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頼み事

人間に戻った父親は、娘の名を呼んだ。そして、訊ねた。

アレキサンドリア‥‥母さんは最後に何と、と。

娘が目を見開き、父に飛びついた。少女は、切れ切れに母の最後の言葉を伝えると、堰を切ったように号泣した。

100年分の苦しみを伝える言葉などなく、ただただ涙だけが流れ続ける。その間、父親は娘の頭をずっと撫でていた。

大戦士長よ、一つ頼みがある、と父親は長い沈黙の後、口を開く。

「うっ‥‥ひくっ、ぃ‥‥パパぁ‥‥?」

真っ赤になってしゃくり上げる娘が手元の布で涙を拭いた。

「俺も娘と同じホムンクルスにしてくれ」

大戦士長とブラボーが息を呑む。

チーンッ、ずずずっ。

「――― そして、替えの服を調達してくれないか‥‥‥‥ヴィクトリア‥‥涙を拭くのと、鼻をかむのは別のもので‥‥頼むから‥‥‥‥

大戦士長とブラボーは、途方に暮れて娘を宥めるヴィクターを気の毒そうに見つめ、肯くしかなかった。

Note

2006/04/09 初稿

10巻を読んでいたら、ポンと出てきたアホなイメージです。あの身長差だと、そういう位置関係になるよね‥‥という話。ごめんなさい×20。

2006/11/11 移行、一部修正

新サイトに移行しました。それに伴って、据わりの悪かった「替えのフンドシ」を「替えの服」に修正。