書きフライ☆wiki支部

9話

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 真夜中を少し過ぎた頃、星光(シングァン)皇子は、近衛兵姿の紅兎

(ホントゥ)を連れある場所へ向かっていた。美しい月の光は二人に優しく降

り注ぎ、その姿を淡く浮かび上がらせている。

 少し歩くと、今回の目的地に到達した。王宮の東側、やや大型の石造りの建

物は闇夜に不気味にそびえ立っている。星光は、ここに来る度思う。

全くぴったりの外観だ、と。

 正規の入り口は使わず、裏口に回る。今回の事は、この部署の中でも一握り

の者しか知らない極秘事項なのだ。眠そうに欠伸をしていた二人の見張りは、

星光の姿を認めると、さっと姿勢を正し、わけ知り顔で扉を開けた。念のため

自分の息のかかった部下を配置しておいたのだ。

 星光は中に入ると、長い廊下を渡り、階段をいくつか上がると、ある扉の前

で止まった。取っ手に手をかけ、ゆっくりと手前に引くとキィ、と小さな音を

立てて手前に開いた。

「殿下、お待ちしておりました」中には髭面の中年男が一人居て、星光が中に

入るとさっと礼をした。

「長官、奴は尋問中か?」星光が問うと、男は頷いて答えた。「えぇ。ご案内

致します」「頼む」

 男は地下室の階段を降り、星光を地下室の一つに連れて来た。木製の廊下で

壁には蝋燭が揺らめいている。中に入ると、二人の役人らしき男と、椅子に縛

り付けられた男が居た。部屋の床には血糊が飛び散っており、男は苦しそうに

荒い息を吐いている。

「こいつか?」星光が問うと、中に居た役人の一人が答えた。「はい。もう五

日目になりますが、一切口を割りません」

 星光は頷くと、中に居た役人二人に言った。「席を外せ。紅兎のみ残れ」

「承服出来かねます!罪人と殿下を残して行くなど・・・・・・もしものことがあっ

たら」「紅兎は優秀な近衛兵だ。もしもは無い」「しかし・・・・・・」二人はなお

も食い下がろうとしたが、星光に睨まれ仕方なく引き下がり、部屋を出て行っ

た。


NEXT>>10話

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー