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戦争のはじまりを読む
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「戦争のはじまり」を読む
戦争は文化だ。古代、大陸の先進思想として、それは日本にやって来た。
佐原真の「戦争、弥生時代開始論」
一九八九年の八月はじめに、わたしはアメリカのシアトルで開かれた環太平洋国際先史学会議で、「弥生文化と日本の「古代化」」という短い発表を行った。古代化、とは、近代化と対照するわたしの造語であって、大規模な墓の出現などによって想定できる古代権力の誕生への過程を意味する。この発表でわたしは、「集団と集団がぶつかりあって大ぜいのひとを殺す」という意味での「戦争」が、世界的に、農耕社会の成立とともにはじまったことを述べようとしていた。防禦的集落の出現、真正の武器の登場、戦士の墓の出現、武器の崇拝の始まり、この四つをもって戦争の考古学的証拠とつかんだうえのことである。
(中略)
この四つの考古学的証拠は、世界的に農耕社会の成立とともにみとめられる。日本では、弥生時代がまさに戦争のはじまった時代である。
- 佐原真「戦争はいつはじまったのか」『考古学の散歩道』(岩波新書312)、1993、pp163-168
松木武彦『人はなぜ戦うのか~考古学からみた戦争~』
縄文時代にはなかった戦争が、弥生時代、「先進文化」として大陸から日本に渡来した。
外来文化としての「戦いの思想」を受容した日本人は、強力な外的不在の島国の中でいかに戦ってきたのか。膨大な発掘資料をもとに、考古学者が"戦争文化のガラパゴス"日本の軍事的基層文化の特徴を語る。