き合っていたら、情事の雰囲気を壊されかねない。

俺は囀りをキスで黙らせ、サヤを押し倒した時からずっと勃起したままのそれを、サヤの秘所に押し当てた。
何度か上下に滑らせ、指でほぐした小さな膣口を探り当てる。
サヤはぎゅっと目を瞑り、俺の背中に腕を回した。

「どうしても無理だと思ったら、我慢しないで言ってくれ」
「絶対にイヤよ。今がダメなら、次はまた最初からしなくちゃならないのよ」
「じゃあ、途中でサヤが泣いても、やめなくていいんだな」
「も、もちろんよ。それに、この程度でわたしが泣くと思ってたら、大間違いなんだから」

優しくして、大切に扱って、と行為を始める前に懇願してきたのは誰だったろう。
記憶がかすんで思い出せない。
俺はサヤの額にキスをして、ゆっくりと腰を前にスライドさせていった。
亀頭が肉壁に締め付けられる。痛みと紙一重の快感に、腰が戦慄く。
それでも俺は逸らずに、一定の速度で、挿入を続けた。

「っ……」

唾液に塗れた唇から、熱い吐息が漏れ出す。
結わえた髪はとうに解け、苦痛に歪むサヤの顔を縁取っている。
昔、サヤと出会って間もない頃、写真を取り返す過程でサヤを押し倒したことを思い出した。
金髪の一件でミディアムボブにした髪も、あの頃はまだロングだった――。
そんなことを考えて意識を逸らさないと、つい、『乱暴に犯せ』と唆す本能に従いそうになる。
中程まで入ったあたりで、サヤは不意に、両の手の爪を、俺の背中に突き立てた。
仮初めの行き止まり。サヤの処女の証が、すぐそこにある。
サヤは目の端に涙を浮かべながら、気丈にも微笑んで言った。

「来て」

見え透いた強がりに、今は騙される。
俺は未だ何者の侵入を許したことのない膣道の奥に、自身のそれを突き出した。

「……ぁ……あぁっ……っ……!!」

ぴっちりと密着した肉襞の感触と、熱い粘性の液体がペニスを包み込む。
比類なき快楽、悦楽、愉楽の波――。
溺れかけた俺の目を覚ましたのは、
背中に突き立てられたサヤの爪と、結合部から伝う鮮血の一筋だった。

「しばらくは動かない。サヤが平気になるまで、こうしているから」
「うっ……ひぐっ……えぐ……」

ぽろぽろと涙が溢れる目に、震える唇にキスをする。
強くサヤの体を抱きしめ、髪を撫でる。
破瓜の痛みに対して、男はどうしようもないほど部外者だ。
だからせめて、愛情表現の限りを尽くして、サヤに痛みを忘れて欲しかった。
どれほど愛撫を続けただろう。
それまで新たな刺激に怯えるようにじっとしていたサヤが、身動ぎした。

「……もう、大丈夫だから」
「強がらなくていいんだぞ」
「わたしは強がってなんかいないわ。サトシが動かないでいてくれたおかげで落ち着いたし……。
 それに、強がってるのはむしろ、サトシのほうでしょう?」

サヤの呼吸する音が、触れあった肌の摩擦が、理性を容赦なく削り取る。

「俺は別に、」
「何を言ったって、わたしには分かってるんだから。
 さっきからサトシの、大きくなって、ときどき勝手にはねてるもの……本当は、動きたいんでしょう?」

妖艶な声色に、くらりとする。サヤの指が、俺の頬を撫でる。
気づけば俺はサヤの言葉に甘え、本能に忠実な獣と化していた。
ゆっくりと腰を引いて、押し込む。
たったそれだけの単純な動作で、サヤは苦痛に喘ぎ、俺は快楽の虜になった。
歯止めがきかない。ピストン運動が、徐々に早くなる。
水蜜桃のようなサヤの尻を掴み、より深く、肉壺を抉る。
汗と唾液とわずかな愛液が混じり合った据えた匂いが、
結合部から響く淫猥な音が、興奮を高めていく。
底なしの愉悦の海に沈んでいく。
ほんの一時、自分を取り戻した俺は、サヤの顔を伺った。
優しくするという約束を破った俺を咎めるでもなく、サヤはこう言ってくれた。

「あぁっ……サトシの、……ぁ……んっ……好きなように、して……っ。
 わたし、今……はぁっ……とっても、幸せよ……。
 大好きなサトシと……あぁっ……こうしてひとつに、なれたんだからっ……」

無心で、サヤを犯した。
しかしこんな時に限り、射精感はなかなかこみ上げてこない。
まるで、限界までサヤの体を味わい尽くそうとしているかのようだった。
サヤになるべく負担をかけないように、早く果てなければならないのに――。
どうしようもなく、気持ちいい。

「ぁあ………ん……やぁっ………」

痛みに耐える喘ぎさえもが、神経を高ぶらせる。
サヤの乳房に口づけ乳首を吸いながら、さらに奥深くを目指して、腰を打ち付ける。
男性器に慣れた肉襞は血を潤滑油として、精液を搾り取ろうとするかのように蠕動する。
そして――、腰が怠く、重くなるような感覚が訪れた。
サヤも何か感じ取ったのか、必死に唇を動かし、尋ねてくる。

「……いきそう、なの……?」

頷いてみせ、ラストスパートをかける。
これで終わりだから。これで終わりにするから。
快感の絶頂に達しなければ射精できないなんて誰が決めたんだろう。
だから、せめて最後の瞬間だけは、自分の意志で果てる――そう決めていたはずなのに。
腰を引こうとしたそのとき、サヤの両腕が俺の体を抱きしめた。

「……あっ…あぁっ……中に……して……ん……はぁっ……お願い……」

避妊具をつけていない時点で、危ない橋は渡っている。
サヤの中で果てれば、妊娠の可能性はより現実味を帯びる。

「何を言ってるのか、自分で分かってるのか?」

サヤは何も言わず、体を密着させてきた。
最初に確認し合ったことを思い出す。
サヤは父親のためでなく、俺はオーキド博士のためでなく、
互いが、互いを求め合っているから、俺たちは行為に臨んだ。
俺の愛情が本物であると証明して欲しい、とサヤは言った。
たとえ記憶が消えても、失われない記録。
俺とサヤが愛し合ったという絶対の証明。
それを作る覚悟がサヤにはできている。
その思いの強さに、不意に、泣いてしまいそうになる自分がいた。

大きなストロークで、自分のそれをサヤの一番深いところに導く。
その瞬間を待っていたかのように、肉壁がきつく収縮する。
視界が白く染まり、腰が溶けるような感覚に襲われ、
そして……びゅくびゅくと尿道を迸る精液の律動が全身に伝播し、絶頂の快感が、脳髄を突き上げた。

固さが戻らないうちに自身を抜き、虚脱感に身を任せる。
しばらくは、言葉も喋れなかった。
互いの乱れた息遣いと、密着した肌の熱が、情事の余韻を物語っていた。
先に体力を取り戻したらしいサヤが、そっと頭を胸に寄せてくる。

「終わったの、ね……?」

俺はサヤの髪を撫でながら、

「ああ。ごめんな……優しくできなくて」
「本当に、そうよ。好き勝手にわたしの体を弄んで」
「怒ってるのか」
「ううん。前にも言ったけど、お姉様に教えられてきたもの。
 男はいざとなると、豹変する生き物だって……。
 サトシだって、その例外じゃないってことがよーく分かったわ」

静かに抗議するかのように、指先で、胸をつついてくる。

「怒ってるんだな」

サヤは答えず、顔を伏せた。
不安になって覗き込むと、目をそらされた。

「どうしたんだ?」
「い、今更になって、恥ずかしくなってきたの。
 これって、夢じゃないのよね?
 本当の本当に、わたしはサトシのものになったのよね」
「別にサヤが俺のものになったりはしていないと思うが、」
「わたしを抱いたんだから、わたしはサトシのものなの!
 そして、サトシはわたしのものになったの!」
「わ、わかったよ」

剣幕に押され、認めてしまう。
この先の関係を予言するかのような会話だな、と他人事のように思う。
しばしの沈黙のあと、サヤははにかんだ上目遣いで俺を見上げ、

「最後に、わたしの我が儘を聞いてくれて、ありがとう」

と言った。

「サヤの我が儘を聞いたつもりはない。
 俺は自分の意志で、ああしたんだ」
「サトシ……」

サヤが唇を突き出し、キスを求めてくる。
しかし俺は額へのキスのみに留め、サヤの頭を抱き寄せた。
一度勃てば、鎮めるのに時間がかかる。
これ以上サヤの体に無理をさせたくなかった。
事実、かなり体力を消耗していたのだろう、腕の中から穏やかな寝息が聞こえてくる。

「おやすみ、サヤ」

その音色に誘われるかのように、強い眠気が訪れる。
俺は瞼を閉じ、際限の無い暗闇に身を投じた。


儚くも得難い、至上の幸福を噛みしめながら。