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6話

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 弓道場を後にした星光(シングァン)は、すがすがしい気分と、曇った心を

同時に抱いていた。訓練の後はいつもこんな気分なのだ。自分を待ち受けてい

るであろう書類の山を想像するとぞっとする。

 自室へ戻ると、案の定机の上には書類が山と積まれていた。しかし、文句を

言うわけにもいかない。帝や月光(ユェグァン)の机にはこの倍をゆうに超え

る量が置かれているのだ。

 星光が腹をくくって椅子に座ったとき、突然囁く声が聞こえた。『殿下、少

しお時間を頂けますか?』

 『彼ら』は用があるときはいつもこうだ。星光は頷いて言った。

「構わん。参れ」書類の山を後回しに出来ることならなんでも大歓迎だ。

 星光の背後に、ストン、と何かが着地する音が聞こえた。振り向くと、見慣

れない小柄な男がひざまずいていた。予想を裏切られ、星光はすっと短刀に

手を添えた

 「貴様、刺客か?」すると、男は落ち着いた様子で言った。「いいえ。殿下

の盾です」

 それを聞いて、星光は首を傾げた。現在星光に仕える盾は二人で、そのどち

らもこの者より大柄だ。やはり見覚えは無い。

 「貴様、『名』は何だ?」星光が問うと、男は口を開いた。

「蒼豹(ツァンバオ)と申します」

そう言って、顔を覆っていた覆面を外し、星光に顔が見えるようにした。

星光が男だと思っていた相手は、身の丈160を少し超えた程度のやや大柄な女

だった。

 星光は、盾の名を聞いて、自分が数日前に、盾の長、金龍(ジンロン)に極

秘に命じ、盾を一人増やしたことを思い出した。盾は女だと聞いていたが、

低い声と覆面のせいで分からなかったのだ。よく考えれば、刺客ならば

紅兎(ホントゥ)と紺鮫(ガンジャオ)がとっくに取り押さえているはずだ。

 「そうか。お前が俺の新しい盾か。」星光が言うと、蒼豹は静かに言った。

「は。命を賭してお守り致します。」

 それを聞くと、星光はふっと笑って言った。「俺の為に命なぞ賭けるな。

まぁともかく、死なない程度に守ってくれ。」それを聞いて、蒼豹は

少し黙っていたが、結局それには答えず、さっと一礼して言った。

「失礼致します。」

 星光が『盾』の方を見たときには、そこにはすでに蒼豹の姿は無かった。




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