瞳を開けた時の【空】の色は
貴方の瞳の色、そのものだった
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「博士、整備は終わったか」
『あぁ、理雨。今、連絡しようとしてた所だ』
「来て正解だったな」
研究所の扉に寄り掛かり、煙草をくわえる理雨を博士は優しく迎えた。
『軍服って事は仕事か?』
「いや、済ませて来た帰りだ」
カツカツ…と革靴を鳴らしながら階段を降りて来た理雨に
問い掛ければ簡素な答えが帰ってきた
帽子を脱ぎ、ダークブルーの髪をガシガシとかきながら
つい、数時間前に選んだアンドロイドの前にしゃがんだ
「コイツ選んで正解だな」
『特に問題ある所はなかった』
「そうか」
『SERIAL000529S…前の名前はマダラ。メモリーはリセットしてある』
「…名前を呼べば起動か?」
『あぁ』
理雨はアンドロイドの艶やかな黒髪を一房すくい
その髪に一つ、キスを落とした
「揚羽(アゲハ)、起きろ」
『揚羽か…いい名前だ』
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(……げは……あ……あげは)
(起きろ……揚羽…)
キュィィン…と小さな起動音と共にゆっくりと瞳に光が宿された
『揚羽、わかるかい?』
「…、…はい、博士」
『よし、少し失礼するよ』
そう言ってうなじにある、穴にコードを差し込んだ
『うん、正常に作動してる』
「問題はないか?」
『あぁ、後はお前と行動する時に必要なメモリーを入れるだけだ』
十数分かけて、記憶を書き変え
博士は改めて理雨と揚羽を見た
『出来た。揚羽…お前のマスターだ』
「マスター…理雨様…」
揚羽が小さく呟くと理雨は煙草を踏み消し、ゆっくりと近づいた
「様なんて付けんな、マスターでいい」
「マスター…」
「そうだ、これからお前は俺と行動する。頼んだぜ、相棒」
そう言って頭を撫でると揚羽は
静かにひざまづき、理雨の手を取った
「貴方様の盾となり、剣となり、マスターのご命令の為に…」
その言葉に隻眼のスカイブルーの瞳が優しく揺れた
【貴方に選ばれた俺】
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