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5話

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 午後、星光(シングァン)は王宮の練兵所に居た。晴れた空に響く男達の

掛け声が耳に心地よい。この時間は星光にとって数少ない安らぎの時だった。

胴当てをつけて木刀を握ると、ほんの少しの間政務の息苦しさから解放

される。

 星光は弓の練習場へと足を向けた。数十人の兵士達がおり、そのうち何名

かが弓を引いている。星光に気付くと、弓を下ろして挨拶しようとしたが、星

光はそれを手で制した。「構わん。続けろ。」

 兵士達の弓が一斉に唸りを上げた。矢はすさまじい速度で飛んで行き、全て

的に当たった。星光は道具係に声をかけた。「俺にも弓をくれ」

 弓を受け取って戻ると、兵士達が次々に声をかけてきた。「殿下、

射られるのですか」「今回は負けませんよ。」それを聞くと、星光はニヤリと

笑って言った。

 「お前ら下手くそが俺に勝てるのか?」すると、兵士達は口々に

文句を言った。

「下手じゃありません!」「今から思い知りますよ!」そして、兵士の一人が

大声で言った。

 「おい、だれか殿下の鼻をへし折って差し上げろ!」それに応えて、一人の

男が名乗りをあげた。「俺がお相手します」軍で一番の弓の名手、

勇心(ヨンシン)だ

 「久々だな、お前と勝負するのは」星光が言うと、勇心は弓を撫でながら

言った。

「あれからさらに上手くなってますよ。殿下の連勝もここまでです」

「それはどうかな?」

 ルールは5本勝負に決まった。5本射て中心に当たった数が多かった方の勝ち

となる。

星光の第1射、矢は的の中心に見事に命中した。兵士達が喝采を浴びせる。

星光はその後、2,3,4射と中心に命中させ、第5射は右にそれた。

 「4点だ。お前はどうかな?」星光が言うと、勇心は不敵な笑みを浮かべて

言った。「笑っていられるのも今のうちです。」

 勇心の第1射、矢は的の中心に命中し、2,3,4射と危なげなく中心に決め

た。

勇心は矢をつがえながら言った。「これが当たれば殿下の極悪記録もここで

止まります。」

星光は眉間に皺をよせて言った。「まだ当たると決まったわけじゃない。」

勇心は弓を引き絞り、狙いを定めて放った。矢は唸りを上げて飛び、

『タン!』と音をたてて

的の真ん中に当たった。勇心は満面の笑みを浮かべ、星光は悔しそうに唇を噛

んだ。

 星光は弓を返すと、兵士達に向かって言った。「おい!次は俺が勝つから

な!お前ら覚えてろ!」そう言うと、兵士達の笑い声と共に練習場を跡にし

た。



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