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いたずら sideA


 俺はきっと地獄に落ちるだろうな、と最近とみに思う。

 ふ、と軽く息を吐いて、ちみちゃんから離れる。透き通るような若い素肌に残る白い穢れ。色で言えば少女の肌と同系統のはずなのに、なぜこんなにも卑猥なんだろう。
 清廉な少女の顔に残されたそれに、妙に興奮する自分は本当にダメ人間だ、と考えたりする。狭いアパートの、外から聞こえるトラックの音に俺は背を震わせ、あたりに漂う性臭にひどく怯えた。
「兄ちゃん、きもちよかったー?」
 明るく聞いてくるちみちゃん。きっと何もわかってない。ああ、とだけ応えて、俺はティッシュを何枚か手に取った。ごしごしと彼女の顔についた汚れを拭く。くすぐったがって笑う少女の、表情を見ることが出来ない。
 俺はちみちゃんに、何の説明もしていない。入れてはいないから、なんて免罪符にもならない。きっと「まだきてない」だろうし、そもそも入れなかったのではなく、入らなかっただけなんだ、きっと。

「ち、ちみちゃん」
 もう、これ止めようね。
 そんな簡単な一言が出てこない。
 んー、と聞き返す少女に、俺の欲望を受け止めさせた少女に、結局俺は何もいえない。
 もっともらしい理由は用意してある。彼女が好きだから――自分の年の半分にも満たない少女を? 本当に?

 子供の頃良く遊んだ思い出の公園で出会った少女。一人でいた。気まぐれだった。漫画やアニメのように何も起きなかった人生に飽き飽きしていて。俺は、よく読む漫画の、よりにもよって一番最悪な展開を再現してしまった。
 簡単だった。最近、そういう事件が増えていて、子供たちの危機感はあおられているはずで。きゃー、とでもお母さん、とでも言って逃げてくれれば良かったのに。
 ひどく簡単に、ちみちゃんは俺と笑って話してくれて、買ってあげたお菓子をおいしそうに食べて、俺の部屋まで着いてきた。ひどく、簡単だった。

 出会ったその日、家につれてきたその日。疲れて眠ってしまった少女に、俺はいきなり手を出した。キスをして、あちこち触れて、目覚めた少女は拒まなくて。興奮した俺は、まるで勇者にでもなったかのような気分だった。
 わかっている、ただ俺は、日常に飽きて、そこから抜け出たかっただけなんだ。少女に手を出したかったわけじゃない。こんなに後悔することを、覚悟していたわけがない。彼女を返した俺に待っていたのは、勇者じゃなく、犯罪者になったという現実だけだった。

 後悔している。でも、やめられない。
 惰性のように、依存のように、俺は少女を迎えに行って、この部屋へと招き入れる――

いたずら sideB


 ぷはっ、と口からあふれる兄ちゃんのモノをに口付けながらあたしは息を吐いた。

 まったく、いつ見てもおっきいんだから。
 ちろちろと舐めると口の中に微妙な塩辛さが広がる。正直この味は好きじゃない、でも
「ち、ちみちゃん」
 切羽詰った風に兄ちゃんが眉を寄せる姿は好きだ。さらに舐めていると兄ちゃんの眉の間が段々狭くなってきて、腰が引けていくのがわかる。あ、そろそろだ、と思っていると、またあたしの名前を呼んで、同時に抜くと、顔にかかるあったかいもの。ふふ、「イった」んだ。
 兄ちゃんに会ったのはもうずいぶん前に感じるけど、昨日カレンダーを見たらたった一月前のことでものすごくびっくりした。

「ね、ね、ねぇ? き、きみひと、り?」
 あの日、必要以上にどもりながら声をかけてきた兄ちゃんにあたしはびっくりした。何にびっくりしたって、声をかけてきた人がすっごい美人なの!
 一瞬女の人かと思ったけど、良く見たら男の人で、というより女性と見間違えたのが失礼なくらいかっこいい美人さんだった。
 思わずびくっ、としてしまったあたしに、目茶目茶大きい反応が返ってきた。出会ったばかりの兄ちゃんが、逃げ出しそうになっているのを見て、ああこの人臆病なんだな、と思ったり。大人の人に感じるには失礼な感想かもしれないけどね。

「な、何? どうかした?」
 ふふふ、と思わずにやけてしまったのに気づかれて、兄ちゃんが声をかけてきた。ごめーん、なんでもないよー、と返しておく。もっと自信もっていいのになー、とか思ったり。
 兄ちゃんの周囲の人は、きっとこういうとこで引いてたか、脅かさないようにしてたかしてて、兄ちゃんは自分がモテるって実感なかったんじゃないかな、とあたしは考えている。
 ありがとう、臆病な大人たち、そのおかげであたしはこんな綺麗な彼氏を持てました。
 ちょっと展開速すぎた性で兄ちゃんはまだあたしのことすごい好き、ってことにはなってないみたいなのはちょっと残念。なかなか少女漫画みたいにはいかないもんだ。でも、ネットで調べたとおり男の人がこういうことに弱いって言うのは本当みたい。
 兄ちゃんの場合すっごいまじめでこういうのにも縁がなかったせいか、さらに効果大! ふふ、なんたって、あたしが兄ちゃんとこういうことしたの初めてなんだって。嘘じゃないよ、反応見てればそれが本当だって言うのは十二分にわかるしね。
 もっちろんあたしも初めてだけど、こんな綺麗な人が今まで誰ともこういうことしてなかったってもう奇跡だよね。

「兄ちゃん、きもちよかったー?」
「あ、ああ」
 か、かわいー。目をそらして顔真っ赤にして、あたしをどれだけ好きにならせれば気が済むんだろうね、この兄ちゃん。もう絶対離さないぞー、って決意する。
「ち、ちみちゃん」
 続いてかけてきた声は、あ、これだめだ。んー、とあたしは生返事でごまかしとく。どうも兄ちゃん、あたしが小さいってを凄く気にしてるみたいなんだよね。そりゃ年は倍ぐらい違うけど――もう、離してあげるわけないじゃん。
 でも、あとひとつきくらいかなー
「な、何が?」
 小声で言った言葉に応えがあったことにびっくりするけど、また適当にごまかす。兄ちゃんが本気であたしに惚れるまで、なんて言えないしね。

 ぜーったい、逃がさないんだから!