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エピローグ


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 あの出来事から六年が過ぎた。

 あの後私は奇跡的に救出されたようだ。だが権一も他の皆も白夜も手遅れで、私は胴から足まで火傷を負ったものの、助かったのは私だけだった。他の七ヶ所の場所には見かけ無いと思っていた瀬戸組の組員が向かっていたらしく、どうやら組内にはスパイ以外には白夜が別の場所を言い渡していたようだ。しかし他の場所でも人質と朝鮮第四連合のメンバーは自爆によって全員死亡したようだ。
 しかし未だに権一を殺した奴は見つかってはいないが、恐らく獅戸 兇鑢であり、国際指名手配された。
 その処理は全て瀬戸組がする事になり、全資金を修理費、慰謝料、見舞金等として払い、解散した。そして傘下として抱えていた地方の組は一緒に解散するところもあれば、園芝組に入るところ、独立するところ様々だ。
 今回の事件について園芝組には瀬戸組の抱える土地や流通ほぼ全てで手を打って貰った。しかし帰らぬ人はその程度で償えるのだろうか。組長の息子である権一も死んでしまった。
 世間ではあの事件は独立した団体の無差別テロだと放送して騒いでいたりしたが、今ではその話はもう忘れ去られている。

 今日はもうこんな暗い話はやめようか。
 私は墓地に来ている。もちろん権一の墓だ。
 権一の死体は骨で見つかった。最後の顔を見ていたのは私だけだったの謝りたい気分だった。
「お前も来たのか」
 私は後ろから掛かる声に振り向く。
「ええ」
「あれから会うのは初めてだな。お前は毎年来ているのか」
「……はい」
 私は何度来ても情けなくなるだけだった。
「ねえママ、この人だあれ?」
 私の後ろにいた子が言う。
「えっと……」
 私はどう言えばいいのか分からなかった。
 この子は私と権一の娘だ。
 本当は生まれる事が許されない命だった。
 あの後私は妊娠し、私はその時期私の処分が決められるときだった。そしてこの事は極陽に相談しなければならないと思っていた。その極陽には処刑を言い渡されてもおかしくないと思った。もし生かされても権一との間に出来た子を産むのを許してくれるはずないと思っていた。しかし結果は私も生きているし、娘もいる。しかし娘には条件を受けて生かされている。
 戸籍がないのだ。つまりいない存在。だから義務教育も、誰かと遊ぶ事も出来ない。いつも一人でいる。この子には辛い人生だと思う。そして私は娘には教えていないが、私は園芝組の管理の下で暮らしている。いつこの子が世間にばれるか心配があるからだ。
 そして、この娘は極陽にあうのは初めてだった。だからどう説明すればいいのか分からないのだ。
 そう迷っていた時だ。
「お前の父の父だ」
 極陽はそう言った。
「ちちのちち?」
 娘は復唱して聞き返す。
「……パパのパパって事よ」
 私は言い方を変えてみた。しかし極陽は私がこんな事を言うと怒るだろうか。
「パパのパパ?」
 また娘は復唱する。
「……おじーちゃん?」
 娘はそう言った。
「そうだ」
 極陽もそう言った。
 極陽は認めてくれたのか、私達の娘を、
「……初めまして、おじーちゃん! 私の名前はせせらぎ いちはですっ!」
 いちははそう元気よく言う。
「輪廻、漢字はどう書く」
 極陽は娘の名前の書き方を聞く。
「一枚の葉っぱで『一葉』よ」
「一葉か……いい名前だな」
「えへへー」
 一葉は極陽に名前を褒められ喜ぶ。
「こい」
 極陽は腰を低く下ろし、一葉を抱えあげる。
「わー、おじーちゃんちからもちー」
 極陽にとってはこんな小さい子は軽いものだろう。
「……あの」
「何だ」
 娘を認めて貰ったのか最後の確認をしたかった。
「御義父様って呼んでいいですか?」
「好きにしろ」
 そう言って一葉を地面に下ろす。
「じゃあ呼ばせてもらいますね」
 私はこの先、一葉とちゃんと一緒に生きていけるような気がした。
「あの花、お前が持ってきたのか?」
 墓には真新しい花が活けられていたが、私が持ってきたのはまだ活けていないのを見せる。
「じゃああれは一体誰が?」
 私達以外に関係がある人が来たのだろうか。
 しかしその花は見事な物だった。

 その花の名は―――。




恋華第一部Hard Bloody Side

Fin.