想定内の味

少しして、柔らかい感触が離れて。

頬を赤らめた少女は口を押さえ、少年は真っ赤になって頭を掻いて。

「えーと」

「‥‥

「なに?‥‥斗貴子さん」

ぎこちなく少女の名を呼ぶ。

「‥‥カズキ、ここに登る前に何を飲んでた?」

「なにって、青汁‥‥あー」

少年は更に顔を赤くする。

「ゴメン」

「謝る必要は無い」

その青臭さが、なによりもキミらしいから、とは少女は言わなかった。

「それでも、ゴメン」

「そうだな、なら ――― 『不味い、もう一杯』」

「へ?」

くすりと少女は笑った。

Note

2005/04/30 初稿

斗貴子さん別人格のCMネタ。知らなかったら申し訳ない。

以前、某所のチャットにお邪魔したときに思いついたネタをカズトキでやってみました。もともとはパピヨン×カズキのためのネタだったんですけれどね(笑)。これはこれで面白そうなんですが、そこに至るまでの展開が思いつかないのでお蔵入りしかかっています。あの最終章の扉絵を見たらどうしてもこっちのバージョンも書いてみたくなった次第。

2006/11/11 移行

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最終更新:2006年11月12日 01:50