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SSD Details

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ISAF0118

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Flash SSD の基本的な構造

①:NAND フラッシュメモリ
SLC、eMLC、MLC といった種類の他、製造プロセス、メーカー、グレードによって性能も信頼性も全然違う。
②:SSD コントローラー
メーカー、世代、グレードによって信頼性・性能とも全く異なる。最近の世代のものは NAND フラッシュメモリを複数同時に接続し同時並列アクセス (つまり RAID0 のようなもの) を行う事で性能を稼いでいる。接続チャネル数も SSD によって様々である。完成度の低いものはバグを抱えており頻繁にファームウェアアップデートが必要。
③:DRAM キャッシュ
キャッシュの量が少なすぎたり全く搭載していないものは問題外。SSD コントローラーに SRAM を内蔵している為外部 DRAM キャッシュを搭載していなくとも高速な SSD もある。
④:インターフェース
SATA や SAS 等。IDE 対応のものもあるが、SanDisk 製や高価な産業用を除き JMicron や eastWho 等の SSD コントローラーを搭載した最低性能・最悪品質のものしかない。IDE が必要な場合は SanDisk 製を個人輸入するか SATA のものをインターフェース変換して使用する事

NAND フラッシュメモリ

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記録方式
  • NAND フラッシュメモリには以下のような記録方式がある。
・SLC (シングルレベルセル) - 1bit (2値、0/1)、保証書き換え回数 10 万回程度 (~25nm)
・MLC (マルチレベルセル)┳ 2bitMLC (4値、00/01/10/11) 保証書き換え回数 3~5 千回程度 (25nm)
                .┣3bitMLC、TLC、トリプルレベルセル (8値、000/001/010/011/100/101/110/111)
                .┗4bitMLC (16値)
・eSLC - 同じプロセスルールの SLC よりも多い書き換え回数、短いデータ保持期間
・eMLC - 同じプロセスルールの MLC よりも多い書き換え回数、短いデータ保持期間
  • SSD では SLC / MLC を採用した機種が殆どで、基本的に SLC 採用 SSD の方が高速かつ長寿命だが特に近年はコントローラーチップが進化し効率的な管理がされるようになり容量単価が安価な MLC でも Intel や東芝製等の長い寿命を備える SSD も多い (SSD の寿命や速度は SSD コントローラーやファームウェアによって大きく左右され、仮に SLC の NAND フラッシュを採用していても SSD コントローラーの完成度が低いと寿命は非常に短くなってしまう)。3bit 以上の MLC は信頼性が大幅に落ちる為主に書き換え回数が少ない SD カードや USB メモリに使用される。また 3bit 以上の MLC に対応した SSD コントローラーは少ない。エンタープライズ向けに耐久性を高めた eSLC・eMLC というものも存在し、それぞれ同じ製造プロセスの通常のものと比べ数倍かそれ以上の書き換えに耐えられるがデータ保持期間が 3 ヶ月程度のものもあるほどに短い (通電されていれば定期的にリフレッシュされるので常時起動しているサーバー等であれば問題ない)。

書き換え回数と ECC エラー訂正
  • NAND フラッシュメモリの寿命は規定の ECC エラー訂正を使用した場合に何万回、あるいは何千回といった書き換え回数で示されるがこの書き換え回数はあくまで保証値(極低い確率でセルの欠損が始まる数値)となっており規定の書き換え回数を超えた瞬間に全てのセルが使用不能になる訳ではないし、セルが欠損した場合でもセル・ページ・ブロックを代替する事により継続使用が可能。また電源 OFF 時のデータ保持期間を無視するならば、強力なエラー訂正を実装した SSD コントローラーと大容量の予備領域を用いれば NAND フラッシュメモリのスペックを大きく超える書き換え回数が実現可能。製造プロセスが微細化されている程、またセルあたりの記録ビット数が増える程書き換え回数が減る傾向にあると言われているが、同時期に同じメーカーで生産されたもの同士ならばともかく、時間と共に製造技術・材料は進化している為一年後の NAND フラッシュメモリの保証書き換え回数が必ず減るとは言えない。
  • Intel の 25nm 2bitMLC の 64M2X シリーズの NAND フラッシュのデータシートによると保証書き換え回数は 5000 回となっている。これは同社製 34nmMLC の MD332B シリーズとスペック上は保証書き換え回数が同じであり、グレード等にもよるが必ずしもシュリンクしたからと言って (スペック上の) 耐久性が下がる訳ではない事を示している。
  • SLC の場合は全てのメーカー、50nm~20nm 世代を通して 10 万回かそれ以上の場合が殆ど。

メーカーによる品質・速度差
総合すると同時期に製造された NAND フラッシュメモリの品質・速度は 東芝/SanDisk 系のものが最も高く、次いで Intel/Micron (IMFT) 系、Samsung、Hynix/ST の順番となる。

データ保持期間 (データリテンション)
  • 記録されたデータを正しく読み出せる期間の事。業界団体の JEDEC の基準は保証書き換え数を満たした時点で一年間 (上の"福田昭のセミコン業界最前線"参照)。


  • Intel の 25nm 2bitMLC の 64M2X シリーズの場合 JEDEC 準拠 (データシートより) となっている。※決して Intel の NAND フラッシュメモリのデータリテンションが短いという訳ではなく、書き換え回数 5000 回以下であれば最低でも一年間は通電せず放置しても問題無いという最低保証値。耐久テストでもしない限りは数年間のデータリテンションが見込める。

  • このブログでは NAND 以外は条件の同じ二機種を用いてデータ保持エラーを計測しており書き換え量が増える程データ化けの危険性が高まる様子がわかる (通常は ECC によるエラー訂正で訂正できるが極端に劣化が進むと訂正しきれずユーザーの目に見える形でデータ化けする)。また同時期に販売されていた IMFT 34nm の方が 東芝 43nm よりデータ保持エラーが 10倍高い事がわかる。メーカーによる品質差か製造プロセスの違いかは不明。

リードディスターブ・プログラムディスターブ
  • 同じページを多数読み出しをすると同一ブロック内の他のページのデータに影響を与えたり、書き込み時に他のセルのデータに影響を与えてしまう現象の事。影響の大小は NAND フラッシュメモリによって異なる。

ページサイズ・ブロックサイズ
  • 基本的にシュリンクされるほどページ・ブロックサイズは大きくなる傾向にある。Intel 製の場合 34nm (MD332B) で ページサイズ 4KB (+ 224byte)、25nm (64M2X) でページサイズ 8KB (+ 448byte)となっている。ブロックサイズはページサイズの整数倍で Intel の場合 256ページで 1ブロック。

SSD コントローラとフラッシュメモリ間のインターフェース
  • SSD コントローラーとの通信に使用するインターフェースは東芝・Samsung は Toggle DDR、IMFT・SanDisk は ONFi を推進しており両者には互換性が無い。SSD コントローラー専業メーカーによる SSD コントローラーは大抵両方のインターフェースをサポートしている。

  • Toggle DDR 1.0 では 133Mbps に対応しており、Toggle DDR 2.0 では 400Mbps までサポートしている。Toggle DDR を推進する東芝と Samsung (二社の NAND フラッシュメモリのシェアを合計すると 70% 前後) は JEDEC に標準化を呼びかけている。

  • ONFi の現行規格である ONFi 2.2 では 166/200Mbps の通信速度に対応している。ONFi は増大するエラーによるエラー訂正から Flash メモリコントローラーを開放する為 NAND フラッシュメモリ内にエラー訂正回路を組み込んだ「EZ NAND (ECC Zero NAND)」(Micron は Clear NAND と呼んでいる)用のプロトコルを組み込んだ ONFi 2.3 を策定した。次世代の ONFi 3.0 では通信速度が 400Mbps に達する見込み。
  • ONFi - NAND フラッシュメモリインターフェース

SSD コントローラとフラッシュメモリの接続チャンネル数・インターリーブ
  • 大半の SSD は 2 個以上の NAND フラッシュメモリチップを搭載し、複数のチップに同時アクセスを行う事で性能を稼いでいる。現在のコンシューマ向け SSD コントローラーは 8ch 以上をサポートしているものが主流でコンシューマ向け SSD は内部で 8~10ch 接続になっているもの多く廉価な製品では 4~5ch 程度である。

  • NAND チップ数が 8 つでもチップ二つが同じチャンネルに接続され 4ch 接続になっている場合、チップ数が 4 つでも一つのチップがインターフェースを 2ch 搭載しており 8ch 接続になっている場合があり「チップ数=チャンネル数」では無い。

  • 仮に NAND フラッシュメモリチップが一個だけだとしても、最近では一つのパッケージ内に複数のシリコンダイ (画像では NAND チップとなっている) が入っているものが大半の為、それぞれのシリコンダイに同時アクセス (インターリーブモード) する事でも性能向上が可能。チップ枚数が同じでもより大容量版の方が高速なのはインターリーブを使用している為である。但し上記の NAND フラッシュメモリ 1 チップあたりのインターフェースの上限速度がある為インターリーブによる性能向上には限りがある。
フラッシュメモリチップの内部構造の一例

SSD コントローラーとその機能

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  • SSDの心臓部品。NANDフラッシュメモリや(対応している場合)外部DRAMキャッシュの制御とSATA/PATA/USB等のインターフェースを通して PC 等のホストとの通信を行う。HDD と比べて高度な制御が行われている為、搭載しているSSD コントローラーによりその SSD の速度・寿命・信頼性等の主な特徴が決まりその差はコントローラーによってかなり大きい。SSDを選ぶ際は値段や販売ブランドや付属品ではなく、どんなSSDコントローラーを搭載しているかで選ぶべき。
  • 2009/3/24 制御ICで決まるSSD、微細化進展で信頼性確保が課題に

ファームウェア
  • SSD コントローラーによっては ARM 等の汎用 CPU・FPGA を使用しており、ファームウェア自体のサイズは不明だがアップデータだけで Intel・Micron (Marvell)・Indilinx の場合で数 MB、SandForce に至っては 数十MB もあり物理的に全く同じコントローラーチップでも使用されているファームウェアによってその SSD コントローラーの機能は全く変わったものになる。例えば根本的にファームウェアを再設計しなくとも、ベンダーが小手先でファームウェアをカスタマイズする事でシーケンシャル・ランダム性能を変えたり SMART の仕様を自由に変更する事が可能である。ただしファームウェアの根本的な欠陥が見つかった場合は SSD コントローラーのメーカーでなければ対処不可能なケースもある。他社製の SSD コントローラーやファームウェアを採用しているメーカー・ベンダーの SSD は不具合があってもファームウェアアップデートの提供が遅れたり提供自体されない場合があるのでサポート体制に注意。自社製コントローラーを使用しているメーカーの SSD の方が無難。一番良いのはファームウェアのアップデートが必要な程の不具合が無い事である。

ウェアレベリング
  • NAND フラッシュメモリは記録・消去を繰り返すほどメモリセルが故障する確率が上がってゆく素子であり、ウェアレベリングは同じアドレスに集中して書き換えが発生した場合に特定のメモリセルだけ大きく消耗してしまう事を防止する機能。HDD と異なり OS から認識されるアドレス(論理アドレス)と実際の SSD 内の NAND フラッシュメモリ上のアドレス(物理アドレス)が異なっており、各ページやブロックの消耗具合によって動的に変化させている。SSD や最近の CF(コンパクトフラッシュ)はほぼ全てこの機能を備えており、代表的な種類としては書き換えが発生した部位と空き領域だけを対象にしたダイナミック・ウェアレベリング、より高度な使用済みかつ書き換えが発生していない部位も対象にしたスタティック・ウェアレベリングがあり、チップ内だけで行うもの (ローカル・ウェアレベリング) やチップをまたがって行われるもの (グローバル・ウェアレベリング) もある等、メーカーや世代によって実装は様々であり、しかもウェアレベリングが行われるタイミングや頻度も異なる (回数を増やすほどより平均化できるが回数を増やしすぎるとウェアレベリング自体が書き込みを伴うので逆に寿命を縮めてしまう)。稚拙な実装がされている SSD ではプチフリが発生したり、ウェアレベリングの効率が低い為同じ NAND フラッシュチップを搭載した他の SSD より寿命が短い。SSD 内部で自動的に処理されるのでユーザーが明示的に操作する必要はない。

GC(ガベージ・コレクション)
  • GC はアイドル時等に自動で空きページ・空きブロックを纏める機能で、空き領域のデフラグに似た効果がありこの機能を搭載した SSD は空きブロック・空きページがあるうちは暫く放置すると速度低下が回復したりする。ウェアレベリングや Trim の効率を高める効果があるが Trim の代わりにはならない。黎明期の SSD には搭載されておらず、MLC 世代の SSD から搭載されるようになった。実装はメーカーによって様々なので効果は一定ではない。SSD 内部で自動で行われる処理なのでユーザーは意識する必要は無い。

予備領域 (Over-provisioning)
  • SSD は表記されている容量より多くNANDフラッシュメモリが搭載されており、例えば 64GB 表記の SSD であれば本来は 64GiB の容量を持つが、JEDEC の呼びかけにより民生用 SSD は約 7% の予備領域を確保しユーザーエリアは SI 接頭辞分(つまり 64GiB 分 NAND を積んでいるにも関わらず約 4.4GiB は予備領域になっており、約 59.6GiB=64GB 分)に制限されている物が一般的である。この予備領域は NAND フラッシュメモリの管理、ウェアレベリングやガベージコレクションの作業領域、寿命を迎えたセルを代替に使用される。SandForce 製 SSD コントローラー搭載製品の場合は表記されている容量より実容量が大きい場合があり、またエンタープライズ向けや高信頼性 SSD では 7%を超える容量、例えば 13%~28% の予備領域を備えているものもある。予備領域が多いとパフォーマンス低下が起こりにくくなり寿命が伸びるので基本的に多ければ多いほど良いのだがその分容量単価が高くなる。SSD コントローラーによってはベンダー側の任意で予備領域の量を自由に調節できるものもある。

  • Intel や Fusion-io の ioDrive 等のユーザーによる予備領域の増加が可能な SSD ではユーザーによる操作で予備領域を増加させられるが、それ以外の SSD ではわざと未使用領域を作っておいても SSD 側がその未使用領域を予備領域として認識できないので意味が無い。

  • ドライブ全量をパーティションとして確保している場合でも全量使い切らず、空き容量を残しておくと寿命が延びるという風評があるが、SSD はファイルシステムを認識できないので、ゼロで埋まったビットが大量に並んでいたとしても SSD は勝手にそのデータを消去する事はしないしウェアレベリングの対象になるので、空き容量と寿命の相関関係は薄い。例えば 80GB の SSD で使用量が 1MB だけだったとしても、そのたった 1MB のデータを 100 億回程書き換えれば WA が 1 だった場合でも書き込み量は 10PB になり大抵の SSD は寿命を越えるし、逆に 80GB 一杯にデータを書き込んだ場合でも書き換えが一切起こらなければ半永久的に使用出来る。寿命に影響があるのは「ファイルシステム上の使用量」ではなく「書き換え量」である。書き換え量に関しても Intel や東芝の SSD であれば 24 時間 365 日データを書き込み続けて意図的にフラッシュメモリを消耗させようとでもしない限り、フラッシュメモリの寿命よりも先に性能的・容量的に陳腐化して使用に耐えなくなるので寿命に関する心配は不要である。但し GC を搭載していなかったり GC の効率の低い出来の悪い SSD では空き領域が少なくなるとリードもディファイライトが多発し速度低下する場合がある。

Write Amplification (Intel提唱)
  • SSD の場合、僅か 1byte のデータを書き換えただけでも実際には SSD 内部でページ/ブロックサイズ等の最小管理単位ごとの書き換えが発生する。つまり基本的には「OS から見た書き換え量」よりも「SSD 内部の書き換え量」が多い。「SSD 内部の書き換え量」/「OS から見た書き換え量」を WA (Write Amplification) と呼び、SSD コントローラーによって、或いは同じ SSD コントローラーでもファームウェアのバージョンによって、また使用状況でもこの値は異なってくる。「OS から見た書き換え量」と「SSD 内部の書き換え量」が全く等しい場合(ユーザーや OS による書き込みの他にも SSD 内部ではウェアレベリングやガベージコレクションが自動的に行われるので現時点では有り得ないと言っていい)は WA は 1 になり、「OS から見た書き換え量」よりも「SSD 内部の書き換え量」が倍の場合は WA は 2 となる。NAND フラッシュメモリは書き換え回数に限りがあるので WA は低い方が良い。WA は機種や SSD コントローラーによって数値が固定されている訳ではなく、使用状況によっても大きく左右される事に注意。一般的に 100% シーケンシャルライト時と 100% ランダムライト時で大きく寿命・WA が変わる。

  • こちらのブログによると、JMF602 搭載 SSD で 4KB ランダムライトを行うと最悪 WA は 4000、Indilinx Barefoot 搭載 SSD では 200 以上になると指摘されている。
  • Intelの天野氏によると、Intel の SSD の WA は 1.1 程度であると主張しているが、この数字はあくまでも特定の状況で計測されたものでありあらゆる使用状況で WA1.1 を達成できる訳ではない事に注意(また、この図は対数グラフになっている事に注意。IDF2009 の資料によると 100% シーケンシャル書き込み時と 100% ランダム書き込み時の寿命に約 25 倍の開きがある事から、最悪 WA は 25 以上になる事がわかる)。但し、これまでの故障報告から三流 SSD コントローラー搭載製品より Intel の SSD の方が WA が低い事は間違いないと言われている。
  • SandForce の一部の SSD コントローラーではデータを圧縮した上で NAND フラッシュメモリに書き込む為 WA は 1 未満であると宣伝されているが WA 0.5 達成時の Trim の有効/無効や書き込みパターン等の条件は公開されておらず、ありとあらゆる使用状況やウェアレベリング・GC・ECC まで考慮したうえで WA 0.5 を達成しているのかは不明。

障害対策
  • SandForce 製 SSD コントローラーは SF-1000 系の時点から ECC 等とは別に RAISE と呼ばれる RAID5 に似たパリティを付加してデータを保存しており NAND フラッシュメモリのダイが一つ故障しても継続して使用できるとされている (DRAM で使用されるチップキルに近い機能) 。後に Intel が SSD 320 で RAID4 相当のパリティを付加する SandForce に近い機能を搭載している。

  • この機能を搭載した機種はダイ一つあたりの記録密度が高い (プロセスルールがシュリンクされている) ほど余分な容量を必要とし、この為 SandForce 搭載 SSD は NAND フラッシュメモリに 34nm を採用したものよりも 25nm を採用したものの方が ユーザー使用可能容量/物理搭載量 のレートが悪化する (ユーザーが使用可能な容量が減る)。CORSAIR の例では 同じ物理搭載量 128GiB でも 34nm 搭載品はユーザー使用可能容量 120GB、25nm 搭載品はユーザー使用可能容量 115GB、或いは物理搭載量 96GiB で 34nm 搭載品は 90GB、25nm 搭載品は 80GB となっている。

DRAM・SRAM キャッシュ

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  • SSD コントローラーは外部 DRAM キャッシュに対応したものとしていないものがある。HDD 同様データのキャッシュやファームウェアをロードする他ウェアレベリング等の作業用に使用される。コンパクトフラッシュ用のコントローラーを流用した様な旧世代のものは対応していない場合が多く、最近の世代のものは DDR~DDR3 の 128~256MB の DRAM キャッシュを搭載しているものが主流。

  • SandForce や Intel の SSD コントローラーに関してはコントローラー内部に高速な SRAM を搭載しており外部 DRAM キャッシュ非搭載にも関わらずパフォーマンスは高い。逆に PHISON のコントローラーを採用した SSD (の初期のファームウェアを搭載したもの) は DRAM キャッシュを搭載していても使用に耐えない程遅い。

  • エンタープライズ向け SSD の一部 (SandForce SF-1500/SF-2500 系搭載品や Intel SSD 320、HP 自社製のもの) は停電時に揮発性キャッシュの内容を NAND フラッシュメモリに退避できるように大容量のコンデンサを搭載しているものもある。

  • DRAM キャッシュ以外に NAND フラッシュメモリの一部分を二次キャッシュとして利用している SSD もある (参考、P23 参照、PDF)

  • Intel 自社製コントローラーに関しては 32MB の DRAM を外部搭載可能だがユーザーデータのキャッシュには使用されていないとの事。

インターフェース

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PATA/ATA
旧来のパラレル ATA。信号は同じでもコネクタ形状は以下のように多くの種類がある。電源電圧以外は変換コネクタで相互変換が可能。残念ながら現在 PATA 接続のもので東芝や Intel 製 SSD のように信頼性・寿命・性能が共に優れた SSD は存在せず、CF 用コントローラーに毛が生えた程度のコントローラーを搭載したり SATA 対応のコントローラーを変換チップで変換して搭載しているものしか無い。従って、PATA 環境であれば SATA の SSD を PATA 変換して使用するべきである。
  • 3.5"で使用される 40pin (+4pin ペリフェラル電源コネクタ)
  • 2.5"インチと日立型 1.8”で使用される 44pin (電源ピン含む。通常は 5V だが 3.3V 駆動のものもある)
  • 東芝型 1.8"で使用される 50pin (電源ピン含む。3.3V 駆動、コンパクトフラッシュとはピンアサインが異なる)
  • コンパクトフラッシュで使用される 50pin (電源ピン含む。5V/3.3V 両対応。)
  • 東芝型 1.8"で使用される LIF(Low Insertion Force)。ケーブルの厚みやピンアサインが異なる数種類が存在する。(電源ピン含む。3.3V 駆動)
  • eeePC/DELL mini9 用の miniPCIe カード型 SSD 用コネクタ。miniPCIe とは全く互換性は無く PATA 以外に SATA と USB 用の pin を備える。3.3V 駆動
  • BGA。ワンチップ型 SSD ではチップのパッケージの pin から直接 PATA インターフェースに接続できるようになっているものがある。ピンアサインや駆動電圧は製品によって異なる

SATA
現在主流のインターフェース。現行品は SATA2.6 3Gbps か SATA3.0 6Gbps。通信速度は 150/300/600MBps の三種があり、製品によっては「ホットスワップ」「スタッガードスピンアップ」「NCQ」「ポートマルチプライヤ」「AHCIモード」のいずれかあるいは全部をサポートしている場合もある。コネクタは以下の種類がある。
  • 3.5"/2.5"HDD/SSD で使用される 15pin 電源コネクタ+7pin 信号コネクタ。電源コネクタは 12V/5V/3.3V 対応でアクセス LED/スタッガードスピンアップ制御用 pin も定義されている。通常 3.5"HDD/SSD では 12V/5V のみが使用され、2.5"HDD/SSD・Half-slim SSD では 5V のみ (稀に 3.3Vのみ) を使用する。
  • 1.8" で使用される 9pin 電源コネクタ+7pin 信号コネクタ (microSATA コネクタ)。電源コネクタは 5V/3.3V 対応でベンダ依存の pin が二本用意される。通常 1.8"HDD では 3.3V のみ使用される。信号コネクタは通常のものよりやや薄い。
  • スリム光学ドライブで使用される 6pin 電源コネクタ+7pin 信号コネクタ (Slim コネクタ)。電源コネクタは 5V のみ対応でデバイス認識用ピンと診断用ピンが含まれる。信号用コネクタは通常のものと同一。
  • 1.8"HDD/SSD 向けに信号・電源ピンを含んだ LIF コネクタが定義されており、極稀に採用製品がある。
  • 特殊な例として miniPCIe カード型の mSATA や eeePC・DELL mini9 用 SSD では miniPCIe と同形状だが miniPCIe とは電気的互換性が無くピンアサインも全く異なるコネクタを使用している。これらは信号ピンだけでなく電源ピンを含んでおり駆動電圧は 3.3V。
  • 他の特殊な例ではワンチップ型 SSD でチップのパッケージから直接 SATA インターフェース用 pin が出ているものもある。
  • 外付け向けの eSATA は信号コネクタのみ定義されており内蔵用信号コネクタとは形状が異なり互換性が無い (電気的には互換性あり)。電源は外部から調達する為コネクタ形状等は定義されていないが内蔵用 15pin 電源コネクタをそのまま外部に引き出して使用する製品もある。

SAS
エンタープライズ向けデバイスで現在標準のインターフェース。300MBps と 600MBps 対応の製品があり将来 1.2GBps の規格が登場する。 SATA と下位互換性がある (SAS コントローラに SATA デバイスを接続して使用できる。逆は不可)。電源コネクタは SATA 標準の 15pin と同一。SAS エキスパンダに対応している。

USB
組み込み用や外付け型 SSD に見られる。60MBps の USB2.0 と 625MBps の USB3.0 対応のものがある。USB3.0 と USB2.0 は一応互換性があり相互に接続する事が出来る。いずれも駆動電圧は 5V だが規格上のコネクタあたりの給電能力は USB2.0 は 500mA なのに対して USB3.0 は 900mA まで強化されている (実際の製品ではそれ以上の給電能力を有するものもある)。SSD に見られるコネクタの種類は以下の通り
  • A端子、外付け型 SSD や USB メモリで良く目にする
  • マザーボード直結用 9pin ピンヘッダ

PCI-Express
通常拡張カードに使用される規格で PCIe1.1 で 1 レーンあたり 250MBps、PCIe2.0 で 1 レーンあたり 500MBps、将来登場予定の PCIe3.0 では 1 レーンあたり 1GBps の転送速度を持つ。複数のレーンを束ねて使用される事もあり、x1/x2/x4/x8/x16/x32 レーンの各コネクタが定義されており実際に見られるのは x1/x4/x8/x16 レーン用コネクタである。例えば PCIe 2.0 の x8 コネクタの場合 4GBps の転送速度を持つ。駆動電圧は 3.3V+12V、x16 コネクタの給電能力は最大 75W。それ以上の電力を消費するカードは 6pin ないし 8pin の 12V 補助電源コネクタを一本又は複数本接続して補う。SSD の場合は今のところ補助電源コネクタを必要とする製品は見当たらない。

PCIe 接続の SSD は実際の所殆どが RAID コントローラーと SATA インターフェースの SSD 複数台分のチップを搭載しただけのものであり SSD コントローラー自体は SATA 対応のものが多く、RAID コントローラー用のドライバをインストールしなければ認識されない。PCI-X 用 RAID コントローラーをブリッジチップで PCIe に変換している機種もあり、この機種はマザーボードによっては正常に動作しない。

SSDの各種形状について

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  • HDD互換形状
    現在最も多く流通している。3.5"SATA/PATA/FCAL、2.5"SAS/SATA/PATA(厚さ7/9.5/15mm)、東芝1.8"HDD互換SATA/PATA/ZIF(厚さ5mmが多い)等。2.5"SATAHDD互換形状が最も多い。従来はSATAやPATAインターフェースがボトルネックになるのでパフォーマンスは限られていたが、SAS/SATA6Gbpsが普及し始めた事により更なる高速化が望める。しかしそれでも下のPCI-Express拡張カード型には及ばない。OCZ は独自に HSDL というインターフェースを広めようとしているが、多分流行らず消えてゆく運命。

  • PCI-Express 拡張カード型
    PCIe x4/x8 スロットに挿せる拡張カードになっているもの。SATA 等より圧倒的に帯域が広い PCIe x4~x8 接続の為かなりパフォーマンスが高く、ゲーマーやエンタープライズ向け等の特に高いパフォーマンスが必要なニーズに合わせた物が多い。PCIe インターフェースと NAND インターフェース双方を備えた専用チップを搭載しているものや、単に PCIe 対応の RAID コントローラーと SSD 複数台分のチップを搭載しただけのお手軽設計のものがある。酷いものになるとRAID カードに SSD をぶら下げてケースで覆っただけのものまであるので注意が必要である。小容量の割に PCIe スロットを占有される上冗長化もソフトウェアでしか行えずホットプラグも出来ないので肝心のサーバー用途は有望でなく、ゲーマーにしても貴重な PCIe スロットを占有されて SLI もクロスファイアもできなくなるのでもうどうしようもない (2.5" SAS の SSD と キャッシュ付きの RAID カードを買った方がずっと汎用性もパフォーマンスも信頼性も上)。

  • コンパクトフラッシュ型
    元々 CF は IDE インターフェースを備えており、ウェアレベリングを搭載した製品も珍しくなく、組み込み機器等で CF にそのまま OS をインストールして使用する場合がある。寸法上、大容量化や外部 DRAM キャッシュの搭載が難しいため SLC のものでも特に RW4KB のパフォーマンスはかなり低い傾向にあるが RR4KB は 低回転数の2.5"/1.8"等の HDD よりはずっと高速でトータルではやや快適になる。Trancend や SanDisk の SLC のものは固定ディスクと認識され CF の中では最もシステムドライブに向いているが最近では CF でも MLC のものが大部分になってしまい SLC のもの以上に RW4KB は遅く、CF の中にはリムーバブルディスクと認識されるものもあるので CF ならなんでも HDD の代替ストレージに出来る訳ではない。産業用マザーボードでは CF スロットを搭載しているものがあるがそういった例外を除き PC に内蔵する際は基本的に CF から IDE へのコネクタ形状変換コネクタが必要で 1.8"東芝型50pin/1.8"東芝型LIF/1.8"日立型44pin/2.5"44pin/3.5"40pin 等の各サイズに変換するものや CF を複数枚挿して RAID0 アレイを組めるアダプタ等が多数存在する (CF のコネクタ形状は東芝型 1.8" の 50pin と全く同一であるがピンアサインが全く異なるので直結は不可能)。一部に CF を SSD として販売するメーカーもある為この項目に加えた。

  • 外付け型
    USB メモリの中でも OS から固定ディスクと認識されシステムドライブに出来るくらいの高パフォーマンスのUSBメモリをSSDと称して販売するメーカーがある。他に単に 2.5"SSD を USB 変換外付けケースに入れて販売されているものや、eSATA 直結型の小型なものもある。

  • 特殊型
    小型のノート PC 等や組み込み機器向けの特殊な小型形状のもの。単体で販売される事は少ない。小型化を優先したものが多く HDD 互換形状のものよりパフォーマンスが劣ることが多い。
規格名 形状 インターフェース 電源 備考
Half-slim (JEDEC MO-297-A) SATA コネクタを備えた小基板 SATA 5V/3.3V
mSATA (JEDEC MO-300) MiniPCIe カード 3.3V PCIe配線を避けて定義
eeePC/Dell mini 9 専用 PATA/SATA/USB 3.3V PCIe とは互換性無し
NVMHCI PCIe(AHCI) 1.5/3.3V PCIe と互換性あり
miniPCIe PCIe
DOM(Disk On Module) 40pin IDE コネクタ直結型 PATA 色々 過去の産業用シリコンディスクに見られた
SATA コネクタ直結型 マザーボード直結用メス SATA コネクタを備えたモノ SATA エレコムが販売していた
USB ピンヘッダ直結型 マザーボード直結用 9pin メスコネクタを備えた小基板 USB 5V
DIMM 型 SATA コネクタを備えたメモリスロットに装着可能な DIMM SATA 色々 SATA ケーブルは別に挿す
ワンチップ型 BGA 等のパッケージのチップ 色々 色々

セキュリティ

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マトモな SSD であれば HDD 同様 ATA Security コマンドに対応しているので HDD と同等のセキュリティ機能を備えており、中には FDE (Full Disk Encryption) やハードウェアレベルの暗号化機能を搭載している機種もある。

バグ修正の為にファームウェアアップデートが公開されていたり、基板上にデバッグ/テスト用のジャンパーやランドが備わっている (特に ARM 等のオープンなアーキテクチャの SSD コントローラー搭載機種でテスト用のランドがある機種は危険) SSD は解析されるリスクが高い。高度なセキュリティが必要な環境であればそういった SSD は選ぶべきではない。

廃棄する際は一度ドライブ全域にゼロフィルを行えばデータを復元されるリスクはかなり低い。内部の NAND フラッシュメモリチップ内のシリコンダイを粉々に砕けばリスクをゼロに出来る。SSD の場合は HDD と違い SecureErase を行ってもユーザーデータを記録しているセルを上書きしない実装になっている機種もあるようなので (SecureErase が十数秒で終わる機種等。HDD の場合 HDD 自身が機種によって異なる様々なアルゴリズムでプラッタ上のデータを消去する為に通常のゼロフィルより時間が掛かる場合がある)、SecureErase は安全とは言えない。

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