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家庭教師」(2009/01/09 (金) 21:40:27) の最新版変更点

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家庭教師 この家に通いだしてから、そろそろ一週間、随分と家族の人には慣れた。 「うぃす」 「ん……」 奥からオレンジの紙パックを飲みながら歩いてきて、玄関に立っている俺に、スチャッと手を上げて挨拶した女の子。 それだけで後は何も言わずに、軽やかな足取りで二階に行こうとするこの娘も、最初の無愛想と比べれば、かなり馴れた方である。 ただし、仮にも先生に対する尊敬の念は、未だ限りなくゼロに近い。 どうしたもんだろうと、その困ったちゃんの女の子、洋子の後姿を何となく眺めていたら、くるっと、視線でも感じたのか振り向いた。 「先生、とっとと上がれば? 今日はお母さんいないよ」 気まぐれな猫科の動物を連想させる、少し吊り目勝ちな瞳が、何だか小馬鹿にした様に、悠然と俺を見下ろしている。 「そこにぼ~~っと立ってられると、スカートの中、見えそうなんだけど…………」 確かに洋子の言うとおり、後一段でも階段を上がれば、俺の立っている位置は、スカートの中を覗くのにベストポジションだ。 「見たいの?」 訊いてくる洋子の瞳は猫の様に細まり、キラキラと愉しげに輝いてる。 「そんなわけないだろ」 と。 即座に俺はそう応えながら、靴を脱ぐため下を向いたが、それは誤魔化してるみたいで、何となく自分自身にムカついたりした。 生意気盛ってやがる中学生ゆえ仕方ないが、洋子はときどき、こういう大人の心を見透かすような言い方をする。 そのたびに、ドキッ、としたりする自分に、ちょっと自己嫌悪の日々だ。 「…………」 だがしかしそれにしたって、何も悪いのは俺だけじゃない。 洋子はブレザーだけを脱いだ制服姿だが、スカートがいくらなんでも短すぎる。 そんなもん見たくなくたって見ちゃうだろうが。 街中でふわっとスカートが捲れれば、どんな国宝級のブスのだって、どんな硬派な奴だって、一瞬だけは目を奪われるはずだ。 男って生き物はそういう風に、神様にプログラミングされている。 とてつもなく馬鹿で悲しい生き物なんだよ。洋子はそれがまるでわかってない。 「…………」 いや、わかってるのか? そんなどうでもいいことを何となく考えながら、俺はにやにやしてる洋子を無視して部屋に入る。 サッカー選手のポスターや各種ゲーム機、棚にぎっしり収まってる少年漫画やらで、相変わらず女の子らしさの欠片もない部屋だ。 まぁ、そっちの方が圧倒的に落ち着くけれど。 「そんじゃ、さっそくやるか?」 「うん? 何を?」 「お勉強」 「ああ、そっか。先生は一応、私に勉強を教えるために来てんだもんね」 またしてもこの小娘は、生意気なことを言いやがる。 「…………」 とはいえ実際、一体何の為にここに来てるのか、それがわからなくなることがよくあった。 洋子はあまり勉強熱心ではないが、頭の回転はすこぶる良い。 七、八年ほど長生きしてるアドバンテージの分、知識の量はともかくとして、知能でいったら、洋子は俺よりも余裕で数段上だろう。 与えた課題を黙々と解いていくのだが、その間質問はほとんどないし、一度した質問を二度は絶対したりはしない。 勿論答えはばっちり合ってる。 何しに来てるだろうと考えたこともあったが、そりゃ当然バブル全盛期みたいな、バイト代のために来ているに決まっていた。 「決まってる……よな」 「どうしたの?」 「んにゃ、授業始めっか」 「ねぇ先生、それよりさ…………この間の約束…………覚えてるよね?」 「……何だっけ?」 やはりきやがったか。 前の授業のときに余った時間で格闘ゲーをやったのだが、『負けた方が勝った方の言うことをきく』なんて賭けをしたのである。 魔が差した、というやつだ。 しかしそんな魅力的な、それも可愛い女子中学生のしてくる提案を、はたして断れる男がいようか、いや、いない。 反語法。 勝利の女神がどちらに微笑んだかは、あえて俺が言うまでもないだろう。 「それじゃ先生…………先生に…………してもらうのは…………ね…………」 ベッドにぽすっと座って、上目づかいで俺を見つめながら、洋子の大人びて感じられるハスキーな声は、少しだけ上ずっていた。 “ごくっ” 思わず期待に喉が鳴る。 自分のものなのに、その大きさに俺は驚いた。 あるいはそれは、まだあどけなさの残る蒼い誘惑への、期待の大きさだったのかもしれない。 「な、なんだ……よ」 それを表すかのように、俺の声は明らかに洋子以上に上ずっていて、さらにみっともなくどもっていた。 「くすっ……」 唇を微かに笑みの形に歪ませ、洋子は俺を見上げながら可笑しそうに笑う。喉はいまにも、ゴロゴロ、と鳴りそうなほど上機嫌だ。 この場の雰囲気に。 期待しているのが。 緊張しているのが。 意識しているのが。 何も自分だけではないとわかったからだろう。 頬をうっすらと朱に染めてはいるものの、完全にいつもの、小憎らしいばかりの洋子に戻っていた。 「ねぇ先生……」 甘えたような声で言いながら、悪戯っぽい笑みを浮かべながら、洋子は閉じていた両足を、ゆっくりと見せつけるように開いていく。 「私を……見て…………」 もうその声は震えてなどいなかった。 たださっきよりも、ずっとずっと、抑えきれない熱を帯びている 「…………」 そして言われるまでもなく、俺の視線は洋子の足の間に、汚れを知らない白い布地に、瞬きすらも忘れて釘付けだった。 飾り気のない平凡な白いショーツ。 なのにそれが少女の秘密を覆っているというだけで、背徳感と一緒に牡の征服欲を煽って、目を背けることを俺に許さない。 それは脆く未成熟な妖しい魅力だった。 「ちゃんと見てる?」 「み、見て――!? ってそうじゃなくて、何してんだお前はっ!!」 不意に呪縛が解ける。 俺は慌てて明後日の方向を見て、洋子の足の間から、何とか目を逸らすのに成功した。 「…………」 勿体無いなんて思ってない。 本当だ。 「女として見てくれてるのかなって思って、さ…………よかった…………見て……くれてるみたい…………だね?」 「…………」 声が徐々に小さくなっていく。 訝しんだ俺はちらっと、洋子にバレぬよう、様子をこっそりと横目で窺う。 上げては下げ上げては下げを、何度も何度も繰り返してるその目線が、明らかに俺の顔の高さと合ってない。 どこを一体見てるんだと、考えるまでもなく、この時点ですでにわかってはいた。 「…………」 だがそれでも俺は洋子の、熱っぽい視線を律儀に追いかける。 「げっ!?」 股間があらゆる言い訳も利かないくらいパンパンに、見事にこんもりと、その形が浮き上がりそうなほど絶好調で膨らんでいる。 まだ下半身の元気を気にする歳ではないが、それにしても、こんな立派な雄姿は久しぶりな気がした。 「あたしの……スカートの中を見たから……先生の…………そうなったんだよね?」 「……ああ、まぁ」 ここまで豪快に勃ったてといて、違うとはさすがに言えない。 「嬉しいな」 洋子の顔がにこっと歳相応に幼く綻ぶ。ころころと変わるその表情に、俺の心臓はドキッと、大きく激しく高鳴った。 「それじゃ本番ね」 「はい?」 刹那で俺の心臓がギクッと、大きく激しく高鳴る。 こんなに負担を掛けても平気だろうか? 何だか滅茶苦茶心配になってきた。 「ここからが本番」 「いまのはじゃ何だ?」 「お願い」 「これからするのは?」 「命令」 「…………」 こいつは将来絶対大物になる。俺でよかったら保証してやろうかと猛烈に思った。 「ふっふっふっふっふっ……」 いつの間にやらあの悪戯っぽい、猫を連想させる笑みが復活している。 それを見てさらに股間に、物凄い勢いで血液が収束していくのが、俺には呆れるほどはっきりと感じられた。 ロリコンでマゾって救いようがねぇな。 頭が痛い。 「…………」 股間もズボンが窮屈なほど膨れ上がって超痛い。 隠れてた自分を知るってことが、こんなにも苦しいとは、ついぞ知らなかった。 自分探しの旅になんて出る奴は七回死ね。世の中には一生知らなくていいことが確実にある。……でも知っちゃたなら仕方ない。 「何したらいいんだよ?」 これが自分を受け入れた瞬間、あるいは開き直った瞬間だった。

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