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ダンテ・デスペラード。
本名、ドゥランテ・デスペラード。
アリギエーロ・デスペラードと、その妻ベッラの息子としてナラズモの町にて生を受ける。
辺鄙な田舎町に住んではいたが、デスペラード家はれっきとした貴族の一つであった。
当時の当主、アリギエーロという男はどの貴族がそうであるように野心あふれる男であった。
名のある貴族に取り入り、デスペラードという家名を更にあげようとしていた。
そのためにも、長男であるドゥランテにはデスペラード家として名の恥じぬ貴族に育て上げようと、徹底した英才教育をほどこした。
しかし、貴族という狭い檻の中で過ごしてきたドゥランテにとって、貴族という華やかな社交界よりも、まだ見ぬ物たちに満ち溢れた『世界』そのものに憧れを抱くようになるのは時間の問題であった。
十歳となったドゥランテは、貴族としての知識・教養・マナーの他に、乗馬・狩り・剣の扱い・魔法についての基礎知識を学ぶこととなった。
父親の方針もあり、剣や魔法については実際に活動を行っている冒険者を招き、生の技術や知識をドゥランテに学ばせようとした。
華やかな『社交界』ではなく、未知なる『世界』に憧れているドゥランテが、『貴族』としてではなく『冒険者』として志し、学ぶようになるのはそう難しいことではなかった。
そうしてドゥランテは父アリギエーロと対立をするようになった。
そして、人間が成人として認められる十五歳の誕生日の夜、父アリギエーロはドゥランテの誕生パーティを開き、多くの貴族の前で自慢の息子を披露しようとしていた時、ドゥランテは前々から計画していた物を実行へと移した。
その夜、盛大に開かれたパーティに、ついにその主役が姿を現すことは無かった。
月日がたち、二十もとうに過ぎたドゥランテは、もはや栄華な未来が約束されていた貴族ではなかった。
生と死の狭間で傷つき、戦い、賞賛と侮蔑の中で鍛え上げられた屈強な男は、夢にまで見た『冒険者』の一人として名をあげるまでになっていた。
冒険者となったドゥランテは、『ドゥランテ・デスペラード』という名を棄て、『ダンテ』と名乗るようになっていた。
それは貴族として裕福な中で育った過去の自分と決別し、新たに自ら死地へと飛び込んでいかんとする彼なりの自分形成の一環であった。
蛮族の侵攻が激しくなるにつれ、ダンテは故郷『ナラズモ』に思いをはせることは一度ではなかったが、彼は一度たりともその足を故郷へと運ぶことはなかった。
ナラズモに立ち寄った冒険者を見つける度、彼は話を聞きだした。
蛮族の侵攻はナラズモにまでおよんでおり、ナラズモ付近では激しい人族と蛮族との戦闘が行われいるという話を聞いた時さえ、彼はナラズモに近づくことはなかった。
それは父親への怒りや、その父や母の期待を裏切ってしまった後悔などの、複雑な思いからだった。
一度、ナラズモの町新しく出来た冒険者の宿の主人直々に、『ドゥランテ・デスペラード』を探す依頼が出されていたと聞いたが、彼は名乗り出ることはなかった。
二十八歳となったダンテは、偶然助けたエルフの少女『ベアトリーチェ』に恋をした。
彼女は冒険者ではなかったが、ダンテにはそんな些細なことは関係はなかった。
ダンテの激しいアプローチにより、ベアトリーチェは彼を愛するようになっていった。
ついにダンテとベアトリーチェは結婚する。
実に、五年にわたるダンテの努力が実を結んだ時であった。ダンテ、齢三十三歳の時である。
その後、ダンテは長年組んでいたパーティと別れ、新婚旅行と称し、一年間二人で各地を巡る旅をすることとなる。
(とは言ったものの、パーティ一行は野次馬根性で彼らの旅に密かに同伴していた。後にダンテにバレ、怒り狂ったダンテによって壊滅しかけるはめになる)
その旅の中、ダンテはフリーシアを見つける。
そしてついに、ダンテは故郷へと足を運ぶこととなる。
二十年近く離れていた故郷はすっかり変わっていた。
蛮族による侵攻はなくなったモノの、その傷跡は深く残っていた。
ナラズモに訪れたダンテは、真っ先にデスペラード家の館へと駆けた。
が、そこには蔓に覆われた館と荒れ放題の庭が残っていた。かつての貴族の館としての華やかさは、そこには残っていなかった。
ダンテはデスペラード家の行方について町人から聞き出し、向かった先はナラズモ唯一の冒険者の宿、『吹き抜ける砂塵亭』であった。