青23


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200 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 14:32:36.85 ID:V8.9x.go
ぺらり、という音が響いた

自分はこの音が嫌いではない
元々本を読むことが好きな自分にとってはこの音は安らぎを与えてくれる
黒いインクの活字の並んだ文章に目を流す

しかし、今は違う

(こんなもの、どこが面白いんだ)

内心、さっきから毒づいてばかりだ

今自分が読んでいるのはいつも読んでいるような、推理小説の類ではない
恋愛小説という奴だ

最も、この作家は元々小説家ではなく携帯電話のサイトで趣味のように書いていた者らしいが

『あんたはね、恋愛経験が少ないんだからこれとか読んで少しは勉強しなさい!』

自分に半ば無理やり押し付けてきた桃色が良く似合う少女が脳裏に浮かんでため息が出る

(桃はこんなものばかり読んでいるのか?)

いや、桃だけではないのだろう
この小説の帯にはベストセラーになったという旨が印刷されている
世間の人たちはこの小説は面白いと言っている証拠だ

(…いや、私がおかしいのか…)

どうも自分には面白いとは感じられないだからと言って大泣きするほど感動もしない
これで泣ける、という人はよほど涙腺がゆるいのだろうと思う

(私はできればこんな恋愛経験はしたくないのだがな・・・)

自分が読んでいる場面はもう最終局面あたりだ
彼氏のガンが悪化し、意識がなくなっている場面
彼女は泣きながら彼氏の手を握っている

…おそらく彼氏は死んでしまうのだろう

また一つため息をつくと、横からカチャ、というカップの擦れ合う音がした

201 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 14:52:18.72 ID:V8.9x.go
「珍しいですね、青さんが恋愛小説を読むなんて」

コーヒーの香ばしい香りと共に、赤毛の青年…赤から声をかけられる
年齢的には赤のほうが年上だが、自分に対しては敬語を使ってくる

「桃から借りただけだ。自分で読もうと思ったわけではない」

ぱたんと本を閉じると、目の前に置かれたコーヒーのカップを右手で持ち上げた

「コーヒー、すまなかったな」

「いえ、いいんですよ。毎日していることですし」

ブラックのコーヒーを一口、啜る
コーヒー特有の苦味が口の中に広がるが、自分の脳内の信号はそれをおいしいと変換する

「それより、その本面白いですか?」

赤が指をさしてさっきまで読んでいた小説について聞いてくる
赤はこの小説について知っているのだろうか

「自分にとっては、面白いとは言い難いな」

「…でしょうね」

「赤は面白いと思うのか?」

やっぱり、といった感じに言った彼に、聞き返してみる
やはり、自分がおかしいのだろうか

「いえ、読んだことありませんから」

「…そうか」

「と、言うより、読む時間がなくて…」

「…」

ちくり、と自分の心のどこかが痛むのを感じた

確かに、赤は戦闘では何の役にも立たない
ただ白旗を振るようにタオルを振り回しているだけの存在だ(武器にも問題があるだろうが…)
しかし、それを補うかのように赤はこの基地の家事や事務的な仕事をほぼ全てこなしている
本来自分や他の隊員が書くべき報告書や始末書を赤がほぼ全て書いてくれている

赤の少し疲れた言葉に返す言葉が無く、仕方なく自分はごまかすかのようにコーヒーをまた一口、啜った

202 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 15:07:11.12 ID:V8.9x.go
「そういえば、しおりを挟まなくて良かったんですか?」

コーヒーを飲む時に小説を私は閉じていた
その時に、しおりは挟まなかった

「もういいんだ、続きを読む気にあまりなれない」

「本当に、青さんには合わなかったんですね」

少し面白そうにわらって赤は言った
だが、本当に自分には面白いと思えないのだ

(それに…)

「それに…」

「それに?」

「!?」

「青さん?」

(ままま、まさか思っていることを口に出していたのか私は!?)

首をかしげて赤がこちらを見ている

「なな、なんでもないんだ!」

「顔が赤いですよ?」

ずい、と赤が顔を覗き込んでくる。ち、近い!!

「あわわわわわ…」

「あ、青さん!?熱ですか?」

「ちち、ちが、ちがうんだ、」

顔が湯気が出るんじゃないかと思うくらいに熱くなっている
とりあえず赤から身を引かないと!
ずい、と一気に身を引く
しかしあわててそんな事をしたためか椅子の足と自分の足が絡んでしまった

ガタン!とそのまま椅子が倒れてしまった

「痛ッ・・・」

首の裏側に痛みを感じ、自分の視界は天井へと移行した
そして次に聞こえたのは、赤の叫びだった

「熱ッッッアアアァァァア!!!」

203 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 15:18:46.46 ID:V8.9x.go
「…赤、すまなかった…」

「大丈夫ですから…」

水でびしょぬれになった赤に謝る
ぽちゃぽちゃと雫が髪から滴り落ちていた

椅子から転んだ際、自分の持っていたカップの中身が全て赤の顔面にかかってしまったのだ
淹れたてのコーヒーは当然熱い
飲みやすい温度にしてあるだろうが、それでも熱い

「…お風呂、行ってきますね」

「…あぁ」

「あ、でも」

「?」

思いついたように赤は足を止めた

「さっきなんて言おうと思ったんですか?」

「え゛っ」

「なんか、聞かなきゃ悔しい気がします」

「そ、それは…その…」

(言いたくない!どうにかして…)

「教えてください」

ジト、とした目で赤が言ってくる
ゴチャゴチャになる頭の中で、なにか選択肢のようなものが見えた気がした

 正直に言う
→ごまかす
 発砲

「そ、そうだ!読み途中の推理小説があるからそっちを読みたかったんだ!」

「なんだ、そういう事だったんですか」

赤はそれだけ言うと、風呂場に言ってしまった

「……いえるわけ、ないだろうに…」



(彼氏と彼女を、赤と自分とで重ねて読んでしまうなんて)

204 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[sage] 投稿日:2010/03/13(土) 15:20:18.70 ID:V8.9x.go
おわり

なんかもうよく解んない
最後の最後で誤字発見

言ってしまった→行ってしまった

いろいろおかしいけどあまり気にしないでくれ
会話だけのほうが楽だし、不慣れなことはもうしないようにしよう・・・
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