金融商品取引法


【背景】
これまでは、株券や債券など有価証券については「証券取引法」、金融先物取引については「金融先物取引法」というように、金融商品ごとに法律が定められていた

ところがその法律の隙間を突く金融商品が相次いで登場し、投資家が被害を受ける案件が後を絶たない状況になった
<例>
①ライブドアの時間外取引
②村上ファンドの5%ルールを悪用

そこで、幅広い金融商品を横断的・包括的に対象とする新しい法律の枠組みが求められていた

【裏づけデータ】
金融商品に関して寄せられた苦情は
2004年度 約5700件
2005年度 約1万件   とほぼ倍増
(国民生活センター調べ)

【目的】
①利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上
②「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保
③資本市場の国際化への対応を図る

⇒元本割れリスクのある金融商品の勧誘や契約時の規制を強化し、投資家保護を厚くする
⇒法の抜け穴を突くような株取引の防止策や、実態が見えにくい投資ファンドに対する規制の強化
⇒国内だけでなく海外から信頼の確保にもしっかりとつなげていく

【内容】
①投資サービス規制
②開示制度
③取引所制度の整備
④罰金・課徴金の引き上げ

【改正の主な内容】
①投資サービス規制…
    • 投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度の整備


  【横断化】(縦割り規制から横断的な規制に)

  ○投資性の強い金融商品・サービスに、すき間なく同等の規制
        ↓ ↓ ↓
   集団投資スキーム(ファンド)を包括的に対象 


  【柔軟化】(一律規制から差異のある規制に)

  ○いわゆるプロ向けと一般向け(投資家の知識・経験)、商品類型等に応じて差異のある規制

②開示制度…
    • 公開買付に関する開示制度や大量保有報告制度の整備
    • 四半期報告制度の導入
    • 財務報告に係る内部統制の強化等に関する制度の整備

 ○ 四半期開示の法定化
 ○ 財務報告に係る内部統制の強化
   ※ 適正開示に関する経営者の確認 等
 ○ 公開買付(TOB)制度の見直し
  ⇒「市場内外の取引を組み合わせた急速な買い付けによる3分の1超の株式取得」がTOBの対象に
 ○ 大量保有報告制度の見直し
  ※ 特例報告期限
     3ヶ月毎15日以内 → 2週間毎5営業日以内

③取引所制度の整備…

 ○ 取引所の自主規制機能(上場審査・売買審査等)の強化
(自主規制組織に独立性を付与)

④罰金・課徴金の引き上げ
    • 開示書類の虚偽記載及び不公正取引(インサイダー取引)の罰則強化

 ○ 罰則の引上げ(最高5年 ⇒ 10年)
 ○ 「見せ玉」に対する課徴金・罰則の拡大
  ⇒インサイダー取引や見せ玉を使った株価誘導などに
   対する罰則も強化
  ←これまでは刑事罰の対象となっていましたが、
   新たな罰則として課徴金も設けられました。

【消費者の利益】
販売時に元本割れのリスクを書面で説明するよう義務付けています。
⇒対応を誤れば巨額の損害賠償を求められることになります。

【課題と解決の方向性】
①見せ玉と本当の注文キャンセルとを見分ける基準はどうするのか等不透明な点も多く
⇒具体的な基準を設けるべき

※見せ玉とは、株価を操作・誘導する目的で売買の意志が無いのに大量の売買注文を入れて、板(株の注文ボード)にインパクトを与え、株価を操作する行為のことです。

②不招請勧誘の禁止規定の導入はされず
⇒市場は、自立した意思をもつ者が登場する場であって、不招請勧誘をして引っ張り込む場ではないはず

③消費者としては金融商品のリスクを理解する努力を



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最終更新:2006年11月21日 00:39