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9話


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 例えば結末。
 物語には必ず必要となるものだ。
 言うならば起承転結の「結」、序破急の「急」に当たる部分。
 要はどんな話にも終わりは着てしまうものだ。
 例外なんてものもない。もし作者が死んでしまえば、そこが結末といえよう。打ち切りなんて物でも同じだ。
 次の物語を失くしてしまえば、そこで何でも終わりだ。
 人生でも同じ、死なない人なんていない。精々人間というものを例に出せば百三十歳がいいとこだろう。それ以上も確かにいない事もないが、流石に二世紀も存在し続ける事は不可能だ。別の生 物で例えてみても、人間より長い寿命を持った生物もいるが、確実に死は訪れる。
 しかし、結末というのはそれほど重要なものだろうか?
 私にしてみれば細く短く目立たない物語だってある。無理に盛り上げから終わろうとしても、それは起承転結の「結」の部分にまた別の物語を作るような物だ。
 そのまま終わらせてしまえばいい、或いは終わってしまうものを、無理やり終わらせたくないという意思によって繰り返してしまう様な物語もある。
 結末は何にしても望まれない事でもあるだろう。
 作者にしても読者にしても、私自信にしても。

 まあ毎度の事だが、この無駄に長い前振りも最後だ。
 私も物語を終わらそう。
「ねぇ」
「なに?」
 私の物語でいえば、終わらすのは簡単だ。
「あなたは」
 だけど私も結末を望まない。
「何者なの?」
 聞いてしまえば私の物語は終わってしまうだろう。
「私?」
「うん」
 聞いておいて私は耳を塞ぎたくなる。
「私はね、」
 耳を塞ぎたくなる衝動を私は必死で抑え込む。
「「私」だよ」
「……え?」
 「それ」は私?
 私は「それ」な訳ではない。だけど「それ」は私?
「それってどういう……」
「私はね、寂しがりやな「私」に作り出された私」
 自問自答。二重人格。
 それしか考えられなかった。
「多分「私」が考えている事と私は違うよ。私は例えるならば妖怪みたいなもの」
「妖怪?」
 余りにもおかしな話だ。結末が飛んだ茶番だ。
「例えるならの話だとね、私は「私」の意思によって「私」と同じ物を作り出されたの」
「じゃあ、妖怪なら私に目にも見えるはずよね?
「ええ、見えているじゃない。今だって」
「見えてないから聞いてるんじゃないの」
「探してごらん」
「ずっと探したわよ」
「探すも何も、」
 いや、ひとつだけあった。
「光が無くなってしまえばいなくなってしまうわね」
「そうだね」
「光に背を向けるとあなたは声を掛けれないわね」
「そうだね」
「あなたが何に化けてるのか分かったわ。それだと、私に合わせて動いてるの?」
「気づかれないようにね」
「大変ね。だけど私と同じならば何で声は違うの? 見た目だけ同じなの?」
「そう?同じに聞こえるけど」
「そうよ、全く違うわ」
「でも、私は「私」でしかないわ」
「そう、じゃあ何が原因かはどうでもいいわ。でも、あなたはもう消えてしまう?」
「いて欲しい?」
「ええ、一人じゃ寂しいもの」
「寂しがり屋だから「私」の傍に私はいたんだけど、そろそろ私も別の寂しがり屋の所にいくんだよ」
「……そっか」
「落ち込まないでよ。「私」にも必ず別の傍にいてくれる人がいるよ」
「本当に? 本当さ。妖怪なんかが言うのも変だけど、必ず傍にいてくれる人が来ると信じていれば必ず来るよ」
「じゃあ、あなたはもう何処かに行っちゃうの?」
「そうだね、また別の寂しがり屋の所にもう行っちゃうよ」
「そっか、今までありがとう。楽しかったよ」
「私もだよ」
「私の事忘れないよね?」
「忘れないよ」
「じゃあ、お別れか」
「そうだね、お別れだよ」
「バイバイ」
 私は光を背に向けて手を振る。すると影が動き何処かに去って行った。私の本当の影を残して、

 「それ」の住処だった私の影は久しぶりに空き家になった。
 もしかしたら次また誰かが住みに来るのかも知れない。その時は歓迎してあげよう。